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【働く女性とバッグとその中身⑥】フラワーアーティスト前田有紀さんのバッグの中は“マインドに共感するもの”でいっぱい!

働く女性のバッグとその中身って、普段見られることを前提としていないからこそ、より雄弁にその人のリアルを物語るもの。どんな仕事観を持っているのか、今はどんな働き方をしているのか、バッグの「中身」からそれを探ります。今回取材したのは、鎌倉在住のフラワーアーティスト・前田有紀さん。作り手の想いに共感して購入したというバッグの中にはフラワーアーティストらしいアイテムがたくさん。

前田有紀さん(フラワーアーティスト)

花という一生の仕事に出会い、30代でアナウンサーから転身

「コロナをきっかけに、家族で暮らしている街と子どもたちのために仕事を生かすことを考えました」

前田有紀さん

自然に囲まれた鎌倉の自宅にて。仕事で使った花材を持ち帰るため、家の中はいつも花でいっぱい。「アナウンサー時代、部屋に一輪の花を飾ったときに感じた思いが、今につながっています」

働き方ヒストリー

22歳:テレビ朝日入社。アナウンサーとして多くの番組に出演

27〜28歳:アナウンサーの仕事は充実。花を仕事にしてみたいと考え始める

32歳:逡巡したが、入社10年目で退社。留学し、コッツウォルズの古城でガーデナーのインターンを経験する

33歳:「花の仕事を一生続けたい」と決意し帰国。都内の生花店で修業スタート

34歳:結婚

35歳独立して個人のフラワーアーティストとして活動を始める。長男誕生

36歳:鎌倉に転居

37歳:会社guiを立ち上げる。移動販売を中心に活動

39歳:次男誕生

40歳実店舗NURをオープン。地元鎌倉で、子どもたちのためのお花教室をスタート

安定よりワクワクする職業へ花の世界を多くの人に伝えたい

前田有紀さんは鎌倉在住。「週に1〜2回、都内の生花市場と自分の店舗に通うときは自動車で。そのせいか仕事バッグに求める条件は特にありません。代わりに社会貢献や保護活動など、コンセプトに共感するブランドを選ぶことが多いです」。自身もまた、花の仕事を通じて、地域を豊かにする活動を始めている。たとえば、店の売れ残りや装花の余りなど破棄されてしまう草花を、地元の児童養護施設への寄付やコミュニティに配ることで削減する取り組み。またこの夏からは、子どものための花の教室もスタート。「コロナ禍で鎌倉にいることが増えたのがきっかけ。家族で暮らす街と子どもたちのために、できることをやっていきたいと思うようになりました」

テレビ局のアナウンサーとして活躍していた前田さんは、32歳で転身。「花に関わる仕事がしたいと考え始めたのは28歳の頃。当時、会社員としての自分の将来を『きっと数年で結婚して、育休を取って、まあ、こんなものだよね』と思ってしまっていたんです。それが、やりたいことができた瞬間、一気に変わりました。先がどうなるかわからない、安定もない、だけどワクワクするんです。数年間逡巡したものの、やはり新しい人生にチャレンジしたい気持ちが大きくなり、入社10年目で退職しました」。それからは、駆け抜ける8年間だった。修業時代を経て、独立。

「花の魅力を伝えたくて、まず移動販売などポップアップ主体のguiを設立しました。そして今年4月に、実店舗NURを都内にオープン。コロナでオンラインでの注文が増え、逆に実体験として、花の魅力を深められる場所が必要と思ったからです」

“花にまつわる体験”をより多くの人に届けることに一生を捧げたいと、きっぱりと語る。「これからは、自分の仕事を社会へ還元することも目標のひとつ。花を通じて、売るだけではない取り組みをしていきたいと思っています」

仕事とは
一生続けていきたいこと

バッグは… AYA KAWASAKI

スウェードのミニバッグは「食肉用動物の廃棄レザーを使ったブランドのもの。コンセプトに惹かれて手にしました」。作り手に共感できたり、大切に使いたくなるアイテムを選ぶことが多い。「ルイ・ヴィトン」の財布と名刺入れは姉から譲り受けたもの

前田有紀さんのバックの中身

持ち物選びは「マインドに共感するもの」を基準に

(左上)車通勤のお供は大きめのマイボトル
都心のショップには車で通勤する前田さん。「毎日持ち歩く『パタゴニア』のマイボトルは、バッグが小さい日は外に出して助手席へ」

中身の中身
(左下)地域通貨サービスのアプリで地元に貢献
「まちのコイン」は地域内で活用できるコミュニティ通貨。「余った花材を提供したり、ゴミ削減への協力でサービスを受けられたり、アプリなので気軽で便利」


中身の中身
(右上)カラーマスカラとリップ&日焼け止め
「アイメイクを頑張らなくても雰囲気が出るのでハマっています」。アフリカの教育と雇用創出活動を行うブランド「CLOUDY」のポーチに


(中)木製アクセケースにイヤリングを色々
「花の仕事では手もとアクセは邪魔になるし、服装も実用第一。耳もとでおしゃれを楽しみます」。車の中でイヤリングを選び耳につけることで仕事スイッチON


(右下)フローリストナイフは忘れずに常備
花の水揚げや枝切りに使うプロ用の折りたたみナイフ。「はさみなどは仕事先に置いていますが、コンパクトなナイフはどんなときも一緒」

撮影/上澤友香 取材・原文/久保田梓美 ※BAILA2021年11月号掲載

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