メイク×ファッションの旬なバランスを提案してきた連載「河北裕介×百々千晴の服とメイクのベストアンサー」が、今回でフィナーレ! 最終回はヘア&メイクアップアーティスト河北裕介さんとスタイリスト百々千晴さんが思う“素敵な大人”をテーマに、トータルコーディネートを提案。

1.春のセットアップ×赤リップメイク
河北裕介×百々千晴が考える「素敵な大人」とは…【素直な人】
セットアップ×赤リップ
クリーンな雰囲気のベージュのセットアップには、アイメイクではなく口もとにポイントを置いて。

ジャケット¥63800・パンツ¥46200/リンク・セオリー・ジャパン(セオリー) ネックレス¥916740・リング(右手人さし指)¥429000・(右手中指)¥308000・(左手)¥242000/シハラ トウキョウ(シハラ) 靴¥71500/アマン(ペリーコ)
百々千晴「仕立てのよいベーシックなセットアップはカジュアルな小物合わせが好バランス」
百々:“素敵だな”って思う人って、ファッションやメイクに、その人“らしさ”があるのが大前提。トレンドや他人からの見え方を主軸にするというより、自分軸を大切にしている感じかな。要は、気持ちに対して素直なんだよね。
河北:素直なことって本当に大事だよね。自分にも、他人にも素直だと嘘がない。ちゃんと自分の行動にも責任を持っていて自分の経験も知識に変える力もある。
百々:そうそう。結局はシンプルなんだよね。素直であるほど遠回りしないから、仕事にも人間関係にも誠実。ってことで、今回は私もシンプルにベージュのセットアップをスタイリング。
河北:サラッと王道なコンサバ感はあるけど、フレッシャーズっぽくならないね。
百々:そうなの。インナーをシャツではなくニットにしたり、アクセをゴールドにすることで、クリーンな中にも“らしさ”のニュアンスを出してみた。
河北:それを踏まえてメイクはあえて目もとを主張させず、渋みのある赤リップとキリッとした眉でジャケットとのバランスをとったよ。目もとを引き算することで、ジャケットスタイルも“頑張ってる”感が出ず、こなれたムードになるんだ。
河北裕介「ジャケットにはあえてアイメイクを引き算。リップや眉でバランスをとるとこなれた印象へ」

HOW TO
アイブロウは中央3色を混ぜ合わせベースを描き、右側のアッシュブラウンで眉山〜眉尻はしっかり描く。チークは3色を混ぜとり、頰に血色を足すイメージでふんわりと広げ、あくまでも“気配”程度にとどめる。リップはマット質感を選び、サラッとラフに塗り広げる。
KEY ITEMS

透け感のある発色で色み調整がしやすく、眉メイク上手に。ルナソル スタイリングアイゾーンコンパクトN 02 ¥6050/カネボウ化粧品

ピンク、ピーチ、アプリコットへと移ろう華やかなグラデーション。カメリア フトゥーラ ¥11110/シャネル(限定品)

じんわり色づくマット質感。カネボウ ルージュスターブリーズ B103 ¥4620/カネボウインターナショナルDiv.
2.フレアデニムに合わせる春のヌードカラーメイク
河北裕介×百々千晴が考える「素敵な大人」とは…【好きなものがある人】
フレアデニム×ヌードカラーメイク
カジュアルなデニムスタイルには、ヌーディーメイクで旬なムードを底上げ。

パンツ¥52800/マメ クロゴウチ オンラインストア(マメ クロゴウチ) ニット¥35200/リンク・セオリー・ジャパン(セオリー) バングル¥69300・リング(右手)¥35200・(左手)¥38500/アルティーダ ウード 靴¥123200/セルジオ ロッシ カスタマーサービス(セルジオ ロッシ)
百々:大人になるにつれ、色々あきらめてしまうこともあるかもしれないけれど、いつまでも目標を掲げたり、好きなものがあったり、夢中になれることがあるのは素敵だなって思う。それが力になることもあるしね。私も洋服が好きだから、物欲が原動力になるわけだし。
河北:どんなことでもいいから、夢中になれるものを年を重ねるごとに増やしていきたいよね。経験を積んで知識も増えると、視野も広がる楽しさもある。
百々:そんな“好きなもの”がテーマなので、今回は大好きなデニムに。
河北:大人のデニムスタイルには、あえてカラーレスなメイクをサラッと合わせたいかな。シンプルな分、ベースメイクは手抜きをせず、丁寧に仕立てて。
百々:フレアデニムはトレンドど真ん中ではないんだけど、厚底のパンプスと合わせるとヴィンテージ感があって好きなバランス。トップスは旬なポロニットを合わせて今っぽさも狙ったよ。ヌーディーメイクとも相性いいね。
河北:そう。大人のヌーディーメイクのポイントは肌づくりのほかに、カラーの選び方も重要。血色が混じったベージュにすると、肌映えもかなうんだ。

