3月に予定されている世界選手権や、来年の北京五輪を目指し、日々氷上の芸術を極める選手たち。その中でも、BAILAの注目度No.1選手・鍵山優真さんを独占取材。昨シーズンから快進撃を続ける若手のホープで、世界中が熱い視線を送るその魅力に迫ります。
NHK杯圧巻の優勝で大注目!《鍵山優真さん》
かぎやま ゆうま●2003年5月5日生まれの17歳。コーチは五輪出場経験もある父、正和さん。2019年全日本ジュニア選手権1位、2020年ユース五輪1位と、父親譲りのやわらかなひざを使ったジャンプで大躍進。シニア選手と戦った全日本選手権、四大陸選手権でも3位に入り、満を持して今季よりシニアへ。愛称はゆまち。
質の高いジャンプと踊りでシニアを席巻! 17歳のライジングスター
今世界が注目するスーパールーキーといえば、今季よりシニアに参戦し、オリンピアンの父と二人三脚で北京五輪を目指す鍵山優真選手。初戦の関東選手権では、国際スケート連盟非公認ながらルール改正後の歴代5位相当のハイスコアで優勝。鮮烈なデビューを飾ると、11月のGPシリーズNHK杯でも2位に50点近く差をつけ、見事優勝を果たした。
「プログラムを変更して臨んだ前の試合では課題がたくさん生まれて。そこからステップや表現面をめちゃくちゃ練習して、フリーはノーミスに近い演技ができました。終わった直後、『よく頑張ったな』と父から声をかけられて。一緒に頑張ってこれてよかったなと思いました」
そう喜びをかみしめる鍵山選手がスケートを始めたのは5歳のとき。
「最初はコーチ業をしている父のそばで遊んでいただけだったんですが、滑る感覚が楽しくて気づいたら本格的に始めていました」
なかなか結果が出ない時期もあったというが、躍進のきっかけとなったのはライバルの存在だった。
「関東に引っ越す前は近くにライバルがあまりいなかったので、自分が成長しているかわからなかったんです。でもこっちには周りに強い選手がたくさんいて。佐藤駿選手が目の前で4回転を跳んでる姿を見て、自分も頑張ろうとやる気が出ました」
一緒にシニアデビューを果たした同い年の佐藤選手とは、今も互いに刺激し合い、切磋琢磨する最高の関係。若き二人が日本男子の未来を引っぱっていく姿は実に頼もしい。「優勝した日はご褒美として大好きなお寿司を食べました」と17歳の高校生らしい表情も見せるが、ことスケートに関してはストイックなアスリートの顔をのぞかせる。
「練習は朝昼夜が基本。睡眠時間は5時間でも長く感じるくらいで今朝は4時半起きです。今はまだシニアの舞台に立ったところで、トップを争えるかはまた別の話。シニアとしての滑りや表現はまだまだなので、もっともっと練習をしないと」
すでに実力はトップクラスとの呼び声が高いなか、謙虚な姿勢で今の自分の立ち位置を冷静に分析している。
「目指しているのはジャンプ、スピン、ステップすべてを兼ね備えたオールラウンダーな選手。全日本選手権が終わったら4回転ルッツ、フリップもやってみたいし、来シーズンのオリンピックでメダルが取れるくらい頑張りたいです」
メダルの色を伺うと、精悍な顔つきではっきりと答えてくれた。
「金です、もちろん」
もっと知りたい! 鍵山選手Q&A
Q.これがあるとご機嫌になるものは?
A.おやつ! 特にグミが大好きです。
Q.海外試合に必ず持っていくものは?
A.白ご飯は絶対! あとはカップラーメンや焼きそばも。忘れ物がないか心配になるのでついいろいろ入れちゃって荷物は多いです。
Q.おうちでのリラックス法は?
A.音楽を聴いたり、ゲームをしたり。いちばん好きなのは「SEKAI NO OWARI」。
Q.今「推し」ているものは?
A.アニメ! 特にバレーボール漫画『ハイキュー!!』にハマっていて、スポーツ選手として気持ちがわかるぶん、読んでるとつい熱くなります。推しは影山くんで、クールキャラが好き。
Q.自分は漫画のキャラだと何タイプ?
A.冷静分析型。あんまり口には出さないけど内心燃えてるタイプかな。
Q.今季注目してもらいたいポイントは?
A.表現力。SPもフリーも曲の世界観を細かい部分まで表現しているので注目してほしい。
撮影/斎藤大嗣 取材・原文/轟木愛美 構成/斉藤壮一郎〈BAILA〉 撮影協力/横浜銀行アイスアリーナ ※BAILA2021年2月号掲載
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