長塚圭史演出、田中哲司主演の舞台『浮標』が素晴らしくて

チケットがとれたらなるべくお芝居を観に行くようにし始めたのですが、最近観たこちらがとても見応えがあり……。
主演は田中哲司さん
上演時間4時間。その数字におののきながらも観にいった「浮標(ぶい)」。三好十郎作、1940年初演というこの作品は、1幕が75分、2幕が55分、そして3幕が90分という長丁場。途中10分ずつの休憩が2度入るのですが、観る前は長さに耐えられるか不安でした。
でも、とくに2幕、3幕があっという間で。

見応えとはこういうことをいうのかもしれません。
BAILAで長年連載をしてくださっている長塚圭史氏が演出、そして出演しているこの舞台は、長塚氏のプロジェクト「葛河思潮社」による3度目の上演。毎回主役の洋画家・久我五郎を田中哲司さんが演じるのもこれが最後かも、ということもあり、見逃したくないお芝居だったのです。

ときは日中戦争の影が忍び寄る頃。妻の病が刻々と悪化するなかで、自分の仕事も思うようにいかず、理想と現実の間に苦しむ五郎の必死さ。いっぽうで病に侵されながらも夫の身やこれからのことを案じ続け、それでも前を向こうとする妻・美緒の強さが、一行一行のセリフとその行間から感じられ、3幕目は会場中すすり泣きばかり。

有限であることがわかっているのに、尽くし愛し、いたわり続けようとする人の努力の尊さが伝わってきました。
北九州で8月28日に、さらに8月30日には佐賀市、そして2016年9月2日(金)~4日(日)は世田谷パブリックシアターで公演があります。当日券がある日もあるようなので、「見応え」をぜひ体感してみてください!

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