自分にとって本当に価値あるものを見つけるべく、経験豊富な先輩スタイリストの“超私的”アイテムから、その「見極め力」を学ぼう。今回は、福田亜矢子さん&斉藤くみさんに教えていただきました。便利な時代になったとはいえ、お店で実物を見て心ときめく瞬間にこそ価値があるのだとか。
「使えなくては意味がないからこそ、日常に寄り添った“いいもの”を」
スタイリスト 福田亜矢子さん
卓越したセンスと知識を生かした大人のリアルクローズは、幅広い世代の女性から絶大な支持が。雑誌や広告を手がけるほか、ECブランド「N.O.R.C」のディレクターとしても活躍中。
デニムやTシャツにひとつつけるだけで風格が出るし、エッジも効いている。そんなバランス感に惹かれたエルメスの「シェーヌ・ダンクル」は、結婚指輪も買わなかったほどジュエリーが苦手だった私が、初めて欲しいと思えた逸品。今はトレンドも早いですし、どんなに頑張って“投資”しても、やがては飽きがくることも。気負って買うダイヤより、シルバーのように普段のスタイルにさらっとプラスできるもののほうが結果、長く楽しめたりもするので、どこかリアルであることも大事だと思います。ジル サンダーの「7daysシャツ」も高価なものではありますが、あくまで基本はベーシック。それでいて曜日ごとに7種類のデザインがあるので、自分に合うものが見つけやすいのもいい。50代の先輩方も素敵に着ているのを見ると、やっぱり名品なんだなと思いますね。
ブレスレット¥175000・ピアス¥154000/エルメスジャポン(エルメス)
シャツ¥94000/ジルサンダージャパン(ジル サンダー バイ ルーシー アンド ルーク・メイヤー)
「実際に行って、見て、触れて…ときめきを感じるのも大事です」
スタイリスト 斉藤くみさん
トレンドを押さえた女性らしいスタイリングに、メンズライクなテイストをプラスする独自の世界観が人気。福田氏とともにディレクションを務める「N.O.R.C by the line」も大好評。
一度好きになると、色やサイズを変えて買ってしまう性分。5年間で5個同じ型のバッグを買ったこともありますが(笑)、ザ・ロウのローファーもリピートしたいほど好きな一足です。使うほどに出てくる味は上質な革の賜ですが、その味を出すまでに時間がかかりすぎるのは“気楽に楽しみたい”女性には不向き。その点これは履くごとにどんどんいい風合いが出てくるし、無骨すぎないところも気に入っています。 ボッテガ・ヴェネタの「スモール ザ・アルコ」も革の美しさに惚れ込み、すでにひと回り小さいサイズを愛用中。エコバッグを忍ばせたりと、荷物が増えたことで少し大きめが欲しくて、 狙っているところです。今はネットでも買える便利な時代ですが、こういう革のよさなどは、お店に行かないとわからないことだったりしますよね。うっとりするような革に触れて心がときめく、そんなときめきにこそ価値があるので、たまには表参道あたりをぶらぶらしてみるのもいいかもしれません。
靴¥119000/ザ・ロウ・ジャパン(ザ・ロウ)
バッグ¥315000/ボッテガ・ヴェネタ ジャパン(ボッテガ・ヴェネタ)
撮影/魚地武大〈TENT〉 取材・原文/伊藤真知 構成/岩鼻早苗〈BAILA〉 ※BAILA2020年12月号掲載
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