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俳優・小林涼子さんが運営するバリアフリーな農業とは? 開業秘話に迫る!

SDGsやサステナブルという言葉にあふれ、様々な角度から「持続可能性」の大切さが問われている今。自ら向き合い、自分にできる“仕事”に落とし込んだ人たちのストーリー。今回は、(株)AGRIKOを運営する女優の小林涼子さんに、農園を開園するまでの道のりについてお聞きしました。

持続可能な農業を実践し、広める仕事

小林涼子さん

(株)AGRIKO

小林涼子さん


こばやし りょうこ●1989年11月8日生まれ、東京都出身。4歳で子役デビュー。主な出演作はドラマ「砂時計」「魔王」「婚姻届に判を捺しただけですが」「花嫁未満エスケープ」「復讐の未亡人」など。

[小林さんHistory]
4歳:1993年子役デビュー

19歳:2008年ドラマのヒロインに抜擢

25歳:2014年リフレッシュとして新潟で定期的に農業の手伝いを開始

32歳:2021年(株)AGRIKO設立

32歳:2022年5月世田谷にAGRIKO FARM開園

農業は楽しくて美味しいもの。バリアフリーなシステムで、農福連携を広げたい

(株)AGRIKO 小林涼子さん

持続可能な新しい農業のシステムが作れたら

2022年4月、東京・世田谷区のOGAWA COFFEE LABORATORY桜新町の屋上に、水耕栽培と養殖のシステムを併せ持つ、環境に優しい“アクアポニックス栽培”を採用した農園がオープンした。立ち上げたのは、ドラマ「花嫁未満エスケープ」などに出演する俳優の小林涼子さん。バリアフリーな農業を実現するべく、2021年に「株式会社AGRIKO」を起業した。

「子役から芸能界に身を置いて必死に駆け抜けてきましたが、20代の頃にちょっと疲れてしまった時期があったんです。心配した家族に、リフレッシュを兼ねて連れていってもらったのが新潟の知人の農家でした。田植えや稲刈りをお手伝いするなかで、88の手間がかかるといわれる稲作の大変さはもちろん、雪解け水で育ったお米のおいしさに魅せられて、心も癒されていきました

ところが2021年、ご家族の体調不良を機に、8年間通い続けた農業を手伝うことができなくなる。農業の厳しさに直面し、高齢者も障がいのある人も無理なく続けることができる農業を目指すべく、起業に至ったという。

ボランティアではなく会社にしたのは、誰かに善意や無理を強いるシステムにしたくなかったから。関わる人すべてが適正な利益を得られる、“持続可能なかたち”にしたいと思ったんです

農園では賛同する企業に区画を貸し出し、障がい者雇用枠で働くスタッフをマッチング。小林さんは農福連携技術支援者として農作業を支援し、彼らとともに、スマート農業を活用して野菜や魚を栽培している。起業から1年でこのファームを開園させることができたのには、様々な縁が関わっていた。 

「過去にご一緒した映像監督や会社の方々が、資料作成などのクリエイティブまわりを手伝ってくださったり、小川珈琲さんとのご縁があってご協力くださったり。興味を持ってくださった明治大学の方々にアクアポニックスの設計をお願いすることもできました。新しい挑戦をこんなに応援してくれる方がいるなんて、想像もしていませんでした」

その縁は、「俳優業との両立」で引き寄せたと笑う小林さん。

「ドラマの撮影をしながらの業務はめちゃくちゃハードだけど、私が苦手な事務作業はスタッフが教えてくれたり、サポートしてくれています。俳優業も農業も会社も同じチーム戦なんです。みんなに支えられたおかげで強力なチームができたと思います」

“農業は楽しくて美味しいもの。バリアフリーなシステムで、農福連携を広げたい”

幸せを人任せにしないマインドの変化が起業につながった

農園の開園までは1年の準備期間を要したものの、実は会社を起業したのは、発案からわずか1カ月。

「それまでの私は、『誰かがいい作品を持ってきてくれる』『誰かが自分を見つけて幸せにしてくれる』と甘えていた部分がありました。ところが家族の体調不良がわかってからは、『自分が家族を支えなきゃ』と切実に思うようになったんです。幸せを人任せにしていたことに反省をしたし、責任を持って自分や周りの人たちを幸せにしたいと思ったマインドの変化が、起業までのスピード感につながったと思います

働く障がい者スタッフは、農園のことが好きすぎて「休みの日でも農園に来たい」と言うほどだとか。

「彼らの人生に関わる以上、責任は重く、絶対に音を上げられないという思いもあります。まだ走りだしたばかりですが、農福連携や、障がい者の雇用の拡大は、間違いなくこれからも続けていかなきゃいけないこと。それに、やっぱり農業って楽しくて美味しいものなんです。そこに魅せられた人間として、農業人口を増やすためのお手伝いができればいいなと思っています」

小林涼子さん

農薬不使用で育てるハーブのプランターには、障がい者スタッフが1カ月かけて覚えたという、英語デザインが

水槽ではホンモロコといずみ鯛、オニテナガエビを飼育中

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魚の残餌や排泄物をバクテリアが分解。それを植物が栄養として吸収。そのサイクルによって浄化された水が水槽に戻る仕組みが"アクアポニックス栽培"

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いずみ鯛が ぐんぐん成長中

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階下の小川珈琲で ハーブや魚を提供

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AGRIKO FARMの事業って?
ビルの屋上に循環型農福連携ファームを運営。賛同する企業に一角を貸し、そこで働く障がい者をマッチング。スタッフは企業の障がい者雇用枠で採用される。持続可能な農福連携を目指す

撮影/NAE. 取材・原文/松山 梢 ※BAILA2022年11月号掲載

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