『結婚式のメンバー』、実はかつて『夏の黄昏』という名前で福武文庫から発売されていて、学生の時に買って読んでいた小説。著者であるカーソーン・マッカラーズの最初の作品は1940年に発表された『心は孤独な狩人」で、この『結婚式のメンバー』は1946年に書かれた作品です。兄の結婚式に出席することになった少女フランキーが主人公。自分の名前を変えたい、自由になりたいと望む彼女は、兄の結婚が何かのきっかけになるのではないか、と考えるのですが……。
「せつない気持ちになる」と書くと何だか浅い感想のように思えてしまいますが、その切なさやちょっとした焦り、不安、絶望やあきらめ。私たちの身の回りにも大なり小なり存在するその「気持ち」がこの作品には表れている気がします。