【川口春奈を語る香水】甘さの中から、かっこいい大人のハンサムさが現れるフエギア 1833の「New York」

目に見えないからこそイマジネーションを搔き立て、その人らしさや思わぬ一面を引き出すフレグランス。小さい頃から香りへの探究心があったと語る川口春奈さんが愛するフレグランスをひもとく。今回は、甘さの中から、かっこいい大人のハンサムさが現れるフエギア 1833の「New York」をご紹介。

「実はこの香りも、『サンタル 33』をまとっていた方が使っていたんです。元々、FUEGUIA 1833の独創的なフレグランスが好きだったんですけど、これもすごくユニークで。最初つけてみたときは、ちょっと私には甘いかなと思ったんですけど、つけている内に段々となじんでいってウッディさや土っぽい印象がしてくるのが面白い。甘さの中から、かっこいい大人のハンサムさが現れる感じ。『New York』って名前のイメージも素敵ですよね」（川口さん）

NYと縁の深いデザイナー、ガブリエラ・ハーストとの共作。メープル漬けのレーズンやタバコ、パロサントなど混沌する都市のように多彩な香りが交わるスパイシーで個性的なウッディグルマン。ニューヨーク 100ml ￥81400／FUEGUIA 1833

香りのもたらすイマジネーションで空想旅行へ。

“あの人がまとっていて素敵だった”“あのお店で香っていて尋ねてみた”。川口さんの香水との出会いは、直感的かつ気になった香りに対してまっすぐだ。それは、自分や仕事に対し誠実で、すっと芯の通った彼女自身のイメージと相違のない印象がある。

「香水というか、香りというものが昔から好きだったんです。姉が二人いるからかちょっとおマセな子どもだったので、ファッション同様にフレグランスとの出会いも早かったし、香水に限らず、誰もが持っている“その人自身の匂い”も好きで。意識しなくても感覚的に引き寄せられる匂いってあるし、自分と合うか合わないかもなんとなくわかるというか。鼻で感じるっていうこと自体がすごく本能的で、興味深い。だから、香りについてはずっと興味の対象で、近くにあるものな気がしています。大人になるにつれてファッションの好みがシンプルで地に足のついたものが好きになっていったように、30歳になって、香りの好みも変わってきたと思います。若い頃はバニラっぽい甘い香りも好きだったけど、ウッディで深みのあるものやスパイシーな雰囲気、ちょっとクセのあるユニークなものに惹かれるようになりました。今日挙げた3つの香水も、調香の妙というか洗練された奥深さがあって、そういう部分にハッとさせられるし、つけていても素敵だなと感じられます。

香水に限らず家ではお香を焚いたりもするんですが、香りってまず気分が上がるし包まれているだけで気持ちのスイッチングをしてくれる。基本的には気分次第で選ぶけど、“このドラマ中はこの香り”と決めることもあったり。自分がご機嫌になる方法のひとつだし、気持ちを落ち着かせてくれるものでもある。モチベーションやマインドアップに欠かせないアイテムです。10年後、どういう香りが好きになっているのか、香りとどうつきあっているのかはわからないけど、きっとそのときも感覚的に“おっ”と思い、惹かれたものをまとっているんじゃないかな」

撮影／伊藤彰紀〈aosora〉（人）、原田凌佑（物）　ヘア＆メイク／笹本恭平〈ilumini.〉　スタイリスト／百々千晴　取材・原文／渡辺敦子　※BAILA2025年11月号掲載