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『みんなのレオ・レオーニ展』あの『スイミー』も。ワクワクしちゃう絵本作家の展覧会

レオ・レオーニの数々の名作原画とともにその生涯をたどる展覧会が開催中。その人となりがわかる映像も充実しているので、ぜひ覗いてみて。会期は9月29日まで。

きれいな色と形の繰り返し。見てるだけでワクワクしちゃうのはなぜ?

アート

1.『マシューのゆめ』1991年/Matthew’s Dream ©1991 by Leo Lionni / Knopf Works by Leo Lionni, On Loan By The Lionni Family

可愛らしい絵と心にしみ込むストーリーで愛され続けるレオ・レオーニの絵本。洗練された表現でいつ見てもウキウキするなぁ♪
 

「レオの絵本が色あせない理由は、幼いころからの膨大なビジュアルイメージの蓄積と、絵本作家になる以前のキャリアにあると思います。彼が絵本作家になったのは50歳直前。それまでは華やかな雑誌文化が興隆していたニューヨークで『FORTUNE』誌のアート・ディレクターを長年務め、グラフィック・デザイン界のトップとして世界に名を馳せていました。さらにその前は、最も先鋭的だったミラノの広告業界に身を置いて、視覚伝達デザインを実践で習得。絵本作家として普遍的なメッセージをわかりやすく伝えるための修行は、最初の絵本を手がける前に完了していたのです。そぎ落とせるだけそぎ落として、余計なものは一切ない――大切なものだけシンプルに伝える、それを完璧にできる段階に到達していたのです」

美術

2.『フレデリック』1967年/Frederick ©1967, renewed 1995 by Leo Lionni / Pantheon Works by Leo Lionni, On Loan By The Lionni Family

いうなれば、それまでの50年間は修行――と話すのは、晩年の作家と親交があった板橋区立美術館館長代理の松岡希代子さんと、コーディネーターの森泉文美さん。お二人が教えてくれたレオ・レオーニの生い立ちをざっくり説明すると、彼は文化的にかなり豊かな子ども時代を送ったらしい。
 
オランダのアムステルダム近郊で、ダイヤモンド産業にかかわるユダヤ系の父とオランダ人オペラ歌手の母の間に生まれたレオ少年は、母のオペラを聴きながらイタリア語とドイツ語を覚え、建築家の叔父からデッサンを習い、絵画コレクターの親戚宅や近所の美術館・博物館で名作に親しむ日々……って、毎日が英才教育じゃん!

視覚芸術でわかりやすくメッセージを伝えることにかけては、プロ中のプロでしたから!!

アート

3.『スイミー』1963年 スロバキア国立美術館所蔵/Swimmy ©1963 by Leo Lionni, renewed 1991/ Pantheon On Loan By The Slovak National Gallery

その後、父の仕事の都合でベルギー→米国→イタリアと移り住み、イタリアで経済学部を卒業。美術の専門的な勉強はしなかったけど、成長過程での美の蓄積は充分だし、小さいころから「芸術家になる」と思っていたこともあり、自然とグラフィック・デザインの世界へ。その後の活躍は前述のとおりで、実に恵まれた前半生といえよう。

 

「しかし、子ども時代はずっと転校生。言葉も教育システムもその都度、変わるわけですから苦しみはあったと思いますよ。彼は自分の多言語性や多文化性を強みと認識していたでしょうけど、一方で『僕って何?』という迷いも強くあり、それは彼の絵本の中の大きな部分を占めるテーマになりました。

『みんなのレオ・レオーニ展』あの『スイミー』も。ワクワクしちゃう絵本作家の展覧会_4

4.『あいうえおのき』 1968年/The Alphabet Tree ©1968, renewed 1996 by Leo Lionni/ Pantheon Works by Leo Lionni, On Loan By The Lionni Family

また、芸術家は社会に対して、ほかの人が見えていないことをきちんと発信していく役割があると、強い使命感を持っていたようです。『スイミー』の主人公で、一匹だけ黒い小魚・スイミーが、仲間たちに向かって『ぼくが(みんなの)めになろう』というキーフレーズは、彼の自負心の表れだと思います」
と、松岡さんが言えば、森泉さんは「自分は恵まれていて才能を与えられているのだから、それを社会に返していかなければならないと思っていたはず。絵本制作を通じて、ようやくそれが可能になったのかもしれません」と推測。

 

パーキンソン病を患った最晩年もみんなを笑わせていたというレオ氏。ポジティブでネズミのフレデリックみたいな人だったってさ。

『みんなのレオ・レオーニ展』あの『スイミー』も。ワクワクしちゃう絵本作家の展覧会_5

5.『ザ・ファミリー・オブ・マン(人間家族)』表紙 1955年/Works by Leo Lionni, On Loan By The Lionni Family

このアートはここで見よう!

『みんなのレオ・レオーニ展』

レオ・レオーニの数々の名作原画とともにその生涯をたどる展覧会。その人となりがわかる映像も充実。
~9/29 東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館
東京都新宿区西新宿1の26 の1損保ジャパン日本興亜本社ビル42F 
10時~18時 休館日/月曜( 8/12、9/16、9/23は開館) 入館料/¥1300 
問☎03(5777)8600(ハローダイヤル) https://www.asahi.com/event/leolionni/

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