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11月歌舞伎座『寿曽我対面』に出演中! 坂東巳之助が登場!!【まんぼう部長の歌舞伎沼への誘い♯34】

「落ちるの一秒、ハマると一生」と言われる歌舞伎沼。その深淵をのぞき、沼への入り方を指南するこの連載。 今月ご紹介するのは、11月歌舞伎座で上演中の『寿曽我対面』(ことぶきそがのたいめん)に出演している坂東巳之助(みのすけ)さん。芸の確かさやストイックな姿勢で、若手俳優をリードする存在としてバイラ歌舞伎部も大注目です。亡き父・三津五郎さんの追善狂言となった『寿曽我対面』への思いや、お父さまの思い出などを取材会&インタビューで伺いました!!

歌舞伎俳優の坂東巳之助の取材会

↑取材会に臨む巳之助さん。お父さまの三津五郎さんの七回忌追善ということもあり、いつも以上に凛々しい佇まいでした!!

■工藤への怒りをまっすぐに持って五郎を演じたい

ばったり小僧 11月の歌舞伎座第二部は、部長の大好きな巳之助さんが登場ですよ!!

まんぼう部長 そうなのよ。十世坂東三津五郎さんの追善(ついぜん)狂言として上演される『寿曽我対面』に出演するのよね。

小僧 「追善」? なんですか、それ。

部長 追善っていうのは、亡くなった俳優さんのご冥福を祈って、その人にちなんだ演目や興行をやることよ。今月は、2015年に亡くなった巳之助さんのお父さまの三津五郎さんの追善というわけ。 ちなみに歌舞伎俳優さんって、たとえば「十代目坂東三津五郎」とか、「〇代目」と頭につくけれど、亡くなった俳優さんに対しては、「十世」という呼び方をしているわね。

小僧 そうなんですね。勉強になります。

部長 巳之助さんは取材会で、「父の追善にこんなにたくさんの先輩方が出てくださって、お顔をそろえてくださるのは、有難いとしかいいようがない」と言っていました。今回、巳之助さんは『対面』の曽我五郎という大役を初めて演じることになるんです。

歌舞伎俳優の坂東巳之助さん。11月歌舞伎座にて追善狂言

↑今月、勤めている曽我五郎について語る巳之助さん。「実際にお稽古をしてみると思っていた以上に、儀式的な要素が大きくて、約束ごと、決まりごとがたくさんあるなと思いました」

小僧 そうですね。そもそも『寿曽我対面』というのはどんなお話なんですか。

部長 工藤祐経(すけつね)という源氏方の武将が盛大な宴を催しているところに、工藤祐経に父親を殺された曽我十郎・五郎兄弟が、お目通りを願いにやってくるというストーリーよ。今回は、工藤を尾上菊五郎さんが演じられるというから、それも楽しみだわ。

小僧 七回忌の追善を歌舞伎座でやることが決まったとき、巳之助さんが菊五郎さんに「よろしくお願いいたします」とご挨拶の電話をしたら、菊五郎さんから「おうっ、11月対面な。よろしくな!」と言われたとか(笑)。菊五郎さん、大親分っぽくてかっこいいですね。

部長 器の大きさを感じさせる工藤のお役にぴったりよね。そして、そんな工藤に血気盛んにくってかかる五郎の役も、巳之助さんにぴったりだと思うの。巳之助さんの声の良さとか、身のこなしとか、一途なところが絶対合う!! パワー全開の巳之助さんに超期待よ♪

小僧 巳之助さん、本当によく通る伸びやかな声ですよね。

部長 そうなの。演じる五郎についての質問には、荒事(あらごと:勇猛で荒々しい役)の役ということもあって、「"荒事は小難しいことを考えてはいけない”と父も言っていました。今回、お役を習っている(尾上)松緑のお兄さまも工藤への怒りがつねにまっすぐに向いていることが大事だとおっしゃっていましたので、そういうところを大事に演じたい」と言っていたわね。

坂東巳之助さん。曽我五郎の拵えでポスター撮影

↑ポスター撮影のため、初めて曽我五郎の衣裳を着た巳之助さん。「事前に拵(こしら)えをさせていただいて、五郎のかたちもさせていただいたことで、少しみえてきたことがあったのは良かったなと思いました」

■子どもの頃、楽屋でたくさんのことを学びました。

小僧 お父さまの三津五郎さんは59歳と早くに亡くなられたんですね。どんな方だったんですか?

