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【映画/小説】余命10年、どんな過ごし方をするだろう

『あと10年しか生きられないとしたら、あなたは何をしますか。』

みなさまこんにちは。バイラーズ清水まやです。
先日公開したばかりの映画『余命10年』を見てきました。圧倒的な映像美のなかで繰り広げられる心理描写の繊細さに心を動かされました。
この作品を見るにあたり、原作も読んだのですが、どちらも本当に素敵なので今日は私なりに感想文をしたためたいと思います。

【映画/小説】余命10年、どんな過ごし方をするだろう_1

目次

  1. 映画『余命10年』あらすじ
  2. 圧倒的映像美とストーリー性
  3. 原作小説『余命10年』
  4. 私の10年間
  5. 余命10年、どんな過ごし方をするだろう

映画『余命10年』あらすじ

二十歳で数万人に一人という不治の病により余命が10年であることを知った茉莉。
彼女は死ぬことが怖くなくなるように、生きることに執着をやめ、恋だけはしないと心に決めて生きていた。
そんなとき、同窓会で再会したのは、中学時代の同級生だった和人。別々の人生を歩んでいた二人は、この出会いをきっかけに急接近することに。
もう会ってはいけない、そう思いながら自らが病に侵されていることを隠して、どこにでもいる男女のように和人と楽しい時を重ねてしまう茉莉。

「これ以上カズくんといたら、死ぬのが怖くなる」

思い出の数が増えていくたびに失われていく残された時間。二人が最後に選んだ道とは……?

圧倒的映像美とストーリー性

真っ先に感じたのは、映像が素晴らしく美しいという事でした。
この作品は、実際に主人公茉莉の生きた時間を表現すために1年の歳月を使って撮影を行っているそうです。
画面に映し出される四季折々の風景は、茉莉や登場人物のの心理描写とリンクするものもあり、それによって作品の美しさと切なさが際立たされていると考えました。

中でも桜の描写は印象的で、季節を重ねることに桜の描写がされます。
もし、普通のラブストーリーならば『綺麗だなぁ』で終わるであろうこの描写も、『20歳の時に10年生きられるか分からない病気を発症した女性の物語』であれば話は変わります。
すなわち、季節を繰り返すことは寿命が減っていっているということなので、最初はただただ綺麗だと感じていたものも、いつしか切なさを含んだ苦しい描写になります。
風景の描写ひとつで心を動かされるだなんて、なんて巧妙なのだろう。

話は茉莉がかつての同級生であった和人をはじめ、友人や家族を交えながら『余命10年』を彩り鮮やかに生きていくストーリです。

生きたくても長い未来を生きることの出来ない茉莉生きることに意味を見出せない和人、この相反する二つの要素を持つ二人だからこそ、お互いに良い関係を見出すことが出来たのかなと考えます。

内容については、是非皆様に映画館で見て頂きたいので大きな描写は控えたいと思います。

原作小説『余命10年』

【映画/小説】余命10年、どんな過ごし方をするだろう_2

原作の小説『余命10年』は、発売直後SNSなどで切なすぎる小説として話題になりました。
しかし、作者の小坂流伽さんは本の発売を見る直前に茉莉と同じ病気でお亡くなりになっています。
小坂流伽さんは『原発性肺高血圧症』と言う病気と闘いながら、執筆活動をされていました。主人公の茉莉も同じ病気です。きっと自分の体験談なども交えているからこそ、この小説は重く、そして切ないのだと考えています。

原作では、序盤に茉莉が病名を宣告されるシーンが挟まれます。
映画ではカットされたこのシーンですが、両親や姉が狼狽するなか、茉莉ただ一人が笑って主治医に「別にいいよ、オバサンになるのなんて嫌だし。丁度いいじゃん。わたしは大丈夫。あと10年で大丈夫だよ。人生なんて」と言い切ります。

