“唯1”無二のボーイズグループTOMORROW X TOGETHERが超高速カムバック!
SOOBIN、YEONJUN、BEOMGYU、TAEHYUN、HUENINGKAIの5人で結成されたボーイズグループ「TOMORROW X TOGETHER」。
デビュー以降数々の記録を塗り替え、たゆまぬ努力でその実力を証明してきた5人が、リパッケージアルバム「The Chaos Chapter: FIGHT OR ESCAPE」を引っさげ3か月ぶりにカムバック。
8月17日(火)の全世界同時発売を受け、メディアショーケースに出席した。
(左から リーダーのSOOBIN、HUENINGKAI、BEOMGYU、YEONJUN、TAEHYUN)
スタイルの良さが際立つブラックのスーツに、大きく開いた胸元にはシルバーのアクセサリーと、わずか3か月で一気に大人っぽく成長した姿で登場。
リパッケージアルバム「The Chaos Chapter: FIGHT OR ESCAPE」
前作「The Chaos Chapter: FREEZE」は、アメリカBillboardのメインアルバムチャート「ビルボード200」で初登場5位をマークし、9週連続チャートインを果たすなど、デビュー3年目のグループとしては偉業づくしとなったアルバム。
今回の「The Chaos Chapter: FIGHT OR ESCAPE」は、そのリパッケージアルバムで、先行予約で56万枚を突破。
ギターサウンドが印象的なリード曲「LO$ER=LO♡ER」のほか、初のファンソングが収録されていることでも話題となっている。
「The Chaos Chapter: FREEZE」は、世界の突然の変化に何もできず凍ってしまった少年たちの物語で、ショッピングセンターで氷から逃げまどうコンセプトトレーラーが印象的だった。
一方今回の「The Chaos Chapter: FIGHT OR ESCAPE」について、数日前に誕生日を迎えたばかりのHUENINGKAIは、「世界に立ち向かって戦う、またはその世界から逃げ出したいと思う少年の本当の心を表しています。そして少年が自分の本心に気づくことができたのは、救いのように現れ、僕を見つけた君に出会ったから」とコンセプトを語った。
リード曲『LO$ER=LO♡ER』
“『LO$ER=LO♡ER』は、僕たちだけのもうひとつのラブソング」”
リリース前から話題沸騰中のリード曲“『LO$ER=LO♡ER』“についてTAEHYUNは、「エモポップパンクジャンルの曲で、爆発性のあるコーラスと、何度も聴きたくなるフックが特徴的な曲。世の中からは仮に“LO$ER(負け犬)”のように見えても、唯一の世界であり、救いでもある君にとってはお互いを救い合う“LO♡ER(恋人)”になりたいという少年の心を表現しました」と説明。
リーダー・SOOBINは「君を救うために、たとえ失敗するとしても世界に立ち向かって戦う、または君と一緒に逃げ出したいという少年のロマンティックな心を描きました。前作の『0X1=LOVESONG(I Know I Love You)feat. Seori』に続き、僕たちだけのもうひとつのラブソングを披露したい」と、曲への思いを語った。
YEONJUNがラップメイキングに参加
BTSの”生みの親”としても知られるパン・シヒョクPDからの提案で、ラップメイキングに参加することになったYEONJUN。
「『このサイテーな世界の終わり』というドラマからインスピレーションを受けました。2人の主人公が冒険に旅立ち、そこで経験する感情の変化が印象的だったので、互いにソウルメイトとなり、一緒なら何でも乗り越えられるという気持ちを盛り込みました」とラストに向けて畳み掛けるようなラップパートについて説明。
世界的な音楽プロデューサーたちが制作に携わる
『LO$ER=LO♡ER』には、ジャスティン・ビーバー、ザ・ウィークエンドなど、世界的なアーティストの楽曲を制作してきたビリー・ウォルシュと、ポスト・マローン、セレーナ・ゴメス、テイラー・スウィフトなどのスターと作業してきたプロデューサー、ルイス・ベルなど、そうそうたる顔ぶれが参加している。
この経緯についてTAEHYUNは、「パン・シヒョクPDが曲の制作中に、Ithaca Holdingsの音楽プロデューサーであるスクーター・ブラウンさんに助けを求めたところ、僕たちの音楽とよく合いそうだと2人のプロデューサーたちを紹介してくれたそうです。とても頼もしかったし、有難かったです」とし、HUENINGKAIは、「普段僕たちがとてもよく聴いている楽曲を作曲された方々と一緒に作業できて、光栄でしたし、嬉しかったです」と感想を述べた。
今年4月、BTSやTOMORROW X TOGETHERらが所属するHYBEは、ジャスティン・ビーバーやアリアナ・グランデなどビッグアーティストが所属するアメリカのIthaca Holdingsとパートナーシップを締結。このことが、早くもシナジー効果を生んだようだ。
ローリング・ストーンズのギターから生まれたサウンド
さらにこの曲には、もうひとつスペシャルなエピソードがあるという。
