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性的暴行事件を告発した衝撃の実話『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け』をレビュー【シネマナビ】

海外エンタメ好きなライター・今 祥枝が、おすすめの最新映画をピックアップ! 今回は、ニューヨーク・タイムズのベストセラー『その名を暴け―#MeToo に火をつけたジャーナリストたちの闘い―』が原作となっており、アカデミー賞候補作品としても注目を集めている映画『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け』をご紹介。

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今 祥枝

今 祥枝


海外エンタメが大好きなライター。一年365日、映画&ドラマざんまいの日々。

『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け』

『SHE SAID/ シー・セッド その名を暴け』2023年1月13日(金)より全国公開

©Universal Studios. All Rights Reserved.

世界を揺るがす性的暴行事件のスクープは、いかにして世に出たのか

’17年、ニューヨーク・タイムズ紙に、ハリウッドに君臨した映画プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインの数十年に及ぶ性的暴行事件の告発記事が掲載された。大反響を呼んだこの記事は、映画業界だけでなく国を超えて、性犯罪やセクシャルハラスメントの被害者の声を促した。

同紙の報道記者、ジョディ・カンター(ゾーイ・カザン)とミーガン・トゥーイー(キャリー・マリガン)は、いかにして記事の掲載に至ったのか。映画は、二人の著作『その名を暴けー#MeTooに火をつけたジャーナリストたちの闘いー』をもとに、堅実なタッチで描き出す。

この映画にはいくつかの視点がある。まず最も重要なことは、’90年代からワインスタインの犯罪を組織ぐるみで隠蔽し続けてきた業界の体質を再認識することだ。劇中、告発者の一人であるアシュレイ・ジャッド本人も登場する。多大なリスクを覚悟の上で、実名で証言することを承諾した勇気あるジャッド。才能ある俳優としての未来を理不尽な理由でつぶされてもなお、まっすぐに前を向くジャッドの姿をスクリーンで見たとき、思わず涙がこぼれてしまう。

同時に、二人の記者が脅しや命の危険にさらされながらもやり抜いた、執念の報道には頭が下がる。総じてマスメディアも共犯関係にあった側面は否めないものの、彼女たちの頑張りがあったからこそ、今の変化があることは間違いないだろう。

一方で、以前ならこの手の題材の作品では描かれたことがあえて描かれていない。それはワインスタイン自身を極力画面に映さないこと。また、女性に対する暴行の場面は描かず、その場面描写はサバイバー自身の声や言葉で行うようにしていることだ。近年は、見る者にPTSDやトラウマを生じさせる犯罪者や性被害のシーンは描かない方向にある。このような変化を起こした要因のひとつが、まさにカンターとトゥーイー、被害者たちの勇気ある行動なのだ。

監督のマリア・シュラーダーと製作陣は、過半数が女性となるように制作チームをまとめたという。だからこそ、本作はもう一歩深いテーマに踏み込んでいる。娘を出産した後のトゥーイーは産後うつと闘っており、仕事に打ち込むことで、心の平静を取り戻していくという描写だ。演じるマリガンも同じ経験をしており、非常に共感したという。女性の産後ケアと仕事の関係性は、今後も大いに議論されるべき問題だろう。

このように過去を再認識し、今の価値観からその事実を振り返ることには意味がある。今ある変化を享受できることには、先人たちが積み重ねてきた不断の努力があるのだから。

監督/マリア・シュラーダー
出演/キャリー・マリガン、ゾーイ・カザン
公開/2023年1月13日(金)より全国公開

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