【美プロを虜にした殿堂コスメ8選】美のプロが愛してやまない想いを綴る！

美の最前線でアンテナを張り続ける目利き8人を虜にした殿堂入りコスメを、彼女たちが綴る熱烈ラブレターとともにお届け！ さらに作り手側とのスペシャル対談を通し、その愛される秘密にとことん迫ります。

今、アンチエイジング研究としても世界的に注目されるセネッセンス（細胞老化）について、最初に詳しく知ったのは、このN°1 ドゥ シャネルの発表会でのこと。セネッセンス研究とカメリア研究によって生まれた知見をわかりやすく解説いただき、シャネルの研究力の高さにとても感動。それが応用されたこの美容液。健康なときの肌に戻れる。そんなすごい希望が持てるなと。シャネルの誇りをかけたその効果はもちろん、容器の見た目や手触りとか、官能的なテクスチャーの積み重ねとか、機能美も素晴らしくて。義務ではなく、自分を美しくするスキンケアとして堪能できる。今、こんなコスメに出会えるバイラ世代がうらやましい。シルクをまとうような心持ちで、ぜひ、エッセンスで美修業してほしいですね。

松本　カメリア由来の有用成分など豊富な自然由来成分も特徴的ですね。

鷲尾　N°1 ドゥ シャネルでは、自然由来成分を高配合することに挑戦し、セラムは95％を自然由来に。自然由来成分を使用して、効果も心地よいテクスチャーもすべてあきらめずに、シャネルの一切妥協しない基準のもとに完成させるのがチャレンジでした。すべてクリアした自信作です。

松本　シャネルはフレグランスの歴史も深く、クオリティを保つため厳しい基準のもと植物研究を重ねていますよね。それがスキンケアにも応用されていて、だからこそ使ってほしい。

鷲尾　このラインは、クリーンでシンプルなパッケージから、パートナーとのシェアコスメとしてお買い求めいただくことも多いんです。サステイナブルの取り組みも徹底しており、ガラスの使用量を軽減したり、バイオ由来原料を使用したスポイトを使ったり、エネルギーを削減する工夫も至るところに。

松本　そういった取り組みをしながら、シャネルらしい洗練と機能性、エレガンスは変えていないところも素敵です！

仕事柄、新製品はすべて試しますが、ずっと使い続けたいと思うのはやっぱりこのローションです。「保湿という原点に戻り、徹底的に保湿を突き詰めた」と聞いたとき、自分の中で、スッと腑に落ちたんです。シミもたるみも気になるけれど、それ以前にいちばん大切なのはやっぱり基本のキの保湿。それを突き詰めて“貯水”という域に達したこのローションは、ベーシックにして逆にものすごい新しさを感じました。しかも、エクトインや月下香培養エッセンスなど、テクノロジー的にもきちんとした裏づけがある。印象的なのは、研究員が実際にこれ一本だけ持って砂漠に行き、自分の肌でその貯水力を証明したところ。極限の乾燥状態にこれ一本だけを頼りに挑むなんて、製品への自信と愛がなければできない。ぜひ使ってほしい名品中の名品です。

友利　新しい技術や成分も大好きですが、それを効かせたいからこそ、このローションを使うべきと思います。

浅利　感動です！　この化粧水を開発するにあたって、水分を補ってもまた逃げていくというような刹那的なものは作りたくなかったんです。花王には肌の生体に学ぶ姿勢があり、肌が保湿されている状態、乾燥している状態を徹底的に観察し、皮膚の原点を見据えた上で、保湿を超えた貯水を実現することにこだわりました。

友利　とろみがぱしゃっと浸透していくクセのないテクスチャーも魅力です。

浅利　肌の表面にはキメと呼ばれる凹凸があり、化粧水がへこみ部分に流れてしまうことで、塗りムラができてしまう場合も多いんです。乾燥肌を真にケアするには肌の凹凸両方にすき間なく化粧水が塗布されていないといけない。そこをとことん追求したテクスチャーなんです！