BEOMGYUは、「スクーター・ブラウンさんがパン・シヒョクPDにギターをプレゼントされたんですが、そのギターは、ローリング・ストーンズのキース・リチャーズさんが使用されていたものだったそうです。このギターで僕たちの歌のギターセッションを作ると聞いて、本当に驚きましたし、光栄でした。素晴らしいサウンドが入ったことで、より特別なものになりました」と裏話を語った。
タイトルの「$」が示す意味
TOMORROW X TOGETHERといえば、デビュー曲『ある日、頭からツノが生えた(CROWN)』から始まり、『9と4分の3番線で君を待つ(Run Away)』、『世界が燃えてしまった夜、僕たちは…』、『5時53分の空で見つけた君と僕』、など、個性的で複雑なタイトルが特徴。
前回の『0X1=LOVESONG (I Know I Love You)feat.Seori』に続き、『LO$ER=LO♡ER』でも記号を使用し、秘密の暗号のようなタイトルとなっている。
タイトルに「$」が入っているということに対し、SOOBINが「少年が気づいた欲望には、お金に対する率直な気持ちも含まれています。お金に執着する大人の姿を嫌いながらも、君と僕を救うためにはお金が必要で、一発逆転を夢見るというストーリーを盛り込みました」と語るように、MVにもパートタイマーで働く姿や、お金がなく途方に暮れていたところに、誰かが置き忘れた現金を発見して思わず盗んでしまうといったシーンなど、少年たちの富への渇望が表われている。
TAEHYUNは「周りにも仮装通貨や株式の投資など、お金を稼ぐ方法に興味がある友達が多くいます。程度の差はあれど、生きる上でお金が必要だと感じるのは誰でも同じだと思います。特に僕らの世代は現実に直面する瞬間がくるのが早くなっていると感じるので、小さい頃からお金について考えるようになるのだと思います」
と、実際にZ世代がお金に対し現実的な考えをもっていることを明かした。
5人が世界の現実に立ち向かう、ストーリー性の高いMV
毎回ストーリー性の高い仕上がりで、観終わった後には、まるで1本の映画を見たかのような余韻が残るTOMORROW X TOGETHERのMV。
今回はメンバーごとに異なるシチュエーションで、それぞれ役に扮した姿も見どころのひとつ。
SOOBINは、ハンバーガーショップで友達とポテトを投げて遊んでいたところ、店員に怒られ、お金を払わずに逃げ出す少年に。追いかけてくる店員とのデッドヒートや、トラックの荷台に“君”と身を潜めるシーンも。
HUENINGKAIは、カフェで働くパートタイマーに。社長に怒られている仕事仲間を見て憤りを感じ、店内の物を壊して、その子の手を取り逃げるというストーリー。エプロンを脱ぎ去って自由に駆け出していくシーンは爽快感があふれる。
BTSのヒット曲『Butter』のロゴが入った制服姿にも注目。
BEOMGYUは、生配信を行うインフルエンサーに。配信中、自分のやりたいことに反対してくる父親とケンカになり、大切にしていたものすべてをめちゃくちゃにして脱出を図る。美しい涙を流すシーンや、自転車で逃げだす途中、転倒してしまい血を流しながら大笑いするシーンなど、さまざまな表情を見せる。
YEONJUNは、今回も車に乗る姿を見せてくれる。銀行で残高がなく挫折していたところに、大金の入ったバッグを拾い、車に乗って逃避行。銀行の防犯カメラの映像や、警察から隠れるシーンなど、スリリングな演出が満載。
TAEHYUNは、公園でスケートボードを楽しむ若者に。あえて危険な技に挑戦することで、生きているということを実感するという姿が、同年代の心情をよく表している。前作のMVでは、ギブスをはぎ取るシーンが出てきたが、今回は付けるきっかけになる転倒シーンがあり、物語の繋がりを感じる構成となっている。
それぞれ環境は違えど、窮屈な現実のなかで時には戦い、時には逃げ出して、と世界に必死に立ち向かう姿が、4分の映像のなかに記録されている。
繰り返される毎日のなかでBEOMGYUが見つけた、自分なりの戦い方
では実際のTOMORROW X TOGETHERは困難に直面した際、戦うのか逃げるのかという質問への回答は、5人の個性が出る結果に。
TAEHYUNは、「状況を変えられないのであれば、それに合わせて進化して、苦しみに慣れるまで待つ、というタイプです。自分が無力であると感じているからこそ、社会ではなく、自分自身のベストを探します。戦うよりは、自分でできる方法を探すと思います」と沈着で知的好奇心旺盛なTAEHYUNならではの意見を語り、
SOOBINは、「僕も繰り返される日常に窮屈さを感じていたこともありますが、今は新しい趣味をつくったりしながら自分なりにFIGHTしているような気がします」と、日々新たなことにチャレンジしているSOOBINらしい考えを述べた。
BEOMGYUは、「オーディションに合格し、練習生になって、デビューしてと、なにかを乗り越えるたびにまた新しい壁ができました。正直、前回の活動の前までは会社、放送局、宿舎だけを行き来する日々に窮屈さを感じていたと思います。ですが『The Chaos Chapter: FREEZE』の活動がターニングポイントになりました。以前は大変だと思っていたことも、今はそういった感情も認めながら、そのなかで良い部分を探していく、それが僕のFIGHTの方法だと思います」と、ファンとのコミュニケーションプラットフォームで、よくその時の正直な心情や葛藤を吐露してくれる、彼らしい回答となった。
