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綿矢りさによる、現代らしい関係再構築を描いた小説『オーラの発表会』をレビュー!【バイラ世代におすすめの本】

書評家・ライターの江南亜美子が、バイラ世代におすすめの最新本をピックアップ! 今回は、現代らしい関係再構築小説、綿矢りさ『オーラの発表会』とサリー・ルーニー著 山崎まどか訳『カンバセーションズ・ウィズ・フレンズ 』の2冊をご紹介します。

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江南亜美子

江南亜美子


文学の力を信じている書評家・ライター。新人発掘にも積極的。共著に『世界の8大文学賞』。

『オーラの発表会』  綿矢りさ著

凧揚げが趣味で、他人に興味がなく空気も読めない海松子と、人真似が特技であざとく思われがちな萌音。かみ合わないながらもどこか不思議なバランスで友達を続ける二人は、同じ大学に通う1年生。福袋の服をルーティンするほどおしゃれ欲とも無縁の海松子は、男子とつきあいたいという気持ちすらわからない。

そんな彼女にかつて恋心を告白したのが幼なじみの奏樹だ。親が裕福ゆえ、海松子がこっそり彼につけたあだ名は七光殿。その恩恵に浴し、3人は南の島で夏休みを一緒に過ごすことに。「花火は黒い海と夜空の間で、新しい夏の花として咲き、散る」島の美しさがマジックとなり奏樹といい感じになるが、実は海松子は父の教え子で男前の社会人からもアプローチを受けていて……。

本書では、女の子らしさや若者らしさとされる世間の価値観からほど遠い海松子が、独自のやり方で、家族や友人たちと親密圏を作り上げていくさまがユーモラスに描かれていく。お正月のひとり凧揚げも素敵なら、萌音のような承認欲求気質もまた素敵と、すべての不器用な青春を肯定するまなざしが感じられる。

コミカルなのに詩情もある筆致が魅力の、著者ならではの一冊だ。

『オーラの発表会』

綿矢りさ著

集英社 1540円


「一人で足りすぎている」自分を再発見する過程
人の気持ちのわからない海松子。両親から一人暮らしを厳命され大学生活が始まるが、いつまでも「恋」の感覚がわからない……。風変わりな女子大生を主人公に、女性の生き方の多様性をことほぐ小説。

これも気になる!

『星のように離れて雨のように散った』宮沢賢治を研究する春は、恋人との関係に悩んでいた。求められること、求めること。父の失踪という苦い過去から解放されるために、記憶をよみがえらせていく……。痛みの本質を描かんとする、繊細な小説。

『カンバセーションズ・ウィズ・フレンズ 』

サリー・ルーニー著 山崎まどか訳

早川書房 2530円

「私としないと死んじゃう?」新世代作家の恋愛小説
親友と詩の朗読パフォーマンスなど行うフランシス、21歳。ある日裕福な年上の夫婦と出会い、その夫に惹かれていく。ありふれた恋、しかし身に迫る激情。恋愛の不条理をひりひり描くデビュー小説。

イラスト/ユリコフ・カワヒロ ※BAILA2021年11月号掲載

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