心理学者 晴香葉子さん
早稲田大学オープンカレッジ心理学講座講師。著書に『「こんなはずじゃ
ない」自分に負けない心理学』(明日香出版社)等。
“飽きる”という気持ちは、安定と余裕の証拠
「心理学的に“飽きる”ことは成長に必要なもので、よいこととしてとらえられています。皆さんの20代はきっと仕事に慣れるために頑張り、恋愛や友情の浮き沈みも経験し、仕事面でも生活面でも、大きな成長があったはず。そんなアレコレを経て突入するからこそ、30代は飽きるんです。基本的な欲求は満たされていて、自分の仕事や生活が上手にできるようになり、余裕が生まれていることを“飽きる”と表現しているだけ。 飽きた=余裕がある=新しいことを始めて成長するチャンス!ですよ」
飽きることがどうしてもポジティブに考えられないという人は、まず体を休めることが大切。
「もしも“新しいことを始めるのはちょっとキツい”と思うのであれば、そのモヤモヤは 飽きではなくエネルギー不足 から生じているかも。その場合は、好きなものに囲まれてゆっくりするなどして英気を養うこと。新しいことを始められる自分になれれば“飽き”をプラスにできるはず」
「飽きた感を解消するための“新しいこと”は特別でなくてもよし! 新規性があるだけで、ちゃんと脳の刺激になります。おすすめは“人が面白いというものを無邪気に受け入れてみる”。友達がすすめてくれる本や音楽を借りてみると、知らなかった楽しいことに出会えます。また、 何かを始めるときに、計画的に行うか、思いつきで行うか、相性がいい方法は人それぞれ。自分に合った新しいことの始め方がわかるはず」
ライフスタイル
人生の“飽き”をポジティブに転換する方法、あなたはどちらのタイプ?
贅沢な悩みだとわかってはいるけれど、ふとよぎっては消えない“飽きた感”。同世代の抱えるこの気持ちの実態を調査しました。飽きから脱出するヒントも!
2019-05-16 18:00:00
「続けていれば、なんだって飽きがきます。これは“馴化”と呼ばれ、同じ刺激を繰り返すと、慣れてしまうものなんです。いろいろ試してみたけれどどれも飽きてしまうと悩む人もいますが、それはそれでいい。むしろ、自分は次々と新しいことにチャレンジして、知識を広げられるタイプなんだととらえましょう。もちろん、新しいことを始めなくてもOKだと思います。“飽きないこと”と出会うことが、人生の目標ではありません。刺激があると脳が働くため、キラキラしているように感じるかもしれない。けれど、それが必ずハッピーだとは限らない。“飽きる”とは安定しているということです。 大きな変化が絶対に必要なのかということを考えてみてください。“飽き”を吹き飛ばせるような達成感や高揚感を感じること、安定に納得して飽きても続けられること、どちらも人生において価値あることです。飽きたけれど続けられる仕事、飽きたけれど一緒にいられる相手。飽きても続けていけることや関係があるって、意外と素敵だと感じませんか? “飽きながら生きる”というのも、素晴らしい生き方だと思いますよ!」
発想法まとめ
「同じことを繰り返していれば、飽きるものです。刺激とは、慣れてしまうもの。どんな刺激的に見えることでも“ずっと飽きないもの”なんてほぼないんです」
【飽きたは熟達したというポジティブなサイン】
「心理学では、“刺激に慣れる”ことはむしろよい面も大きいとされています。“飽きた”は言い換えると“新たな刺激を受け入れる余裕がある状態”のことですから」
【飽きに必要な刺激は"新しさ"のみ小さなことでもOKです】
「飽きている脳にとって大事なのは“新規性”のみ。立派なことを行う必要はありません。花を買ったりするだけで充分なんです。簡単な資格にトライするのも◎」