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【働く女性のヒット商品ストーリー③】糖質ゼロとおいしさを両立して大ヒット!サントリービールの新商品ができるまで

「こんなものが欲しかった」。思わずそう声を上げたくなるヒット商品の数々は、実は、バイラ世代の女性たちが多くの壁や苦悩を乗り越えた末に生み出したものでした。今年発売され大人気の「パーフェクトサントリービール」。糖質ゼロとともに、普通のビールと変わらない味わいを求めて費やした歳月はなんと5年! ブランドマネージャー稲垣亜梨沙さんに商品開発の極意をお聞きしました。

サントリービール株式会社 稲垣亜梨沙さん(マーケティング本部 イノベーション部 34歳)

2010年にサントリー入社。ノンアルコール飲料や新ジャンルなどの商品開発やマーケティングを経験後、「パーフェクトサントリービール」のブランドマネージャーに。

サントリービール株式会社 稲垣亜梨沙さん(マーケティング本部 イノベーション部 34歳)

パーフェクトサントリービール
ビールど真ん中のおいしさと糖質ゼロを両立させ、2021年4月にデビュー。糖質がゼロになるまでじっくり醗酵させながらおいしさを生み出す独自の醗酵技術により、機能性だけでなくアルコール5.5%の力強い飲みごたえを実現した

パーフェクト サントリービール

飲料メーカーに勤めるお酒好きとして、ビール開発に携われることは誇りの持てることだった

機能性とおいしさの両立が難しかった

松嶋菜々子さんのCMでおなじみの「パーフェクトサントリービール」は、糖質ゼロとは思えない飲みごたえが大人気。発売3カ月で年間販売計画の半分を突破する売り上げを記録した。二人のお子さんをもつ稲垣さんは、産休明けすぐにブランドマネージャーに着任し、各部署の専門家とチームを組んで開発を進めた。

「中心メンバーは私を含め、20〜30代の醸造家とデザイナーの数名。開発が始まったのは、醸造家が『いちばん喜んでいただけるビールとは?』と考えたことがきっかけでした。ビールは一日の終わりに開放的な気持ちにしてくれるものだと思っていますが、『体のことを考えると糖質が気になる……』というモヤモヤは、そんな開放感を邪魔してしまいます。そこで、糖質ゼロビールに着目したんです」  

そもそもビールは、原材料のうち麦芽の比率が50%以上であることが酒税法で定められているため、麦芽が多いと糖質のもとになるでんぷんも多くなる。早いものでは1〜2年の開発期間で発売する商品もあるなか、異例の5年という歳月が、チームのこだわりを表している。

「実は糖質をゼロにするだけであれば、すごく頑張ればできたんです。でもそれをさらにおいしくすることがとても難しく、中味開発に数年かかりました。おかげさまで目隠しで飲んでいただいても、『普通のビールと変わらない』『むしろこっちのほうがおいしい』という嬉しい声を多くいただいています」  

糖質ゼロをうたう商品がたくさん存在するなか、チームでブレずに共有したのは「あくまでも本格ビールとして闘っていく」という想い。

「機能系商品のパッケージは多くが白や緑、水色などの爽やかな世界観。開発の段階ではそちらの方向性も検討したのですが、先に完成していた中味が糖質のあるビールと比べても遜色ないものができたという自信を持っていましたので、王道のビールとしてのポジションをブラさず、品質感や品格を感じさせるゴールドと紺のパッケージを採用しました」

娘からの言葉が仕事への大きな活力になった

もともとお酒が大好きだったことからサントリーに入社したという稲垣さん。「飲料メーカーにいるお酒好きとしては、ビールの開発に携われることは誇りが持てることだった」と振り返る。ただし、子育てと仕事との両立は、「大変なことは数えきれないほど……」と苦笑いを浮かべる。

「上司や同僚、家族の助けを借りながらなんとか乗り越えました。今はほぼ在宅勤務をしているのですが、5歳の娘が私の仕事のノートに『ママ、おいしいビール、がんばってつくりなさーい!』と書いていたことがあったんです。それを見た瞬間は泣きそうになりましたね。一度困ったのは、店頭で流れている松嶋菜々子さんのCMを見て娘が『あ、ママ!』と叫んだこと。周りの方からはかなり不思議な目で見られました(笑)」  

納得のいく商品開発ができたあとも、ブランドマネージャーの仕事は中長期的に続いていく。

「一人でも多くのビール好きの方に手に取っていただけるよう、これからも広告や販促活動を頑張っていきたいです。そして同時に、子どもたちからはカッコイイと思ってもらえる母親になることが目標です」

ヒットの裏側を深掘り

あの日あの人と…ヒットにつながるコミュニケーション
いつ:パッケージのデザイン時
誰と:各部署のプロフェッショナル
何を:機能系の爽やかな方向性のパッケージでいくか、ビールらしさを追求するかについては様々な意見が出ましたが、板挟みになってただの伝書鳩にならないよう、お客さまや市場を見て「商品のことを誰よりも深く考えているのは自分だ」という強い意思を持つことを心がけました

名場面PLAYBACK
ネーミングの候補はまるで小宇宙
名前が決まるまでは、ネーミングの案ごとのデザインも数えきれないほどありまして。最終的にチームのみんなが「これにしよう!」と同じ方向を向けたときは「売れる」と感じました

プライベートでは
平日も休日もとにかく全力!
5歳の娘と2歳の息子がいるのですが、平日はゆっくり子どもとふれあう時間が取れなくて。その代わり休日に思い切り子どもと遊ぶようにしていたので、体力的にヘトヘトでした(笑)

Q.仕事で大切にしていることは?

1.敬意を持つ 2.誰よりも商品のことを考え抜く 3.厳しい局面から目を背けない
醸造家、デザイナー、宣伝、営業など、すべての人がその道のプロフェッショナル。相手への敬意は忘れないように心がけました。商品を発売したあとは、責任者として数字を追いかけなければいけないですし、お客さまの声にも向き合わなければいけません。厳しい局面はたくさんありますが、そういったことから目を背けずに、常に課題を探して「こうすればもっとよくなる」という方向性を見つけ続けたいと思います

撮影/目黒智子 取材・原文/松山 梢 ※BAILA2021年12月号掲載

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