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旅の目的は、出雲へチョコレートを買いに。ここにしかない魅力に出会う旅が、心を満たしてくれる

神々の国・出雲と古都・松江。出雲大社や松江城などの名所に加えてここだけの味・人・風景と触れ合えたら、きっと、忘れられない場所になる。旅好きのスーパーバイラーズ諸田景子さんがナビゲートする、奥深い出雲・松江の魅力を知る旅。

訪れたのは、世界が注目する、出雲のチョコレート専門店 ラ ショコラトリ ナナイロ

ラ ショコラトリ ナナイロ

ラ ショコラトリ ナナイロは、山陰で初めての「ビーントゥバー」のチョコレート専門店。「ビーントゥバー」とは、原料のカカオ豆から製品になるまでの工程を、一貫して同じ工房で作り、販売するチョコレートのこと。自然豊かな出雲の土地に根ざした製法で生まれたチョコレートは、一人の女性の情熱から始まり、やがて海外専門サイトの「世界でおいしいチョコレート10選」に選ばれ、世界から注目を集めるようになった。

ラ ショコラトリ ナナイロ代表の西森亜矢さん

ラ ショコラトリ ナナイロ代表の西森亜矢さんは大阪出身。2010年、勤務していた映像制作会社の支社創業に伴い、出雲へ移住。当時は趣味で行っていたチョコレート作りが会社に受け入れられ、新事業としてショコラトリを開業することに。2015年、カフェとショップ併設の工房として、ラ ショコラトリ ナナイロをオープン。

出雲の気候風土から生まれる味がある。大阪から移住して取り組んだビーントゥバーのチョコ作り

ラ ショコラトリ ナナイロのチョコレート

(左)丁寧な手作業で行うチョコレート作り。原料のカカオ豆の殻を取り除き、カカオシェルとカカオニブにより分ける。カカオニブにさまざまな加工を施し、チョコレートができる。その工程を、ラ ショコラトリ ナナイロ(以下ナナイロ)では同じ工房内で行っている。

 

(右)人気商品のタブレットチョコレート。ナナイロでは、毎年春と秋に新しいコレクションを発表している。それぞれに丁寧なフレーバーノート=チョコレートの説明が書かれたカードが封入されている。

旅の目的は、出雲へチョコレートを買いに。ここにしかない魅力に出会う旅が、心を満たしてくれる_4

今回、出雲・松江の旅をナビするスーパーバイラーズの諸田景子さん(右)。実は「バレンタインデーのチョコレートイベントに、ウン万円課金しました(笑)」と語る大のチョコレート好き。東京の催事でナナイロのチョコレートを知り、いつか出雲のショップを訪れたいと思っていたそう。西森さんと対面して、出雲のこと、チョコレートのこと、たっぷり聞いちゃいました。

 

諸田:モノトーンを基調にしたモダンな建物は美術館のよう! チョコレート工房にショップとカフェが併設されていて、ゆっくり楽しめますね。出雲縁結び空港の近くにあるので旅の行き帰りに立ち寄りたくなります。

西森:帰りの飛行機の時間に合わせて、カフェでケーキを食べ、お土産を買われていくお客様も多いです。

諸田:何種類もあるタブレットチョコレートは、確かにお土産にぴったりですね。飲み物とのペアリングや、どう作られているかが書いてあるフレーバーノートがついていて、西森さんの愛を感じます、それぞれについている“バッチナンバー”って、なんですか?

西森:ナナイロでは、毎年春と秋に新作チョコレートを6種類ずつ発表します。原料はカカオ豆と砂糖ですが、製法とその時の気候によってフレーバーは異なり、ひと釜ごとにナンバリングしています。今、諸田さんが手にしているタブレットは、バッチナンバー60と64。つまり、ここで60番目と64番目に作られたフレーバーなのです。

諸田:1番から60番台まで、みんな味が違うんですね!