部長 踊りの名手としても知られていて、私も舞台を拝見したけれど、本当に軽やかな踊りだったわ。そして芸が細やかで、基本にとても忠実に演じられる方だったそうよ。

小僧 巳之助さんも「役の基本的な部分を大切にするということが、父の芸風でした。追善だから特別に何かをということではなく、歌舞伎役者として当たり前に大切にしなければならないことを大切にすることが、ひいては父の追善になるのかなと思います」と言ってましたね。あと、稽古が厳しかったということが取材会で話題になっていました。

部長 他の役者さんからも、三津五郎さんの稽古は厳しかったという声を聞くそうで、「確かに厳しかったと思いますが、ずば抜けて厳しかったかというと、どうなんでしょう。父が亡くなり、色々な先輩方に稽古を見ていただいていますが、父に限らずみなさん、受け継がれてきた大切にしているものを後輩に受け渡してくださる。適当に教える方なんていらっしゃいませんから、稽古が厳しいのは当然のことだと思います」と言っていたのが巳之助さんらしいと思ったわ。

小僧 踊りのお稽古でのやり取りも興味深かったです。自分と比べると現代人体型の巳之助さんに対して、「基本的なことは教えてあげられるけれど、僕はキミみたいに手足が長くなったこともないし、背が高くなったこともないから、自分のいい形、自分のいい体の使い方は、自分でみつけなさい」とおっしゃったとか。「父は歌舞伎や日本舞踊をやるのに、手足の長さや体のバランスがちょうどいい寸法で、実力以前に羨ましいと思っていたので、その言葉に救われた」って。

部長 いい話だわ~。

坂東三津五郎さん追善狂言の「寿曽我対面」記者会見にて

↑曽我五郎に扮した巳之助さんの父・坂東三津五郎さん。二人の面影が重なります!! 柔らかい色気のある素敵な俳優さんでした☆彡

小僧 そういえば、巳之助さん、お子さんが二人いらっしゃるんですよね。「コロナ禍では、家にいることが増えたので、2歳の長男とは公園に行ったり、遊んだりして、一緒の時間が過ごせたのは良かった」と言ってましたね。
部長 コロナ禍ならではのことよね。ただ、息子さんの初お目見得に関して聞かれたときは、「家族も楽屋に入れない今の状況では難しい」と言ってたわね。「僕らにしても、お化粧している人が隣にいたり、衣裳を着た人が廊下を通ったり、モニターから舞台の音が聞こえてきたりする中で育った上で、初お目見得や初舞台があったので」って。なるほど~と思わず納得。

小僧 初お目見得って、初めて舞台に出て、お客さまに顔を見せることですよね。

部長 そうね。初お目見得は2歳~4歳くらいにやることが多いけれど、歌舞伎俳優って、小さい頃から楽屋で過ごすことで、いろんなことに慣れ親しんでいくものなのね。

小僧 意外なところにもコロナの影響が出ていますね。

巳之助さん、追善狂言の記者会見にて

↑父の三津五郎さんが最後に『寿曽我対面』で曽我五郎を勤めたのは2011年。巳之助さんは化粧坂少将役で出演し、親子で共演。五郎の恋人役です!

■リラックスするのは家にいるときですね

部長 さて、ここで、巳之助さんにバイラ歌舞伎部が突撃インタビュー!!  一問一答に答えていただきます!! 『寿曽我対面』は、思慮深くて冷静な兄・十郎と、血気盛んな弟・五郎が対照的に描かれていますが、素顔の巳之助さんはどっちタイプですか?
巳之助 これはどっちもあると思います。両面持っているというのが、人間というものではないでしょうか。そしてそれを極端に描いたのが歌舞伎というものだと思います。

11月歌舞伎座にて「寿曽我対面」で五郎を初役

↑「ちょっとだけ口角をあげてください」というカメラマンのとみやんのリクエストで、きゅっと口角をあげる巳之助さん。ちょっとシャイな感じがたまりません♪ 無理を言って、失礼しました~!!

部長 巳之助さんはお父さま譲りで、たいへん身体の能力が優れていらっしゃいますが、体を鍛えることは、何かやっていますか? YouTube『歌舞伎ましょう!』の『おうちで見得~る』の回では、ご自宅にバランスボールがありましたが……。

巳之助 体を鍛えることは何もしてないです。踊りのお稽古などで、自然と鍛えられているという感じでしょうか。バランスボールは、以前、家族が怪我をして、そのリハビリのために買ったもので、普段、僕が使っているわけではありません。それをたまたま撮影で使ったということです。


部長 巳之助さんがリラックスするのはどんなときですか?

巳之助 家にいるときですね。家にいるのが好きなので。

坂東巳之助さんのアップ写真

↑切れ長で大きな目。色白で艶やかな肌。間近で見る巳之助さんは、とっても素敵♪ 歌舞伎役者って、やっぱりすごい☆彡と頬を赤らめる小僧でした。

小僧 お父さまはお城が好きで、本も出していらっしゃいますが、巳之助さんもお城好きですか。

巳之助 とくに好きではありません。子どもの頃は、父がいろんな城に連れて行ってくれましたけれど、子どもだったので退屈でした(笑)。

小僧 巳之助さんは、10代の頃、歌舞伎の道に進むかどうか、迷われたそうですが、バイラ読者にも道に迷っている人たちがいます。その人たちに何かアドバイスはありますか?

