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「クアッド」って知っている?大江麻理子キャスターがレクチャー!【働く30代のニュースゼミナール vol.13】

テレビ東京『WBS(ワールドビジネスサテライト)』の大江麻理子キャスターがセレクトした“働く30代女性が今知っておくべきニュースキーワード”を自身の視点から解説する連載。第13回目は、バイラ読者の約8割が知らないと答えた「クアッド」について、大江さんと一緒に学びます。

今月のKeyword【クアッド】

くあっど▶「4つの」という意味の英語(Quad)。日本、米国、オーストラリア、インドが参加する、国際支援や安全保障、経済などを協議する枠組み。4カ国はインド洋と太平洋を囲むように位置し、「自由で開かれたインド太平洋」という共通の思想を持つ。2021年3月に初めて4カ国首脳会合がオンラインで開催された。

大江麻理子キャスター 今月のKeyword【クアッド】

バイラ読者122人にアンケート

あなたは「クアッド」という言葉を知っていましたか?

はい 20%
いいえ 80%

認知度は2割と低め。「日米豪印4カ国が連携した経緯や目的、メリットが知りたい」との声が多かった。現在の日中関係についてどう感じるか聞いたところ、政治面では約6割が「良好でない」と回答し、経済面では「良好でない」「どちらともいえない」との回答が半数ずつという、複雑な関係が見てとれる結果に


国際情勢のニュースに関心がありますか?
はい 75%

いいえ 25%

7割以上が関心がある一方で、約9割が「国際情勢のニュースを難しいと感じている」とも回答。その理由には「歴史的な背景がわからない」「最近の流れを追えていない」「範囲が広すぎる」などが挙がった。国内のニュースよりハードルが高いと感じている人が多数

「日米豪印4カ国による枠組みその目的には本音と建前がある」

大江麻理子キャスター「日米豪印4カ国による枠組みその目的には本音と建前がある」

今年3月にバイデン米大統領の呼びかけで初の首脳会合が開かれたクアッド。「今まさに動向が注目されていて、国際情勢のニュースを見る上で知っておくべき」と大江さん。


「クアッドとは、日本、米国、オーストラリア、インドの枠組みを指します。4カ国の協力関係は、2004年のスマトラ島沖地震と津波被害への国際支援をきっかけにスタート。その後、日本の安倍元首相の提言によって4カ国が位置するインド洋と太平洋の安全保障についても話し合われるようになりました。『自由で開かれたインド太平洋』という共通の思想を掲げ、災害や感染症など人類にとって困ったことが起こったときの支援や安全保障を協議する枠組みとなっています。3月の首脳会合ではコロナ対応から気候問題、安全保障まで幅広い話題が議論されました」


実は、クアッドの目的には本音と建前があると大江さんは語る。


「建前では『人類の平和のため』としていますが、その裏にはインド太平洋地域で軍事的、経済的な力をどんどん拡大している中国にどう対処するかを話し合いたいという本音があるようです。4カ国には、中国との国境をめぐる対立や貿易摩擦がある一方で、経済的には切っても切り離せない関係であるという共通の事情があるんですね。クアッドとして公には言わないのですが、対中国包囲網としての側面があります」


4カ国が協力するメリットとは?


「皆さんは『スイミー』という絵本を読まれたことがあるでしょうか。小さい魚が集まることによって大きな魚に対抗するお話です。クアッドの4カ国はそれぞれ大国で小さい魚ではありませんが、まとまることで経済的にも軍事的にもより強い力を発揮する効果があると思います。一国だけで中国に対峙することで経済的な制裁を受けるリスクを減らし、中国と対等に渡り合えることがクアッドの大きなメリットです」

「外交は丁寧な言葉の積み重ね。世界に仲間がいることで平和に」

読者アンケートでは、「日本は外交においてはっきり主張しない印象があります。なぜですか?」との声が。「クアッドの目的に本音と建前があるとお話ししたとおり、外交には人間関係と同じように繊細な駆け引きがあるのだと思います。外から見ると『まどろっこしいな』と感じることもあると思うんですが、丁々発止のやりとりや勝敗が明確になるような展開はその後に混乱を招きかねません。一つひとつ言葉を丁寧に積み重ねていくことが外交の成果につながるので、実は建前が外交を進めていく上では大切なんですね」

多くの読者が国際情勢のニュースに関心がある一方で、知識の不足から難しいと感じていると回答。


「関心があることが素晴らしいですね!難しくとらえる必要はまったくなくて、まずは気負わずそのときに気になった国際ニュースを見てみるだけでもいいんじゃないでしょうか。そこで何を感じるか。もし『なんでこういうことになってるの?』と疑問に思ったら、そこから情報をさかのぼっていくかたちでいいと思います」

この先もクアッドとしての外交の動きが続いていくと大江さん。

「国の友好関係は経済的なつながりにも影響します。将来的に私たちの身のまわりにある輸入品の原産国に変化があるかもしれませんね。今は4カ国のクアッドですが、インド太平洋に領地を持つイギリスなども参加に興味を持っているようです。一国でできることは限られていますが、世界中に仲間がいることによって安定や平和をもたらす外交が今求められているのだと思います」

大江麻理子

大江麻理子


おおえ まりこ●テレビ東京報道局ニュースセンターキャスター。2001年入社。アナウンサーとして幅広い番組にて活躍後、’13年にニューヨーク支局に赴任。’14年春から『WBS(ワールドビジネスサテライト)』のメインキャスターを務める。

撮影/中田陽子〈MAETTICO〉 取材・原文/佐久間知子 構成/松井友里〈BAILA〉 ※BAILA2021年6月号掲載

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