2022.10.3

ひとり親のサポートを“仕事”に！シンママ向けのシェアハウスを立ち上げるまで

SDGsやサステナブルという言葉にあふれ、様々な角度から「持続可能性」の大切さが問われている今。自ら向き合い、自分にできる“仕事”に落とし込んだ人たちのストーリー。今回は、シングルマザー向けのシェアハウスを運営する（株）Single’s Kidsの山中真奈さんにインタビュー！

子どもと母親の暮らしを持続可能にする仕事

孤独を感じるひとり親をサポートすることでその裏にいる子どもたちを救いたい

ゆるい親戚のようなつながりを増やしていきたい

足を踏み入れた瞬間、まるで親戚の家のような親しみやすさとにぎやかさに包まれたのは、山中真奈さんが代表を務めるシングルマザー向けシェアハウス。不動産と子ども。大好きなこの二つを仕事にするべく、2017年に「シングルズキッズ株式会社」を立ち上げた。彼女がまず着手したのは、ひとり親家庭で育った人たちへのアンケートだった。

「2010年に、母親の育児放棄によって子どもが餓死するというニュースを見て衝撃を受けました。シングルマザーのつらい思いは調べるほど出てくるけれど、子どもたちはどんな思いでいるんだろうと思ったんです」

アンケートで浮かび上がったのが、孤立と孤独と孤食。そこで、シェアハウスでは平日の夕食を日替わりでスタッフが提供。近所の方なども利用できる、地域開放型にした。さらに、20時まで必ずハウスに誰かがいる見守りサービスも。

「みんなで一緒にお風呂に入ることもあるので、ママの帰りが遅くなっても子どもが寂しいと思う暇がないんです。一人で子育てをするお母さんたちは、仕事と家事で精いっぱいで人とつながる機会が少ない。すると子どもの世界が広がらず、大人の男性とふれあうことや世の中にいろんな仕事があることも知らずに大人になることが。老若男女いろんな人が遊びに来ることで、ゆるい親戚のようなつながりを増やしたいんです」

パートナーからのDVやモラハラなど、様々な傷を抱えてここにたどり着いた母親たちは、人に頼っちゃいけないという意識も強い。

「このシェアハウスに来ると、同じような問題を乗り越えた先輩が『笑えるようになるから大丈夫だよ』と言ってくれる。傷を見せてもいいと思えるし、乗り越えられる希望にもなるんです。もちろん、他人同士が生活をともにするので、細かいルールはあります。依存し合うのは違うけど、助け合い、支え合う“お互いさま”の精神を大切にしています」

否定されず、暴言や暴力のない環境は、大きな安心感につながる。

「許しと愛と感謝の循環が起こる住環境にできれば自然に癒されるし、セラピーになると思います。シングルマザーはもちろん、ワンオペで子育てするお母さんって本当に大変なんです。正直、起業するよりすごい。お母さんたちを助けることができる社会になれば、その裏にいる子どもが救われると信じています」

実はシェアハウスには、20〜30代の独身女性3人も入居している。

「同じ境遇の人ばかりだと摩擦が起こるけど、子どもを見てほしいお母さんと子ども好きな単身者が集まれば、凹凸が埋まる瞬間がある。毎日新鮮な発見がある子どもとの暮らしは、単身者にもメリットがあるんです。凹凸がマッチする住環境を、これからも増やしていきたいです」