友利　本当に保湿された肌はザ ローションを使った肌と実感できます。上質な白シャツこそ実はいちばん頼りになるように、スキンケアもベーシックを極めたものこそがやっぱり頼もしいです。

ディオールのアイコンであり誇りである、グランヴィル ローズは、きれいに咲いているだけでなく、たくましさと生命力の強さを感じさせてくれます。そのバラのたぐいまれなる力を最高峰のサイエンスで仕上げたこのクリームは、もう、誕生した時点からすでに名品。香り、テクスチャー、肌がどうやって育っていくのか、すべてにワクワクさせられます。期待感やまない日々の手ごたえを実感しながら、本当にこのクリームには夢が詰まっているんだなと。使うだけでまるで自分自身が輝き出すよう。つけたそばから潤い、ずっと幸せに包まれている感覚。自分が特別だと思わせるって大事だと思うのですが、ジュエリーなどにも頼らず、自分の肌だけで特別な美しさを育ててくれる。もう、ずっと使い続けています。

神崎　このクリーム、満足感高いコクがあるのに、全然重くない。不思議。

小澤　効果と使い心地の両方を満たせる処方を目指して開発したんです。なかなかできないことですが、工程一つひとつも手間暇かけるのをまったく惜しまない。たとえば、温度にしても、一度80℃まで上げたら、下げるという工程があるのですが、一気に下げずに、小刻みに段階を踏んで下げていく。そうすることでクリームのできが違うんです。温度も含め細かく工程をきっちりと管理することでお菓子の舌触りが全然違ってくるように。その分、膨大なコストも時間もかかるのですが。

神崎　成分となるグランヴィル ローズも咲き誇る姿がたくましいですよね。

小澤　お花にはいろんな力が備わっているので、神崎さんがおっしゃってくださったように夢が詰まっていると。自然が育んだ美しいものには、まだ解明されていない力もいっぱいあるので。

神崎　ディオール＝幸福感。こんなにワクワクさせてくれるものなので、私はギフトにもこのクリームを。男性にも贈りますが、すごく喜ばれますよ。

ブラウス￥28500／シーニュ　スカート￥42900／フィルム（ダブルスタンダードクロージング）　イヤリング￥5400・バングル￥7560／アビステ

肌への働きもテクスチャーも最高峰を常に超えてきた今のル・セラムが本当に大好きです。角層の奥深くに届く優れた浸透感。一回で内側から輝くような効果実感。肌が脳を持っているというブレインスキン理論を応用したサイエンスに加えて、表皮細胞を生み続ける革新的な技術を搭載していて、まさにマルチな包容力を感じます。スポーツの一流選手って、栄養指導してくれる人、技術面をサポートする人、戦略を練る人、いろんな人が支えてくれるじゃないですか。ル・セラムの中にはそんなコーチがいっぱいいて、私の肌をあちらからもこちらからもサポートしてくれるみたいな。そうして、輝きだったり、なめらかさだったり、透明感だったり、毛穴のなさだったりに磨きをかけてくれる。お肌選手権があれば、間違いなく優勝です。

小田　素直に何も包み隠さず好きです。根本的なところに働きかけて、今の輝きも先々のキレイも担保される感じ。

今西　そうなんです。肌の土台からアプローチをしているので、たとえば、シワだったらシワ、乾燥だったら乾燥とかではなく、その人のそれぞれの悩みに届くというか。愛用者の方からはオーダーメイドっぽいという声が。

小田　わかります！　お肌の調子って日々変わるじゃないですか。それにいちいちアジャストしてくれて。どんな球を打ってもきっちり投げ返してくれる。そのパフォーマンスを完成させるにはいろんな苦労もあったのではと。

今西　希少な成分を世界中から探してきているのですが、それに10年以上かかっています。その配合バランスも非常にこだわっていて、これ以上ないという繊細さで完成させています。

小田　ゴールデンシルクや真珠エキス、ケルプレックスなど、世界中から集めるだけでも大変なことだし、それを絶妙なレシピで配合するって、超マニアックな難しい作業。この複雑さがあるから、手ごたえが全然違うんですね！