HOW TO
ベースは顔だけでなく、デコルテにも塗り広げ、“手をかけたような”肌を整える。アイシャドウは右上を上下まぶたに。右下のブラウンを目のキワにライン状に引き、境目をぼかしてやわらかく。リップは唇全体に直塗り。山部分をなだらかにすると、ふっくら印象に。
KEY ITEMS

肌のくすみを補整し、透明感をアシスト。ディオール スノー UV ベース ローズ SPF50・PA+++ 30ml ¥7480/パルファン・クリスチャン・ディオール

やわらかな印象のオレンジ~ブラウン。ルナソル アイカラーレーションN 05 ¥7700/カネボウ化粧品

モダンな血色ベージュ。ルージュデコルテ クリームグロウ 08G ¥5500/コスメデコルテ
3.カルティエ タンクに合わせる春の淡ピンクメイク
河北裕介×百々千晴が考える「素敵な大人」とは…【自分を大切にしている人】
カルティエのタンク フランセーズ×淡ピンクメイク
ラグジュアリーなアイテムを身にまとうときは、あえてやわらかなピンクメイクを合わせ、軽やかなムードに。

時計「タンク フランセーズ」(SM・YG)¥3524400・リング「パンテール ドゥ カルティエ」(WG)¥1188000・ネックレス「LOVE」(YG)¥401500/カルティエ カスタマー サービスセンター(カルティエ) ワンピース¥42900/マメ クロゴウチ オンラインストア(マメ クロゴウチ)
河北:20代のときは多少無理しても平気だったけれど、年を重ねてくるとガラリと変わる。それに早く気づけた者勝ちなんだよね。食生活やスキンケア、運動などで自分と向き合い、丁寧なルーティンを築けている人は素敵だなと思う。それが顔つきや肌、所作に表れて、その人自身のムードをつくるから。
百々:私の場合、手もととか部屋とか身の回りが荒れていると、超テンション下がるのね。自分のケアを後回しにしてるってことを目の当たりにしちゃって、潜在意識でダメージを喰らうというか。
河北:うんうん、わかる。だから俺自身、部屋も車も時計も全部ピカピカ。自分はもちろん、自分の物も大切にしなきゃ。
百々:そう! 視界に入ったとき、美しいものや大事にされているものって気分がアガる。だから、今回はカルティエの時計をメインに。 上質な時計って、普段使いもフォーマルな場でも映えるからファッションを選ばない。結果、出番が多くてコスパがいいんだよね。
河北:メイクはゴールドの時計やラベンダーのワンピと合わせて、春らしく軽やかなピンクメイクに。大人のピンクはやわらかく発色させれば、難しくない。

HOW TO
アイパレットの左側2色を混ぜとり、アイホール全体にON。目のキワ全体をリキッドのアイライナーで締め、目尻は丁寧にスッと引き抜く。チークブラシにピンクのハイライトをとり、頰広めになじませツヤを足す。リップは唇の輪郭をとりながら、きちんと塗る。
KEY ITEMS

ピンク×トープの組み合わせがスタイリッシュ。レ キャトル オンブル 387 ¥9900/シャネル(限定品)

耐久性に優れたアイライナー。黒をベースにしたグレイッシュカラーでアンニュイなムード。ケイト スーパーラスティングライナー BK-3 ¥1210(編集部調べ)/カネボウ化粧品

ゴールドニュアンスを秘めたピンク。ディオールスキン フォーエヴァー グロウ ルミナイザー 04 ¥7810/パルファン・クリスチャン・ディオール(3月7日発売)

深みのあるピーチカラー。ルージュ アリュール ラック 97 ¥5940/シャネル(限定品)
4.河北裕介×百々千晴、二人にとって思い出深い撮影やお互いの関係性を
約8年続いた河北裕介さん×百々千晴さんの連載も今回で最後。だからこそ、二人をもっと深掘り! 20年以上、第一線で活躍し続ける二人のプライベートやマインドに迫ります。今回は、二人にとって思い出深い撮影やお互いの関係性について。

「もう20年以上のつきあいだけどブレないセンスのよさはさすが!」河北裕介さん
「何事にも興味を持って追求し続ける姿にリスペクト!」百々千晴さん
二人にとって思い出深い撮影は?
百々:良くも悪くも家族みたいな存在だし、毎回お互いに全力だから、思い出の撮影はないかも。
河北:この連載に関しても、誰が特別っていうのはないよね。何より毎回、その人をきれいに見せることに対しては誠実に向き合ったと思う。
百々:お互いにせっかちだから、いかにスムーズに、段取りよく撮影を進めるか考えてる(笑)。
河北:俺たちの仕事は、一歩先を読むことが大事だからね。
お互いのことをどう思っていますか?
百々:生粋のアニキ肌だよね。というか、世話焼きおばちゃん的な? ものすごーくお世話になっていて、そこに甘えていますね。
河北:何も世話はしてないけど、百々のことは信頼しているし、リスペクトしてる! 服のセンスはもちろん、現場を明るくしてくれる百々にしかない雰囲気がある。
百々:え、ありがとう! 私も同じくリスペクトしていますよ。ただ独り身だから、老後は心配かな(笑)。
連載スタートから約8年で河北さんがさらに小顔になったとの噂!その真相は?
百々:この8年前の写真も、もうメンテ入り始めている頃じゃない?
河北:そうそう。太りすぎて腰痛めたのをきっかけにダイエットをして、20kg近く痩せたあとね。肩まわりが痩せて、かえって顔のデカさが目立つようになったんだよ。そこから、肩をつくる筋トレやマッサージを研究して今になったって感じ。
百々:本当にストイックの極み! 興味をもつことと努力を続けることって大事だなって河北さん見てて思うよ。

2017年8月号の二人
河北さんが百々さんをメイクするならどんな雰囲気に仕上げますか?

