海外エンタメ好きなライター・今 祥枝が、30代女性におすすめの最新映画をピックアップ! 今回は、破天荒な物語に胸がスカッとする痛快作『Mr.ノーバディ』をご紹介。“さえないオヤジ”が、ある出来事をきっかけに豹変する姿は日常の憂さを吹き飛ばしてくれる。
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『Mr.ノーバディ』
郊外の自宅と職場の金型工場を、路線バスで往復するだけの退屈な日々を送るハッチ。家に2人組の強盗が侵入したときも、事態を悪化させないように抵抗せずやり過ごしたが、ふがいないと妻子からは白い目で見られる羽目に。理不尽なこともぐっと我慢し、火曜日のゴミ当番だって忘れずにきちんとやっているのに、割り切れない気持ちでいっぱいだ。
その積もり積もった不満が、バスに乗り込んできたチンピラに「ジジイ」呼ばわりされたことで爆発する。どこにでもいる平凡な男のはずが、“プロ”としか思えない鮮やかかつ最強の闘いっぷり!一体、彼は何者なのか?破天荒な物語に怒濤のアクションで胸がスカッとする『Mr.ノーバディ』は、問答無用で日常の憂さを吹き飛ばしてくれる。
ハッチを演じるのは人気ドラマ「ベター・コール・ソウル」や『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』などで知られるボブ・オデンカーク。これが絶妙なハマり役で、冒頭のしょぼくれ感から一転、痛快なアクションを披露するギャップがいい味なのだ。
そもそも劇中の強盗のエピソードはオデンカーク自身の体験によるもの。入魂の企画にGOサインが出る前から2年間もトレーニングを積み、スタントを自らこなすオデンカークの姿は等身大。追い詰められるハッチに重なり「頑張れ〜‼」と、つい熱くなってしまうこと間違いなし。
さらに『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズの“ドク”役でおなじみのクリストファー・ロイドが演じる、ハッチの施設にいる父親がまた驚きの展開なのだ。ひえ〜と声を上げたり、こんなのあり?と笑ってしまったり。大ヒット映画『ジョン・ウィック』のチームが手がける映像世界で、一時の現実逃避を楽しんで!
監督/イリヤ・ナイシュラー
出演/ボブ・オデンカーク、コニー・ニールセン
公開/全国にて6/11より
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『サムジンカンパニー1995』
1995年の韓国。大企業に勤めるも、雑用に甘んじる3人の女性社員が、会社の方針である英語学習を生かして自社の汚染水問題に挑む。理不尽な現実に声を上げる女性たちの姿に勇気をもらえる!
監督/イ・ジョンピル
出演/コ・アソン、イ・ソム、パク・ヘス
公開/シネマート新宿ほかにて7/9より
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『Arc アーク』
『紙の動物園』の作家、ケン・リュウの同名短編小説の映画化。30歳の体のまま、永遠の命を得たエマの数奇な人生の物語を、独特の映像世界でつづる。17歳から100歳以上を演じる芳根京子が圧巻。
監督/石川慶
出演/芳根京子、寺島しのぶ、岡田将生
公開/全国にて6/25より
イラスト/ユリコフ・カワヒロ ※BAILA2021年7月号掲載