虜になった始まりは、そもそも15年ほど前に花王の研究所で入浴剤の取材をしたこと。長年、炭酸研究をされている研究者の方に、1〜2時間ほどじっくりお話を伺いました。炭酸には優れた血行促進の効果とともに創傷の治癒を促進するという説明を受け、衝撃を受けました。以来、その入浴剤をずっと使い続けているのですが、8年前に、今度は炭酸美容液の発表会で、また研究所を訪れたんです。お試しで使ったその瞬間、研究所を訪れていた編集者が全員「すごい」と驚愕。血行がよくなって、保湿力が向上していくのを誰もが感じたのです。肌がツルツルになっているというのも。これは保湿効果があるだけじゃないなと。まさに土台から立て直される手ごたえに、花王が「土台美容液」と命名している意味を充分理解しました。そう思いながら、今でも使い続けています。

槌田　花王が炭酸研究を開始したのは1980年代です。入浴剤や育毛剤への応用を経て、化粧品の開発は2000年代に入ってからスタートしました。

天野　なぜ化粧品に応用しようと？

槌田　化粧品に炭酸ガスを応用すれば、もっと美肌に導けるのではないかというところから始まりました。でも、ただ炭酸を配合すればいいというわけではない。そこから研究を重ねて、超微細なマイクロバブルの炭酸泡が誕生したというわけです。

天野　パチパチしない炭酸にも驚きが。

槌田　実は、パチパチすると炭酸が外にはじけて肌に浸透しない。炭酸泡を限りなく小さく、かつ高濃度に保つことが重要だったんです。

天野　ツルツルになる感じが、高濃度炭酸泡のターンオーバーを正常化する作用によるものとか。ニキビの軽減効果もあるそうですね。

槌田　愛用者の方からも肌がなめらかになったというお声をいただきます。

天野　これを使うのと使わないのではファンデーションのノリも全然違うのですが、なるほど納得です。

クリームの本来の意味は、いろんな刺激から肌の潤いが奪われないように守るもの。だから、刺激の多い日中の 肌こそ守るべきと、朝クリームを提唱してきました。でも、ベタつきや化粧くずれが気になる人が多く……。そんなときに出会ったのがこの朝クリーム。素晴らしいのは、赤ちゃんの未熟な肌を守る“胎脂”から着想を得て開発された処方を採用している点。実は、私が美容家になる前の深刻な乾燥肌を救ってくれたのがこの“胎脂”のクリームだったのです。それが朝に使えるよう進化して登場した。溶け込むようになじむ心地よさ、圧倒的な保湿力はもちろん、発見だったのは、かえって化粧ノリともちがよくなること。日中化粧くずれしないんです！　クリームが苦手な人もこの朝クリームのもはや虜。もう、手放せませんね。

石井　ひどい乾燥肌だった頃、胎脂のクリームに随分助けられました。

蘇武　胎脂は生まれたばかりの赤ちゃんが包まれているクリーム状のもの。成人の皮脂にはない特有の成分が含まれ、赤ちゃんの肌を過酷な乾燥から守っています。まさに生命の神秘ですね。その優れた保湿力とバリア力を大人の肌に応用できないかとの着想から1994年に胎脂処方のクリームが誕生したんです。

石井　当時は、濃厚な夜用でしたね。

蘇武　それをUV機能のある朝クリームに。UV機能を持ち朝に気持ちよく使える使用感に処方するのは実は至難の業で、そこにとことんこだわって作り込みました。肌なじみのよさと安定性のぎりぎりのところで成り立っているので、ほかでは真似できません。

石井　驚くのは化粧ノリともち！

蘇武　調べてみたら、その塗膜にファンデーションを取り込み一体化する特性があったんです。だから均一にのびて、化粧くずれも抑える。さらに皮脂に強いこともわかりました。