西森:はい。チョコレート研究の第一人者である広島大学名誉教授の佐藤清隆先生にアドバイスを頂きながら、何が影響してフレーバーが変わるのか、統計をとっているんです。

諸田:その研究で、どんなことがわかってきましたか?

西森:どうやらこの土地の気候が影響しているようです。湿度が高い出雲では、チョコレート作りは難しいと言われていたのですが、この湿度があるからこそ、ここにしかないチョコレートの味わいがあることがわかってきました。東京で同じレシピで作っても、同じ味にならない。ナナイロのチョコレートの味は、結果的に「出雲の味」だったというわけです。

諸田:なるほど。西森さんは、実はもともと、チョコレートとも出雲とも関係のないお仕事をされていたのですよね。どうして出雲の土地で、ショコラティエになったのですか?

西森:大阪で働いていたときに、ビーントゥバーのチョコレートの多彩な美味しさに出会いました。「カカオ豆と砂糖しか使っていないのに、どうしてこんなに味が違うんだろう?」と気になって、海外の動画サイトからチョコレート作りを覚えて、趣味で手作りしていました。転勤で出雲に来て本格的にのめり込み、それを会社も面白がってくれたことからスタートしたんです。共同研究をしている佐藤先生にも、初めは本を読んで探し当てて、広島まで会いに行ったり、カカオ豆を個人輸入するのに苦労したり。でも、熱意が通じてここまできた、という感じですね。

諸田:すごい! どこからそのバイタリティが出てくるんですか?

西森:もともと好きなことにのめり込むタイプで、学生時代は民俗学を学んでいました。妖怪、特に座敷童子の研究に熱中していて、山陰地方の神社にもずっと興味があったんです。移住してみたら出雲は御神楽の聖地ですし、このお店にも、きっと座敷童子がいるんじゃないかな?って思っているんですよ(笑)。

カフェでは、鳥取県境港市の大人気パティスリー「ひつじ製菓」とのコラボレーションスイーツが食べられる

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(左)カフェで提供されるのは、隣県鳥取の境港市にある完全予約制パティスリー「ひつじ製菓」とのコラボレーションメニュー。チョコレートムースは、シーズンによって使用するチョコレートのカカオ豆と製法が変わるというこだわりぶり。

 

(右)山々と田園の風景が広がるカフェで、チョコレートムースをいただく。「これこそ、ここに来ないと食べられない贅沢!」と感激の諸田さん。「削ったチョコレートと、カカオソルトが添えられていて、3通りに“味変”できる。チョコ好きにはたまらないですね」

パッケージまで美しいチョコレートタブレットを旅のお土産に。絶品の味とレア度で、ギフトにもぴったり!

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出雲の土地で、その時の湿度や気候に合わせてフレーバーが変わる、ナナイロのタブレットチョコレートのコレクション。時を重ねて、開発したバッチナンバーは60を超える。キャラメルの風味、マスカットの香り、ガトーショコラ風など、個性豊かなラインナップでコンプリートしたくなる!

 


ラ ショコラトリ ナナイロ

住所:島根県出雲市斐川町坂田1934

TEL:0853-25-7676

営業時間:10:00~19:00  

定休日 : 水曜日

https://chocolate-nanairo.com


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ほかにも盛りだくさん!
ライフスタイルを豊かに彩る
出雲・松江のおすすめスポットをご紹介