河北:百々はね〜、結構そのままでもムードがあってカッコいいんだよね。
百々:もう何度も仕事でメイクしてもらってるから、あまり新鮮みがないよね。
河北:そうなのよ。まぁいつもどおり、ファッションからメイクを組み立てていこう。今回はグレーのニット×ピンクのパンツから考えて、大人のピンクメイクに。
百々:ピンクは新鮮。
河北:とはいえ、大人にピンクを使うとなると、トゥーマッチにならないよう、ピンクにベージュを混ぜるのがコツ。アイシャドウやリップも、薄っすらピンクの気配的な。
百々:なるほど〜。

バイラ世代のときに「しておいてよかった」と思うことはありますか?
百々:よくジュエリーやハイブラのバッグとかを、“●歳になったら買おう”と思っている人も多いと思うけど、先延ばしにせず、欲しいなら今買ったほうがいいと思う。憧れのままにするのではなく、自分をそこのステージに早々に持っていっちゃう。資産価値が上がった今、ゴールドとか買っといてよかったって思うもん。
河北:何事も、即行動したほうがいいよね。そういった意味では、運動はしといた者勝ち。まったく運動していない人が筋肉を呼び覚ますのって数年かかるのよ。人生100年時代の今、老後も健康に過ごしたいのであれば、体が資本だからね。
百々さんのスタイリングに“欠かせないもの”といえば?
百々:服はあくまでも要素の一部でしかないから、出しゃばらず、その人自身が輝くことを大事にしているかな。
河北:それって、昔も今も変わらないよね。そこがブレないのがいいなって思うもん。
百々:トレンドも“流行っているから着る”って感じにしてほしくないんだよね。常にアンテナを張っておくことは大事だけど、そこに振り回されないように。自分の“ときめき”や“好き”と思う感覚を大切に!
“河北メイク”で大事にしていることをあらためて教えてください!
河北:百々のスタイリングの話に通じるんだけど、メイクが前に出るのではなく、その人“らしさ”を引き出すことかな。
百々:わかる。河北さんのメイクって、言葉では言い表せないムードが出るんだよね。多分、その人にフィットしているからこそだと思う。
河北:そのためには、自分の顔の特徴や骨格をきちんと知ること。生かす場所、引き算する場所を把握するだけで、あか抜けると思うよ。
愛用バッグとその中身を見せてください!
河北:俺は基本的に手ぶら行動なので、全部ポケットにイン。
百々:私は小さめのバッグが好き。今はプラダとエルメスのバーキンがお気に入り。中には、SHISHIKUIのサングラス&メガネ、KIJIMA TAKAYUKIコラボのシルクスカーフつき帽子。財布は2〜3年に一度は買い替えるのですが、今はエルメスのメンズ。バッグが小さいのでコスメ類は最低限のみ。ハンドクリームやリップぐらいかな。
DODO'S

愛用しているジュエリー&時計が見たいです
河北:まさかの時計がおそろいという。
百々:たまたまね! パテック・フィリップのノーチラスの白。なかなか出合えないものだから、運命と思って購入。アクセサリーは肌に合うのでゴールドが多いかな。チェーンネックレスはカルティエ、ほかはソフィー ブハイのもの。
河北:俺は昔よく買っていたクロムハーツ熱が復活。駐車場代に小銭が必要だからコインケースはボッテガ、サングラスはYUICHI TOYAMA.のもの。
DODO'S

KAWAKITA'S

健康と美容のために飲んでいるものが知りたい!
百々:インナーケアが好きで昔から色々飲んできたんだけど、鼻炎持ちだから腸内環境を整えるケアに行き着いたよ。boco to decoの青汁、ネロリハーブのハーブティー、キュメックの乳酸菌、バテン Rがスタメン。
河北:俺はサプリとかは飲まず、タンパク質や野菜を中心にした食生活にしてる。筋肉のためにもプロテインは飲んでいるんだけど、最近好きなのはNIJI PROTEIN+オーツミルクの組み合わせ。ホエイだから吸収がいいんだ。
DODO'S

KAWAKITA'S

撮影/岡本 俊(人)、田村伊吹(物) ヘア&メイク/河北裕介 スタイリスト/百々千晴 モデル/森絵梨佳 取材・原文/谷口絵美 ※BAILA2025年4月号掲載