石井　鉄板の朝クリームです！

出会いは22歳のとき。ブラジルに住んでいたこともあり、もう、積極的に日焼けしていた時代でした。ガングロな肌の写真を母（美容研究家の小林照子さん）に送ったら、間髪いれずに空輸で発売されたばかりの「雪肌精」を送ってくれたんです。これまでにないみずみずしいテクスチャーで、ベタつき知らず。なのに、しっとりした充実感のある使い心地。つけたときの清涼感も素晴らしく、何度も母に空輸をお代わりしました。厳選された和漢植物の力と、類を見ない素晴らしい処方。この化粧水だったからこそ、肌を支えていくことができたと。あれから、長い年月がたち、浮気することもありますが、肌がゆらいだときや、季節の変わり目で水分や油分のバランスがくずれたとき、必ず戻ってくる。まさに私の肌を支えるお守りコスメ。これからもずっと寄り添ってほしい、そんな一品です。

小林　処方はずっと変わらずですか？

尾之上　’93年に薬用として登場してから、骨格は変えていないですね。実は、ちょっと変えるだけでもすべてがくずれてしまうかなり独特な処方なんです。

小林　やはり！　何度もお代わりしたくなる感触もクセになります。

尾之上　コーセーには感触のスペシャリストたちがいて、伝承的な感触のフィロソフィを徹底して作り込んでいます。使い心地まで大切にするコーセーならではで、社員も全員、感触の違いを修得し共有している。内から肌が潤うってどういうこと？というように。

小林　キメがキュッと整ったり、透明感が上がる秘密は何ですか？

尾之上　厳選の和漢植物エキスによるところが大きいですが、今、あらためてこの化粧水を試験し分析してみると、開発当時は意図していなかった作用や機能も次々とわかってきている。雪肌精にはいろんな可能性が詰まっているとあらためて驚かされることも多いんです。

小林　その名のとおり、まさに雪のような透明感。これからも私の肌を支えてくださいね。

ビタミンCは、それひとつで、毛穴に、シワやシミに、抗酸化に、紫外線ダメージに、マルチにアプローチして肌を底上げする優秀な成分だと教えてくれたのが、ドクターズコスメの先駆けでもあるドクターシーラボ。でも、私は敏感にゆらぎがちな肌で、ビタミンCは刺激が強いのではというイメージもあったんです。それを低刺激かつ高濃度にこだわり、美容成分のエース、ビタミンCをデイリーに使いやすい化粧水として開発してくれたところが本当に嬉しいですね。しかも、ビタミンC誘導体の中でも高浸透のAPPSが高濃度で配合されているにもかかわらず、価格もリーズナブル！　保湿力も高いので季節を問わず使えて、コツコツ貯金するように日々肌が底上げされていくよう。美容マニアとしては、頻繁にリニューアルするマニアックな姿勢にもすごく共感しています。

長田　このVC100にはAPPSとVCエチルという2種類のビタミンC誘導体が配合されていますね。

安藤　それぞれにアプローチの仕方が違うんです。APPSは浸透に優れていて、角層の奥へと深く届き、そして持続する。それに加えてVCエチルは肌表面ですぐに作用して長くとどまるのが特徴。長時間にわたって肌全体に作用する設計になっています。

長田　今のVC100は11年目で5代目とか。けっこうなリニューアル率ですね。

安藤　新しい原料が出てきたり、処方の技術も上がってきているので、そのとき最高のビタミンCをお届けするために常にアップデートを心がけています。使い心地にもこだわっており、美容液のような濃密さがありながら、スッと浸透するような設計です。

長田　長年のリピーターも多いですね。

安藤　聞くところでは、子、孫の世代まで3代で使っている方も。年代も性別も問わず、誰でも使える化粧水だと。

長田　しかも、ゆらぎ肌も、脂性肌も、乾燥肌も、どんな肌でも使える。やっぱり、ビタミンCってスゴイ！

撮影／押尾健太郎（人）、西原秀岳〈TENT〉（物）　ヘア＆メイク／広瀬あつこ（松本さん、小田さん、小林さん）、瀬古奈々（天野さん）、鈴木京子（友利さん、長田さん）　ヘア／工藤由香（神崎さん）、Ruri〈air〉（石井さん）　スタイリスト／郡山雅代〈STASH〉（物）、石関靖子（神崎さん）　取材・原文／山崎敦子　構成／中島 彩　※BAILA2023年6月号掲載