このシーンの気持ちが痛いほど分かるなと思うのです。自分が泣いてしまったら家族が余計に苦しむだろう。
特に、この病気は遺伝性のもので、茉莉の父方の祖母が同じ病気で若くして亡くなっている。いつもなら冷静なはずの父は医師に詰め寄っている。父親にとっての母親がどんな壮絶な死に方をしたか見てきたからこそ、傷ついて自分を責めているであろう父の前で弱音が吐けようか。
これから長い時間苦しむのだから、少しでも周りが苦しむ思いは避けたい。そう考えた時、一番手っ取り早いのって自分が笑う事だったり、明るく振舞う事なんですよね。

こういった描写って当事者じゃないとそう書くことは出来ないのかなと感じます。

原作では、茉莉は漫画家を夢見ている女の子で、和人は茶道の家元の息子と言う映画とはまた異なる設定ではあります。
しかし、『生きたくても長い未来を生きることの出来ず夢を諦めざるを得なかった』『後継ぎとして生まれ生きることに意味や現実味を見出せない』と言う点では映画と同じなのかなと感じています。(映画はより幅広い人に見てもらいやすいように設定が落とし込まれた印象でした)

茉莉は、和人と『どこにでもいる普通のカップル』のような恋愛をすることに戸惑いを感じながらも、それを受け入れ、考え抜いた末にある決断に至るのですが、切ないな、苦しいなの一言に尽きます。
また、献身的に支え続ける姉の桔梗の言葉にも名言が多く、是非読んで頂きたい一冊です。

私の10年間

余命10年は、主人公茉莉が20歳で病気を発症し、そして30歳で亡くなるまでの物語です。
10年って短いのか長いのか分からない期間じゃないでしょうか。生きるとしては長いけれど、人生としては短すぎる、そんなイメージです。

この作品を読んだ後、茉莉と同じ20歳から30歳の間私は何をしていたのかを少し考えていたのですが、20歳の頃は服飾学生でずっと服を縫っていました。
デザイナーになるという夢があり、未来があり、それが揺るぎないからこそ服を縫い続けることが出来たのじゃないか。
もしここで余命10年と宣告された場合前提が覆ります。その時20歳の私は変わらずデザイナーになると言い続けることが出来たのか。
そう考えた時に初めて余命10年と言う言葉の重みに気づくことが出来ました。

22歳の時、私は晴れてアパレルのデザイナー職に就きます。
そこから6年間と少しアパレルのデザイナーを経て、今は知見を広めようと様々なもののデザインをするお仕事をしています。
今年の11月で30歳になり、20歳のミシンと向き合っていた私から10年が経つこととなります。
コレストロール値が高いこと以外は健康そのものなことに感謝をし、今生きている時間を精一杯生きることが大事じゃないかと改めて実感しました。

余命10年、どんな過ごし方をするだろう

あと10年しか生きられないとしたら、どんな過ごし方をしますか。
原作の最初のほうにこんな内容の問いかけが三行ほどあるのですが、私ならばきっと日常を過ごせるところまで過ごすんだろうな、と思いました。
凄く毎日が幸せです!と宣言して回るほどではないのですが、朝カーテンを開けて「今日も生きてる~頑張ろう」って感じる程度には日々に満足しているんですよね。
家族がいて、友達が居て、好きなことを仕事にして。それは幸せに値するものだから、じんわりと享受できるところまで受け入れるだろう、そんな感じです。

仲の良い友人たちにも聞いてみたのですが、「仕事を辞めて、お世話になった人や会いたかった人に会いに行ってお話をしに行く」「好きなことをとことんやる」など本当に様々でした。
会いたい人に会いに行くってのは私もやるかもしれない。

みなさんはどんな過ごし方をしますか?

映像の美しい作品、是非劇場で

思い入れが強く長々とした感想になってしまいましたが、とにかく良い作品でした。
終盤になると劇場のあちこちから鼻水を啜る音が聞こえてきて(例外なく私も同じ感じだった)笑っちゃったのですが、良かったら皆さん見にいってください。
映像が美しいことに定評のある藤井道人監督作品なので、大画面で見たほうが間違いが無いのかなと思っております。
主演の小松奈々さん、坂口健太郎さんも配役ぴったりでした。本当にありがとうございます。

原作のほうもKindleでPrime会員は読めるようになっているみたいなので、是非皆様読んでみてください。
それではまた来週お会いしましょう~!

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