回るクローゼットにするためには、「4つの役割」のアイテムをバランスよく持つことが必要だった! スタイリストの吉村友希さんが悩み多きワードローブを徹底的に見直します。今回はスーパーバイラーズ 泉ひとみさんの私服を公開。吉村さんが”着回せる”クローゼットに改造します。
「ときめきで選んだ服が“タンスの肥やし”になりがちです」スーパーバイラーズ 泉ひとみさん
泉 普段は「コンパクトなゆるニット×ハイウエストボトム」の組み合わせが、私らしくて落ち着くバランス。ただ、インパクトのある服が好きで、直感的なときめきで購入してはうまく合わせられず持て余してしまいます。
吉村 泉さんのワードローブを分類してみると、おっしゃるとおり下の3のゾーンの存在感のある冒険服が多め。さらに2のゾーンが1着のみ、4のゾーンはゼロと極端に偏りがあるのが一目瞭然です(笑)。
泉 そうなんです。3のゾーンの服は本当に着回せなくて……。
吉村 泉さんのクローゼットが回らないのは、このゾーンが多すぎるのがきっといちばんの原因。上も下もインパクトある服ばかりだと合わせにくいので、ここは潔く、より今っぽさのあるボトムだけにしぼってみましょう。
泉 ミニスカートとラメスカートの両方に似合うトップスがないですね。こうして俯瞰できるようにしていただくと自分でもよくわかります。
吉村 泉さんに逆に不足しているのは、まずは2の勝手にきれいめに見せてくれる服のゾーン。何も考えず着るだけでサマになるシンプルなハイゲージニットがあると、ミニスカートやラメスカートのような存在感のあるボトムも大人らしく着られて回りだすので、ここに投入しましょう。
泉 普段はワンツーコーデが基本なので、あまり重ね着が得意ではなくて。私に必要なのは、どんなレイヤード服でしょうか?
吉村 確かに4のゾーンが空っぽです(笑)。1のゾーンにあるように、泉さんのベースはネックラインがあいた女っぽいニットたちなので、ワンツーで着ると“やりすぎ”感が出がちのような。おすすめはクルーネックの白ロンT。ゆるニットの下に仕込めば、肌見せ面積を微調整しつつ派手めボトムとの“緩衝材”にもなって、今よりコーデがしっくりくると思います。
1 自分らしい“心地いいバランス”を作る服
パンツスタイルながら、フェミニンな雰囲気の着こなしが泉さんのベース。どれも着回しがききそうなので、こちらのゾーンのアイテムは省かずにそのままキープ。
A 淡イエローのシャギーニット
B パウダーピンクのショート丈ニット
C ハイウエストの白パンツ
D ハイウエストのブラックデニム
2 着るだけで勝手にきれいに見せてくれる服
疲れた日も顔まわりを華やかに見せてくれるエアリーな袖コンブラウスにプラスして、冒険服にもさらりと合わせられるシンプルシックなダークグレーのタートルニットを。
E ボリューム袖のとろみブラウス
【IN】F グレーのタートルニット
ニット¥7990/アンフィーロ
3 頑張れる日のおめかし服、ちょい冒険服
“ときめき買い”したアイテムの方向性を整理。ラメスカートとミニスカートのボトムのみに厳選し、デザイン性の高すぎるトップスや背中あきワンピは潔くさようなら。
G ラメのナロースカート
H グレーのミニスカート
【OUT!】
4 今っぽいレイヤードのために仕込む服
このゾーンの服がゼロだった泉さん。フェミニン派でも取り入れやすく無難になりがちなワンツーコーデに奥行きをもたらしてくれる、プレーンな白のロンTをセレクト。
【IN】I 白のロング袖Tシャツ
カットソー¥3990/アンフィーロ
新ワードローブで着回し!
day1(A・C・F)ニットをくるりと肩かけしてシンプルなワンツーに奥行きを
「毛足の長いシャギーニットは小物感覚で使うのもあり。真逆のフラットなニットとならケンカせず、スムーズに決まります」(吉村さん)。イヤリング¥13200(イリスフォーセブン)・バングル¥26400(クイップクエイント)/フーブス バッグ¥42900/オソイ 靴下¥3960(ピエール マントゥー)・靴¥59400(ネブローニ)/ピモンテ
day2(D・E)きれい見えがかなうブラウスでデニムコーデを女っぽく格上げ
「きれいなブラウスが一枚あればカジュアルなボトムもサマになります。ブラウスはインして、しっかり腰高感を強調するのがポイントです」(吉村さん)。「上品な小物使いでぐっと洒落感が増しますね」(泉さん)。バッグ¥52000/ポレーヌ カスタマーサービス(ポレーヌ) 靴¥40700/プルミエ アロンディスモン(ファビオルスコーニ)
day3(B・H・I)ちらりと白をのぞかせれば旬のミニスカも大人仕様に
「甘め服同士を合わせる日はロンTがちょうどいい緩衝材に」(吉村さん)。メガネ¥41800/アイヴァン 東京ギャラリー(アイヴァン) イヤリング¥16500/フーブス(イリスフォーセブン) バッグ¥50000/ポレーヌ カスタマーサービス(ポレーヌ) タイツ¥1430/タビオ(靴下屋) 靴¥46200/ダイアナ 銀座本店(ダイアナ)
day4(A・D・I)家族と過ごす日の鉄板は気張らないきれいめカジュアル
「首まわりがあいているニットは中にロンTを入れると肌の面積が抑えられてデイリーに着こなしやすくなりますよ」(吉村さん)。「クルーネックなので首もとから見えても自然ですね。このレイヤード、絶対に挑戦したい!」(泉さん)。イヤリング¥13200/フーブス(イリスフォーセブン) 靴¥29700/セムインターナショナル(モヒ)
day5(B・C・E)メリハリをつけた淡色コーデなら会社までの道のりも足取り軽く
「重ねてもごわつかないとろみ素材のブラウスはインナーとしても。裾からのぞかせることで淡色コーデにちょうどいい緩急がつきます」(吉村さん)。「ニットもブラウスもよく着ているのですが重ねるなんてまったく思いつきませんでした」(泉さん)。バングル¥15400/アルティーダ ウード 靴¥29700/セムインターナショナル(モヒ)
day6(F・G)冒険服をシックなワントーンに。久しぶりのひとり時間を満喫
「トレンドのラメスカートの華やかさは、きれいな形のベーシックニットですっと受け止めて。落ち着いた色合わせにするとさらにうまくいきます」(吉村さん)。「悩み多きスカートがやっと救われました(笑)」(泉さん)。カチューシャ¥6050・イヤリング¥13200/フーブス(イリスフォーセブン) ストッキング¥1210/タビオ(靴下屋)
「大好きな主張強めの服を軸に改造できて、どう組み合わせても自分らしいコーデに着地。重ね着の魅力にも開眼しました」
撮影/花村克彦(人)、魚地武大〈TENT〉(物) ヘア&メイク/榎田茉季〈ROI〉 スタイリスト/吉村友希 取材・原文/野崎久実子 ※価格表記のないものはすべて私物です ※BAILA2024年2・3月合併号掲載