歴史と文化が紡がれる、情緒にあふれたエリアだから、心を豊かにする場所がある。買う楽しみに、アガる朝ごはん、映えるくつろぎスポットで、私だけの旅の思い出作り。

【出雲エリア】
民藝の里「出西窯」へ。ずっと愛せる器を日々の暮らしに持ち帰る

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職人の手仕事で作られる日用品に「用の美」を見出す民藝運動。その考えに共感した土地の若者たちにより、75年前に開かれ、今も暮らしの器を作り続ける「出西窯」へ。工房で実直に手を動かす職人の皆さんの仕事ぶりに胸をうたれる。諸田さんは「毎日、愛着を持って使えるシンプルなお皿を、旅の思い出に持ち帰りたい」と、併設の「くらしの陶・無自性館」で、じっくりとセレクト。周辺施設「出西くらしのvillage」では「出西窯」の器を使ったメニューが楽しめるベーカリーカフェに、セレクトショップも。
使う人のことを考えた、職人の思いが伝わる「出西窯」の器。右は、昭和の時代にこの地を訪れたイギリスの陶芸家、バーナード・リーチの指導を受けてできたモーニングカップ。左は平成になってから定着した美しい青の器。「出西ブルー」と呼ばれ、料理が映える。工房で作る様子を見学してから自分で選ぶ器だから、ずっと愛せる(※2022年3月現在、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため工房・登り窯の見学は休止しています)。

出西窯 展示販売場「くらしの陶・無自性館」

住所:島根県出雲市斐川町出西3368

TEL:0853-72-0239

開館時間:9:30~18:00

定休日:毎週火曜(祝日を除く)

駐車場:あり(80台)

https://www.shussai.jp

※2022年3月現在、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため工房・登り窯の見学は休止しています。


【松江エリア】
松江城の城郭内、歴史薫る洋館カフェ「亀田山喫茶室」で優雅な朝食を

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松江の街でおすすめの朝食は「亀田山喫茶室」のフレンチトーストモーニング。黄金色に輝くフレンチトーストは、絶品の味と名高い! 厚切りの食パンは、卵液にひたされてふわふわ食感に。甘さ控えめで軽やかな味わいは、優雅な朝にぴったり。ほかにもケーキなどのおやつに、軽食も楽しめる。 フレンチトーストモーニング990円(ドリンク、ヨーグルト付き)。コーヒー・紅茶をアイスにする場合、紅茶をミルクティーにする場合+20円。フレンチトーストはモーニングのみのメニューです。
「亀田山喫茶室」があるのは、松江の町を見下ろす松江城の二の丸、天守閣へ続く坂道の途中にあるクラシカルな洋館「興雲閣」の1階。松江市が明治35年に松江市工芸品陳列所として建てた洋風建築で、約120年の歴史の中で、ほとんど改変が施されていない貴重な建物だそう。レトロな装飾が施され、ロマンチックな気分にひたれそう。

亀田山喫茶室

住所:島根県松江市殿町1-59

TEL:0852-61-5001

営業時間:
平日 9:00~16:00

土日祝 9:00~17:00(o.s.16:30)

定休日:無休
※新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、営業時間を短縮しております。


【松江エリア】
茶湯文化が息づく「月照寺」。庭園を眺めながら、お抹茶と和菓子でしみじみと心を満たす

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「月照寺」は、江戸時代から続く名刹。四季折々の風景が楽しめる。境内には名工が手がけた松江藩主代々の墓所や、大亀の像も。書院・高真殿では、美しい庭園を眺めながらお抹茶と和菓子を楽しむことができる。諸田さんも、畳に座ってほっとひと息。「昔から変わらない自然の風景に、しみじみと心が癒されます。『山陰のあじさい寺』として有名な『月照寺』、今度は初夏にも訪れたい!」
「不昧公」の名で松江の人々に親しまれている7代藩主・松平治郷公は、茶人として名高い。彼が愛した名水で淹れたお抹茶に、和菓子は松江にある和菓子店風流堂の銘菓「路芝」。白ごまがふわりと香る優しい味わいで、春先、草の上に雪が残る「月照寺」の参道の風景を表している。松江では普段から家庭でもお抹茶をいただく習慣があり、スーパーでもお抹茶と茶せんのコーナーが充実しているそう。

浄土宗 歓喜山月照寺

住所:島根県松江市外中原町179

TEL:0852-21-6056

拝観時間:

10:00~16:00

但し、6月は8:30~17:30

定休日:無休

https://www.gesshoji-matsue.com/


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撮影/永躰侑里 モデル/諸田景子(スーパーバイラーズ) 構成・文/久保田梓美

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