自分の生き方やポリシーをどこまでも貫く人が、仕事をする上で心がけているシンプルなこと。木村拓哉さんのスペシャルインタビュー後編は、映画『マスカレード・ナイト』の撮影秘話から仕事への向き合い方を語ってくれました。
木村拓哉
木村拓哉
きむら たくや●1972年11月13日生まれ、東京都出身、O型。時代を象徴するスターは、16歳から俳優業に携わり、ドラマ、映画、舞台へ多数出演。多彩な職業の人物に扮してきて、毎度話題となる。現在、「木村さ~~ん!」(GYAO! 無料配信中)、ラジオ「木村拓哉のFLOW」(TOKYOFM 日曜11時30分~)でメインパーソナリティを務める。
流れに身をゆだね、ともに分かち合いながら、仲間と成長していきたい
「仕事の醍醐味って、いったいどこにあるんでしょうね(笑)。どんな職業でも、仕事をしている以上、嬉しいことや楽しいことばかりではないし、苦労や試練がつきもの。でも、何らかの喜びがあるから、たいていの人はその仕事を続けている。自分は、人と何かを分かち合ったり、気持ちを共有したりして、嬉しさや幸せが倍増するタイプの人間です。ポジティブでハッピーな気持ちの人が増えれば、現場の雰囲気も自然といいものに変わっていく。たった一人では“分かち合う”ことはできないし、そこにやりがいを感じています。」
「これまでいろんな作品を通し、多彩な職業の人物に扮してきました。ピアニスト、美容師、検事、パイロット、レーサー、武士、教師、果ては総理大臣になったこともあって(笑)。近々公開される『マスカレード・ナイト』では新田という刑事を演じています。『マスカレード・ホテル』の続編になりますが、続編というのはいつもあるものではないので、こうして同じチーム、同じキャラクターに再会できることはとても幸せですし、役者としての醍醐味のひとつといえます。」
「ホテルマンに扮し、周囲を鋭いまなざしで観察する新田には近しいものを感じます。僕自身も人間観察や分析をするのがけっこう得意(笑)。観察という意識はないけど、自然といろんな人を目で追ってしまいます。メンタリティというより、その方の熱量を感じ取ることが好きで、細かい部分を追求しちゃう感覚かな。勝手に、“この人は現場が好きなんだな〜”とか、想像しながら、一緒に仕事をして距離を縮めていくのは楽しい時間。オンオフ問わず、一期一会の出会いを大切に、何事にも手を抜かず挑んでいけたらいいですね」
「いろんな経験を積んでも、まだまだ知らない世界がたくさんある。
新たな出会いに感動しつつも、その都度、振り出しに戻る新鮮さを味わい、また努力していく過程が楽しくて仕方ない。」
映画『マスカレード・ナイト』について
アルゼンチンタンゴに初挑戦!距離感がヤバかったです(笑)
「初めて挑戦するものはなんでも緊張するし、どうなることかと不安でしたが、練習に練習を重ねましたよ。プレッシャーもあったし、個人作業というより、踊る相手との共同作業になってくるので、まずは照れを払拭させなきゃいけなくて。気合を入れて、自分にこう言い聞かせてました。“頼むからアントニオ・バンデラス、俺に降りてきてくれ”ってね(笑)」
続編へのプレッシャーは まったくない!
「どんな作品でもそうなんですが、“大ヒット”という結果よりも、現場でどういう作業をして、どんなふうに仕上がっていったかのほうが自分にとっては大事! それが後にヒットなどにつながればいいというだけ。ただ、続編だからこそ、共演者との久々の再会に喜びはあります。新しいキャストさんとの出会いもそう。とにかく現場がすべてだと思っています」
叱咤激励しながら、 作品を作っていく楽しさ!
「撮影で使用する“レール”と呼ばれる、組み立て線路があって。カメラマンさんが“レールを敷くよ!”って言うと、あっという間にスタッフさんがレールを敷いて、台車とカメラを乗せて、“動いてみようか!”と、一瞬でなります。その一つひとつの作業中に、道具を乱雑に扱う人がいると、“自分のものだと思って運ぼう!”と口を出しちゃいます。完全にお節介おじさんだね(笑)。みんな自分の役割で精いっぱいだけど、そんなときこそ、“もっと声出していこうぜ〜”って思うから」
『マスカレード・ナイト』
出演/木村拓哉、長澤まさみほか
全国にて9月17日(金)より公開
東野圭吾のベストセラー小説を映画化した『マスカレード・ホテル』の続編。ホテル・コルテシア東京に再び潜入した刑事・新田浩介(木村)と優秀なホテルウーマン・山岸尚美(長澤)が難事件に挑む姿を描く。
取材・原文/山中ゆうき 構成/菅井麻衣子〈BAILA〉 ※BAILA2021年10月号掲載