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30歳で専門学校へ。念願の映画監督を仕事にした女性のリアル【30歳からの挑戦①】

本気で打ち込めることを仕事にできたら、どんな生活? でも、仕事もあるのにこれから新しい選択なんてできるの? そんな不安をはねのけ、自分の気持ちに素直になって、「今から本当に好きなことに飛び込む!」という決断をしたバイラ世代の女子に飛び込むまでの道のりや葛藤を取材しました。

私、30歳から好きなことに“飛び込み”ました!

穐山茉由さん 36歳
職業:映画監督、ファッションプレス
好きなこと:何かを作り上げること。特に映画を撮ること
飛び込んだ時期:趣味を仕事にできる手ごたえを感じた32歳


【私が好きなことに“飛び込む”まで】

30歳で専門学校へ。念願の映画監督を仕事にした女性のリアル【30歳からの挑戦①】_1

~15歳

ファッションが好きな中学生。渋谷系のファッションを調べるうち、ミニシアター系の映画にもハマる


18歳

大学入学。大妻女子大学被服学科へ


22歳

デザイン系の会社に就職するも激務。半年で退社

30歳で専門学校へ。念願の映画監督を仕事にした女性のリアル【30歳からの挑戦①】_2

23歳

転職。kate spade newyorkのプレスに。がむしゃらに働く

30歳で専門学校へ。念願の映画監督を仕事にした女性のリアル【30歳からの挑戦①】_3

26歳

仕事にも慣れ、「何かを勉強したい!」という気持ちが生まれる。まず「好きなこと」を探すため、カメラ、映画のワークショップを受け、バンドも結成


29歳

婚約解消をきっかけに「好きなことをとことんやる!」と決意。同時に「好きなことは映画だ」と確信

30歳で専門学校へ。念願の映画監督を仕事にした女性のリアル【30歳からの挑戦①】_4

30歳

仕事をしながら映画の専門学校へ通い始める

30歳で専門学校へ。念願の映画監督を仕事にした女性のリアル【30歳からの挑戦①】_5

35歳

『月極オトコトモダチ』撮影。東京国際映画祭に出品、MOOSICLAB2018長編部門グランプリ受賞。全国公開

“好きなこと”を意識的に探し続けた

「私が飛び込んだ“好きなこと”は映画を撮ること。それは、20代半ばで何か好きなことを見つけたいと思い、さまざまなことを試すうちに出会えたものなんです。最初は趣味のつもりで始めたことを大好きになり、まさか30歳を過ぎてから仕事になるなんて想像できませんでした」


穐山さんが、飛び込みたい「好きなこと」に出会うまでの道のりは、決して簡単なものではなかった。

「大学を卒業したときは“洋服をデザインする仕事がいい”と思っていて、それが好きなことだったので、OEM受注の会社に入社しました。しかし、激務に耐えられず半年で退社。その後、ファッションブランドのプレスに転職しました」


20代前半は、仕事に全力投球。新たな“好きなこと”を探し始めたのは入社3年目の26歳のころ。

「やっと仕事に慣れ、余裕が出てきて、自分でも何かを作り上げてみたくなったんです。プレスという仕事を通してモノづくりの現場に携わり、“0から世界を作り上げる人”への憧れが高まっていた。趣味の範囲で、何かモノづくりをしたいという欲が出てきたんです」


しかし、何を作りたいのかはわからなかったという穐山さん。その“何か”を見つけるため、気になるものにすべてチャレンジしてみたそう。

「まず、写真学校の初心者コースに通いました。同時並行で、ずっとやってみたかったバンドも結成。でも、どちらも“もっと突き詰めたい”とは思えなかったんですよね」


そして同時期に、映画のワークショップに通い始めた。

「何も撮ったことがない人向けの、小さなワークショップでした。そこで監督に選ばれ、10人くらいで初作品を撮ったんです。満足できるものにはならなかったけれど、可能性を感じました。“もっとやりたい”と思えたんです。けれど、趣味の範疇を出ることはなく、その後はワークショップで出会った人と自主制作映画を1本撮ったくらいでした」


人生の転機は29歳。きっかけは、つきあっていた彼との婚約解消。

「自分の中で呪いのようになっていた結婚の圧力がなくなり、“自分の好きなことを好きなように選んでいいんだ”と感じました。“このはずみで何かやってやる!”という気持ちがわいてきて、もう一度しっかり映画を学ぶことにしたんです」


そして本格的な映画学校に入学。平日の夜と土日は学校へ通った。

「やりたいことをやると決めたとはいえ、いきなり仕事を辞めて大学に入るのは難しいなと思ったので……。映画監督を仕事にするための知識と経験を積み、何かきっかけがつかめればという思いでした。1年目はあまり評価されず、実力を思い知らされました。けれど、“映画に関しては挫折しないぞ”と決めていたので、心が折れることはなかった」

本気で取り組んで監督を仕事に

初めて趣味の枠を超え、映画を仕事にできる可能性を感じたのは、32歳。

「映画学校の修了制作の、監督に選ばれて。しかもその作品が『田辺・弁慶映画祭』に出品され、映画業界の方からも注目してもらえた。そして、ほかの映画祭に向けて撮ってみないかという声がかかったんです」


そのとき撮ったのが映画『月極オトコトモダチ』。なんと、東京国際映画祭にも出品されることに。

「そのとき、これはきちんと説明しなければと思い、会社に報告しました。この先映画を仕事にするなら、仕事との両立は難しい。退社も考え、社長に相談しました。そうしたら、“会社と両立しながら映画を撮れる方法を探せばいい”と言っていただけて。そのまま会社員として働きながら、映画の監督も続ける、そんな選択肢が生まれたんです」


現在は週に4日出勤し、ほかの時間に監督の仕事をしているそう。

「映画監督と会社員、私にとってはどちらも好きなことなんです。二本柱でやっていくのが、今の私にはちょうどいいバランス。そして、会社員として働く視点が作品に生かせることも。好きなことがわからないところから、一生懸命もがいたかいがありました。人生は一度きり。“何かをやってみたい”と思うならば、逃げずに小さな可能性を探すことが大事だなと思います!」

【まとメモ】

Q 好きなこととの出会い方

A 「少しでも気になることを、躊躇せずやってみる!ピンとくるものが出てくるまで、模索し続ければ出会えるんじゃないかな」


Q 飛び込むにあたっていちばん迷ったこと

A「結婚の予定があったこと。当時の相手と家庭を築くには、自分の好きなことを優先していてはダメだと思い込んでいた」


Q 飛び込む決意のきっかけ

A「婚約解消で、結婚へのプレッシャーを一気に吹き飛ばしたこと。そこで“自分がやりたいこと”を追求しようと思えた」

撮影/島袋智子 イラスト/とんぼせんせい 取材・文/東 美希

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