管理職昇進も現実的になってくる30代は、女性にとってライフステージの転換期。妊活や出産、子育てとの両立は可能?管理職になって初めて見えた意外な景色とは?メリットはもちろんデメリットまで、本音でぶっちゃけてもらいました!

メーカー・課長職
A子さん(34歳)
既婚。6年前に転職し、2年前から企画部のマネージャーに。夫が主夫として家事を担当。
IT系・課長職
B子さん(36歳)
未婚。2018年にIT広告の企画を行うシニアマネージャーに。ストレスは趣味の登山で発散。
広告系・部長職
C子さん(32歳)
既婚。人材会社を経て2018年に中途入社。2019年にマネージャーに、2021年に部長へ昇格。
中間管理職ならではの悩みや孤独感に直面することも
A子 私が管理職になったのは上司が抜けた外的要因もあったけど、半分は自分でも目指していました。
B子 管理職になる前提でアシスタントマネージャーを経験したから、私も昇進の不安はなかったかな。
C子 うちの会社はある日突然抜擢されるパターン。昇進は想像してはいたけどあまりに急で驚きました。マネージャー時代、メンバーの悩みを聞いたりモチベートするのはめっちゃ得意で。ただ、部長に上がったとき、上司から「マネージャー業務ばかりしてるんじゃない。中長期の事業プランをつくれ」と怒られて。誰もやり方を教えてくれないから一旦ネットで調べたけど、新規事業だったので当然情報は落ちてなくて(笑)。初めてのことを突然ポンッと任されるのは死ぬほど大変だったし、最初はかなりの挫折を経験しましたね。
A子 それは大変そう……。私の場合は直属の上司が辞めて暫定的に営業の部長が企画を兼務していた状況があったんです。その人は企画への理解がないから社長の承認を得る会議もほぼ私に丸投げ。「誰が最終的に責任をとってくれるんだろう」という不安はありました。頼れる上司がいなかったのはしんどかったな。
B子 愚痴や不安を部下に言うわけにいかないしね。
「愚痴を言える相手が減った!昇進したことによる孤独感は人脈づくりで乗り越えました」
A子 そうそう。私はそれまでに仕事でつくった人脈をフル活用して、他業種で管理職をしている知り合いに言える範囲で相談したりしていました。今の上司も私の提案を自分の提案として発表したり、手柄を横取りしたりするから本当に嫌。中間管理職ならではのモヤモヤや孤独感はけっこうあるかも。
B子 私の場合、一日会議で埋まってしまうことや、承認系の作業が想像以上に多いのが不満。実際になってからのギャップに悩むことはあるよね。
C子 わかる。管理職になってみて、あらためて自分の知識や責任者としての覚悟が足りていないことに直面して、ヘコんだりすることも増えました。ただ、役職が上がった分、ある程度給料がUPしたのはメリットかも。私は給与査定も任されていて、メンバーより低くならない程度の差分をもらっています。
「管理職になって給料はUP!業務量は必ずしも増えるわけではないと思う」
B子 私は1.5倍くらい上がったかな。
A子 私の場合、管理職になると残業代が役職手当に含まれるから、メンバー時代と月給はほぼ変わらず。トータルの年収が少し増えた感じ。ちなみにうちの部のメンバーたちはみんな、面談のたびに「あの人のココが嫌」とか好き勝手言うから困ってて(笑)。全員の事情をくんでいたら組織は回らないし、人間関係の面倒くささも管理職ならではかも。
B子 メンバーに人事評価を伝えるときなんかは特にコミュニケーションの難しさを感じるよね。以前、自己評価が高めな、年上の男性メンバーに厳しめの評価を伝えたら気を悪くされてしまったことが。
C子 すごくわかる。自己評価が高い人には、事前に高めの目標を伝えておくのが大事だよね。そういう手柄を挙げて目立ちたい、評価されたいって人はプレイヤーでとがったほうが絶対にいい。逆に自分を客観視できて謙虚なタイプこそ、管理職の適性があると思っていて。そういうメンバーには強みを伝えて励ますだけじゃなく周囲にも「あのコを次の管理職候補に」とアピールするように心がけています。
B子 管理職に向いていそうだなと思う部下はいるけど、実際になりたい人は少ない印象。
C子 仕事量が増えると思っている人が多いよね。一日の時間は物理的に変わらないし、管理職になったからといって働く時間が2倍になるわけじゃない。業務量はそれほど変わらないのになーって思う。
A子 できないことは潔くあきらめるというのも大事かも。私の場合は家事が苦手なので、忙しくなると掃除や洗濯ができず、そんな自分にイライラしちゃっていて。今は夫が主夫として家事をしてくれるようになったのでストレスが激減。キャパオーバーにならずに仕事に集中できるのはありがたいです。
C子 家庭はもちろん、仕事においてもあきらめは大事。忙しすぎて処理できないことは優先度を決めて「来週にさせてください」と調整し、切り捨てるようにしています。そういう調整力だったり、前もって期待値をコントロールすることは重要だよね。
B子 全部を完璧にこなそうと思うまじめな人はつぶれちゃうかも。ある程度手の抜き方を知っている人のほうが長く活躍できると思います。私は管理職になってからかなり図太くなりましたから(笑)。
C子 わかる。メンバーから「C子さんみたいに働けない」と言われることもあるけど、実際は10個依頼されたうちの重要な6個くらいしかやっていないし、友達との時間を優先することだってある。要領よくやっているだけで、裏ではけっこうサボっています(笑)。
「全部完璧にやるのはあきらめる!管理職になってから図太くなったと思います」
A子 次の世代のためにも、いろんな人が管理職になってロールモデルのバリエーションを増やすことも大事だよね。子どもがいる人や、趣味やプライベートを大切にしている人が残業せずに管理職として働くこともできると思うし、社会全体が女性活躍を推進している今はすごくチャンス。昔より自分のスタイルで働くことが許容されていると思います。
C子 心の底から管理職が嫌ならすすめないけど、少しでも気持ちに余裕があるなら踏み出してみてほしい。
A子 あと、私は仕事に納得感がない人ほど管理職をおすすめしたいです。メンバー時代、会社の決定にモヤモヤすることが多かったんです。でも管理職になってからは決定に至るまでの経緯が見えるし、自分で仕組みを変えられることも知りました。
C子 方針決定の当事者になれることを前向きに考えるか、それを責任ととらえるかってことだよね。
B子 役職が上がると裁量が持てて成長できるし、自分が磨かれている実感もあります。自分たちの働きやすさは、自分たちでつくっていけると思います。
裁量が持てる分、自分で働きやすさをつくっていける!
撮影/花村克彦〈Ajoite〉 イラスト/3rdeye 取材・原文/松山 梢 ※BAILA2025年1月号掲載