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金原ひとみさんの新刊『fishy』をレビュー!【30代におすすめの本】

書評家・ライターの江南亜美子が、アラサー女子におすすめの最新本をピックアップ! 今回は、もがきつつ生きる、すべての女たちの背中をクールに押してくれる小説2作品をご紹介します。

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『fishy』

うさんくさい、いかがわしい、の俗語的表現をタイトルに持つこの小説。28歳独身ライターの美玖、出版社勤務で37歳の弓子、32歳インテリアデザイナーのユリは、仕事の関係を超えた飲み仲間で、会えばおしゃべりに興じる。最新美容法の効能から、子の話、性生活に関する現実と不満まで。さまざまに、あけすけに。

不倫相手との恋を絶対視していた美玖だが、妻から慰謝料の請求が来る。弓子は反対に、夫が愛人を選び、離婚話のただなかだ。「俺はずっと弓子といるのが苦痛だったよ」との言葉に精神的ダメージをくらう。

物語は、3人ともが語り手となり、それぞれの視点から世界を映し出すことで、思考法の違いが浮き彫りになっていく。たとえば弓子の「夫に尽くした貞淑な古風な妻」という自己認識は、ユリには「その歳で自分の主体性のなさを嘆いてるなんて」といらだちの対象であり、そのユリの物言いが、美玖には「凝り固まった価値観でしかものを見てない」と気に食わない。相対化がスリリングなのだ。そしてユリには明かしていない過去と現在の出来事があるようで……。

友達?ただの連れ?それでも窮地で手を差し伸べる彼女たちの連帯。痛みがひりひりと迫る問題作だ。

『fishy』

金原ひとみ

朝日新聞出版 1500円


「不穏な空気を祝福する」3人の女たちの行く道は?
焼き鳥屋で居酒屋で、しゃべり倒す美玖、弓子、ユリの3人。彼女たちのそれぞれ抱える虚無と絶望が、3人の視点のスイッチングによってあぶり出されていく。金原ひとみ、最新&最高の長編小説。

これも気になる!

『隣人X』 

『隣人X』
パリュスあや子
講談社 1400円
 
「Xが望むのは平和だけ」現代社会を映す、意欲作
派遣の厳しさ、過去の記憶、無理解の寂しさ……。ままならない3人の女性の日常は、高度な知性を持つ「惑星生物X」の難民認定により、微妙に変化していく。意外な展開と筆致がいい、新人デビュー作。


イラスト/ユリコフ・カワヒロ ※BAILA2020年11月号掲載

【BAILA 11月号はこちらから!】

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