かつての私にとっても、そうだった。買い物から帰宅してからも嬉しくて、ひとりファッションショーをやっていたっけ……。
それが30代にもなると、買い物袋のまま放置するなんてこともあった。20代の頃よりもずっとお金だって使っているのに、だ。
知らぬ間に、おしゃれへのワクワク感が減ってきていたのだ。買った瞬間は気分が上がるのに、長続きしない。だから、何を買ってもなんとなく満足しきれなくて、だからこそ新しいモノがまた欲しくなる……という悪循環。
こんな私って、もしかしてビョーキ? ショッピング依存症候群? それか何にも満足できないダメなヤツ?
なんだか情けない気分になって仕事仲間にこぼしてみたら、「わかる~!」と共感してもらって、ちょっと安心。
でも、なんで私たちはこんな風になってしまったのだろう? もう一度、あのワクワク感を取り戻したい! そんなことを考えていた2016年の暮れに、久々のワクワク感を取り戻す出来事があったんです。
なんだ、高いモノ買ったから気分が上がったのね、と思われたでしょうか?
そうでもあり、それだけでもナシ。
このストールを2016年の大晦日に購入したのですが、自分なりには「初めてのご褒美買い」でした。これまで、ブランドアイテムを買ったことはあるけれども、何かの記念とか、自分へのご褒美というマインドでの買い物はしたことがなかった。
でも、なぜか昨年末に「自分へのご褒美」という記念買いもいいかもしれない、と思い立ち、購入に至ったわけですが……、これに決めるまでの時間こそが、ワクワクの正体だったと気がついたのです。
買おうかどうしようか「迷う時間」こそがワクワク感を高めるヒミツだったんです。
つまり、迷っている間中、そのアイテムのことを考えているので、自分の中で欲しい気持ちも高まるし、買ったらどんないいことがあるだろうかと妄想も膨らんで、ますます楽しくなってくるワケです。でも、どの色がいいんだろう? どの柄がいいのだろう? と決めきれず、値段も高いこともあって中々ふんぎりもつきません。
公式サイトをチェックすること、2度や3度ではありませんでした。
思い切ってお店に行って、いくつか巻かせていただいて、でも決めきれず…。
なんてことを繰り返し、自分のワードローブに合うかどうかも散々考えた挙げ句の購入だったんです。この迷う気持ちこそ、買った満足感を高めてくれたに違いない。
このとぼけたイラストに一目惚れしてしまった。
柄はよくよく見ると少年マンガの何かの作品を思い出させる民族調なイメージで、
色使いはネイビー、グレー、ベージュ、ブルー、ブラウン、白などがほどよく入っていて、手持ちの服に合わせやすいのもよかった。
そんな訳で,家に帰宅してからは、手持ちの服にあれこれ合わせてみたり久々のファッションショーを楽しみました。
最近は手頃な価格で可愛いものが増えているから、つい衝動買いしてしまったりするけれど、こんなふうに迷いに迷って買うというのも、たまにはいい。
欲しいけれども決められず、迷っているうちに素敵なものがなくなってしまったらどうしよう……と焦るというスパイラル。それって値段だけのことじゃない。安くたって迷っているうちに売り切れちゃうってことも多々あるし。
このスパイラルこそが、ワクワクを高めてくれる。買う前の気持ちの高まりこそが清水の舞台を飛び降りた後の達成感と満足感には必要だったんだ。
ショッピングの効用は、買うことだけじゃなくて買う前と買った後の気持ちの高まり。これからは、じっくり考えてからのショッピングを楽しもうと決めたのでした。(副編ナカディ)