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押しつけがましくない芯の強さに癒される。働く女性が元気と勇気をもらえるおすすめ小説3選

働く女性が元気と勇気をもらえるおすすめの小説3選をご紹介。小説に登場するのは、いずれもどこか控えめなのに、いざというとき頼りたくなるようなキャラクターたち。押しつけがましくない芯の強さに癒されそう。

1.『おまじない(「燃やす」)』の裏のおじさん

『おまじない(「燃やす」)』西加奈子著 筑摩書房 682円

西加奈子著 筑摩書房 682円

淡々とした用務員さんの噓のない言葉が心に響く
男性から性的な被害を受けた女性が、世間から本人の落ち度を指摘されることがある。小学生の主人公は、よりによって母親に「ほらね!」と言われ、スカートを燃やされてしまった。スカートをはいた自分を責め続ける彼女に、学校の焼却炉でゴミを燃やし続けるおじさんは言う。「あなたは悪くない」。自分の意見を押しつけるのではなく、ただ思ったことを口にしただけのほうが、おまじないのように効くこともある。

2.『愛が嫌い』の主人公 小林

『愛が嫌い』町屋良平著 文藝春秋 1815円

町屋良平著 文藝春秋 1815円

うまく生きられない男ならではの誠実さに気づく
仕事を退職し、ファミレスの夜勤で働く29歳の主人公は、共働きの友人に頼まれ、週に3日ほど彼女の息子を保育園に迎えに行く。まだ言葉を発しない子どもと散歩がてら帰宅する30分の間、彼は子どもに話しかけ、言葉が返ってこないことにどこか安堵していた。愛を怖がって恋人ができず、繊細で社会にうまく適応できない彼には、男らしさも大人らしさもないけれど、母親が子どもを安心して預けるに足る信頼が持てるのだ。

3.『俺と師匠とブルーボーイとストリッパー』の師匠

『俺と師匠とブルーボーイと ストリッパー』桜木紫乃著 KADOKAWA 1760円

桜木紫乃著 KADOKAWA 1760円

ことごとく失敗する手品師の圧のない信念
北のキャバレーにゲストのタレントとしてやってきた世界的有名マジシャン、チャーリー片西。しかし彼は、肝心のマジックでことごとく失敗する冴えない小男だった。照明係の主人公はキャバレーの寮で生活をともにするうち、そんな彼との静かな会話を心地よく感じ、心を許していく。やがて、手品が下手なふりをしているだけなのではないかと思い至るも、チャーリー片西は何も断定せず、うふふと笑った。彼は自分の信念を押しつけない。

教えていただいたのは…

HMV&BOOKS HIBIYA COTTAGE店員

新井見枝香さん

取材・原文/新井見枝香 ※BAILA2022年2月号掲載

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