その人本来のよさを引き出すメイクを得意とするメイクアップアーティスト吉川康雄さんが、30代がもっとピュアに、もっと心地よくメイクを楽しむコツをアドバイスしてくれました。「メイクは仕事でも業務でもなく遊び道具」という吉川さんの一家言に救われる人も多いはず。
メイクアップアーティスト 吉川康雄さん
その人本来のピュアな美しさを引き出すメイクで、世界的なセレブリティからも信頼される巨匠。著書に『生まれつき美人に見せる』(ダイヤモンド社)。
そもそも自分に似合うメイクって何?
「なじむ=似合う、ではないし、なじまないほうが、きわだつ。なじませたいか、きわだてたいかで考えて」
黄みのある肌色には、同系色の黄み系の色がなじみやすい。でも、なじむことだけが「似合う」じゃない。反対色はなじまないから少量できわだつし、化粧効果を感じることができる。なじむチークに、反対色の口紅を合わせたり、いろんな遊び方ができるんだ。
「テクニックや知識より自分と向き合うことがキレイの近道」
テクニックを駆使して、コンプレックスや欠点をカバーしたり補整したりするメイクで、自分とは違う顔を目指すのって疲れちゃうよね。鏡の向こうの自分ととことん向き合って、もともとある素敵なところをそのまま引き立てるようなメイクを楽しんで。
「メイクは仕事でも義務でもなく、遊び道具です。あれダメこれダメはもったいない」
まじめな人ほどついついルールを重視して、「あれもダメ」「これもダメ」と正解を追い求めがち。でも、メイクって義務でも仕事でもなく、遊び道具なんです。脳を通さず、感覚でやってみて気持ちよければそれでいい。考えるより、感じてください。
「アイラインは遊びの象徴。マジになりすぎないで」
アイラインは遊び。目の欠点を補おうとすると、途端につまらなくなったり、マジすぎちゃったり。ドラマチックにきかせよう!と張り切りすぎず、「今日はちょっとこんな気分」ぐらいの可愛い範囲でやめるとちょうどいい。
欠点を補うのではなくチャームを生かす、自分が心地よく、なれるもの
「チークは雰囲気をつくるバランサー」
チークは、ベースメイクの一部であり、顔の雰囲気をつくり出す場所。ほんのりとした血色感や体温を感じさせるぬくもり感が、やわらかで可愛い空気感の源に。チークを味方につければ、オフィスで黒やグレーの服を着ていても、フェミニンに見えるんだ。
「厚塗りで隠すより、生かすほうがいい。当たり前とされることや ベーシックを疑って」
たとえば、クマはコンシーラーで消すのが当たり前とされがちだけど、皮膚が薄くてはかなげな、思わず振り返りたくなるようなクマ美人だっている。隠すために厚塗りすると、魅力まで隠れてしまうことがある。「当たり前」や「ベーシック」を信じすぎないで。
「ただ顔の上におくんじゃなくて、“私に何してくれるの?”で選んでみて」
パッと見て気に入った色を、ただ顔にのせてみるのも楽しいけれど、大人になったらもうちょっと戦略的になってみてもいいんじゃないかな? まぶたや唇、肌の上にのせたとき、「この色は私に何してくれる? どんな雰囲気にしてくれる?」と観察して。
「“似合う”って、自分に心地いいこと」
似合うって、自分にとって心地いいこと。自分の目で見て、きれいだなと感じることを信じよう。だって、最終的には自分の気持ちがつくり出すことだと思わない? プロにメイクされても、違和感を持ったら自分の心を大切に。
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撮影/嶌原佑矢 ヘア/shuco〈3rd〉 メイク/吉川康雄 スタイリスト/辻村真理 モデル/大政 絢、宮本茉由 取材・原文/長田杏奈 ※BAILA2020年1月号掲載