巳之助 それは僕なんかには、とても言えることではないです。僕が道に迷ったのは、他にもやってみたいことがあったとしたら、それを知らないまま、歌舞伎をやり続けるのはイヤだったからです。結局、歌舞伎の道に進みましたが、もともと歌舞伎の家に生まれていますから、歌舞伎の道に進むための努力を、僕はしていないんです。もちろん、歌舞伎役者として生きていくための努力はしていますけれど、歌舞伎の道に進む努力は必要なかった。そんな僕が、転職したいとか、別の道に進もうとか迷っている人にアドバイスするのは、無責任だと思います。

歌舞伎俳優の坂東巳之助さんの記者会見での写真

「生前は、父に似ていると言われると、こそばゆい感じがしましたが、亡くなってからは、『そりゃあ似てますよね。親子なんだから』と開き直れるようになりました」。「袖の袂に手を入れている姿が、お父さんそっくり!!」とカメラマンのとみやん。

部長 では、最後に、歌舞伎初心者に向けて、歌舞伎のどんなところを楽しんだらいいか、アドバイスをお願いします!!

巳之助 まず歌舞伎には、本当にいろいろな演目があるということを知ってほしいです。僕も知らない演目があるくらいで、古典もあれば、踊りもあるし、 新作もあります。笑える話があれば、悲劇もある。何を観るかによって、だいぶ印象が変わってくると思うんですね。 たとえば今回上演する『寿曽我対面』でいえば、歌舞伎を代表するような、さまざまなタイプの役柄が出てきます。工藤・十郎・五郎の立役だけでなく、大磯の虎のような美しい女方も出てくるし、朝比奈のような突拍子もない恰好をした道化役も出てきます。そういうところを楽しむこともできるし、華やかな衣裳や音楽的なセリフに魅力を感じる人もいると思います。とにかく感性を刺激するものがたくさんあるので、まずは一度、生の舞台をご覧いただければと思います。 歌舞伎は難しいと思っている方も多いと思いますが、歌舞伎は伝統を大切にしているから素晴らしいのではなくて、ご覧になった方がちゃんと楽しめるようにできているから、何百年もの長い間、続いてきたんですね。みなさんが思っているのと、順序が逆なので、それを知っていただけると、歌舞伎のハードルは下がると思います。ぜひ楽しんでください。

部長 なるほど、本当にそうですね。歌舞伎には、五感を刺激されるものがいっぱい!!

小僧 11月の舞台も豪華絢爛で、目も耳も楽しめそう♪ 巳之助さんは12月には第一部で猿之助さんと、1月には第三部で松也さんたちと歌舞伎座で共演するんですよね!歌舞伎初心者の友達を誘って観に行きま~す!!

巳之助さんのアップの写真。追善狂言「寿曽我対面」の記者会見にて

↑お着物姿が粋で素敵♪ 巳之助さんへの愛を深めたまんぼう部長でした。

■『吉例顔見世大歌舞伎』


日程/2021年11月1日(月)~26日(金)
【休演】8日(月)、18日(木)
劇場/東京都 歌舞伎座


第二部 午後2時30分~

一、「十世 坂東三津五郎七回忌追善狂言 寿曽我対面」


出演

工藤左衛門祐経:尾上菊五郎
曽我五郎時致:坂東巳之助
曽我十郎祐成:中村時蔵
小林朝比奈:尾上松緑
八幡三郎:坂東彦三郎
梶原平次景高:坂東亀蔵
化粧坂少将:中村梅枝
秦野四郎:中村萬太郎

近江小藤太:河原崎権十郎
梶原平三景時:市川團蔵
大磯の虎:中村雀右衛門

鬼王新左衛門:市川左團次
後見:秀調


二、「連獅子」

作:河竹黙阿弥

出演 狂言師右近後に親獅子の精:片岡仁左衛門 狂言師左近後に仔獅子の精:片岡千之助

浄土僧専念:市川門之助

法華僧日門:中村又五郎

吉例顔見世大歌舞伎のちらし

◆公演詳細

https://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/play/731#cast



◆公演チケット情報

https://www.kabuki-bito.jp/ticket.html

写真/富田恵

取材・構成/バイラ歌舞伎部  

まんぼう部長……ある日突然、歌舞伎沼に落ちたバイラ歌舞伎部部長。遅咲きゆえ猛スピードで沸点に達し、熱量高く歌舞伎を語る。 

ばったり小僧……歌舞伎歴2年。やる気はあるが知識は乏しい新入部員。若いイケメン俳優だけでなく、オーバー40歳の熟年俳優も大好き。

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