YEONJUNは世界的スーパースターの先輩をもつ、彼らならではのプレッシャーについて包み隠さず口にした。
「僕が感じる一番大きなプレッシャーは、“会社のおかげで成功した”という視線です。もちろん会社という垣根のなかで、より安定して成長できた部分もありますが、こういった視線に打ち勝つために、自分たちで基準を厳しく設定して努力を重ねています。僕はこのような視線を避けるよりは、時間がかかったとしても着実に努力していけば、良い音楽やステージで証明できると信じています。ゆっくりでも、戦っていくのが僕なりの方法です」
末っ子のHUENINGKAIからは、“復讐”という意外なワードも。「練習生の時には、さまざまな試練があって世の中を恨んだりもしました。でも考えを変えて物事をポジティブに見るようにし、挫折を経験することで成長できるという点に意識を向けるようにしました。僕は戦ったり逃げ出したりするよりは、今に集中したほうが良いと思います。そして世の中に復讐する機会を狙い、その時にはかっこよく登場したいです」と笑みを浮かべた。
初めてのファンソング『MOA Diary (Dubaddu Wari Wari)』
MOAの話になると、思わず顔をほころばせるメンバーたち
続いて、初めてMOA(TOMORROW X TOGETHERのファンの名称)のために作った『MOA Diary (Dubaddu Wari Wari)』について質問。
SOOBINはMOAのことを思い浮かべたのか、頬をゆるませながら「最もTOMORROW X TOGETHERらしく曲を作ろうとしました。ある意味ユニークでちょっと子どもっぽいと思うかもしれませんが、それが僕たちの長所なので、MOAも愛してくれるのではと思い、率直な気持ちを込めました」と答えた。
この曲の作詞にはメンバー全員が参加。一つひとつのフレーズにとびっきりの愛情が込められた、MOAへの特別なラブレター。
曲に込めた思いについてHUENINGKAIは、「MOAとの出会いからこれまでの道のりを表現しようと思いました。大変だったことを振り返るのもいいですが、一緒に楽しく盛り上がれるような曲にしたので、曲を聴きながら幸せを感じてほしいです」と、とろけるような笑顔を浮かべた。
TOMORROW X TOGETHERはどんなに疲れていても、朝から深夜までSNSを通じてファンと積極的にコミュニケーションを取ることでも有名。
「僕たちはMOAには素敵な姿をお見せするべきだとも思いますが、感情を率直に伝え、ありのままの姿を見せるのも大切だと思います。そのような姿を見て元気になってくださればうれしいです」というHUENINGKAIの言葉からは、お互いに信頼し合う関係性が伝わってきた。
YEONJUNは、「僕はMOAの投稿を見ながらいつも感謝しています。ファン同士でお互い大変だったことを話したり、慰め合ったりしているのを見て、僕も勇気をもらうことがたくさんありました。僕も人間なのでたまには弱い姿をお見せすることもありますが、逆境を乗り越える過程だと考え、必ず乗り越えられるんだと伝えたいです。仕事柄できない経験もありますが、MOAの皆さんの書き込みを見て、間接的に経験できています」と誇らしげな表情を見せた。
TikTokでも大人気! 甘くてほろ苦い『Anti-Romantic』
愛を恐れ、遠ざけたいのに、心は相手に向かってしまうという葛藤を細やかに描いた『Anti-Romantic』は、印象的な言葉選びと切ない歌詞に心を掴まれるナンバー。
単独でのプロモーションを行っていないにも関わらず、Billboardの「ワールド・デジタル・ソング・セールス・チャート」に7度もランクインするほど人気を博している。また、この曲を使用したTikTokのコンテンツは10万件を超えるということで、若い世代から支持されているのが伺える。
その理由について「タイトルはもちろん、恋をしたいけど、傷つきたくないという感情に多くの方が共感してくれているようです。実際、5日会って、メッセンジャーで別れを告げる場合もあると聞きました。人と会うのが難しい時期なので、よりそうなるのかもしれません。」と世界の状況と曲がマッチしていることを話したHUENINGKAI。
自分自身もこの曲に深く共感したというBEOMGYUは、「何かを始めたら終わりがあるものなので、それが怖くて気持ちを告げるよりは、このままの関係を維持したいと思う人が多くなっている気がします。そういった感情をよく表現しているため、支持されているのではないでしょうか」と考えを述べた。
Q&A
ここからは記者からの質疑応答。
──「ビルボード200」で5位にランクインした感想と、今後の目標、そして世界中から高い人気を得ている理由は?
TAEHYUN:初めてこの知らせを聞いたときは、信じられない気持ちでした。世界中から愛情を送ってくださることに対し、さらに素敵な音楽で応えようとメンバーと話しました。僕たちの真心が届くことをいつも願っているので、今のように真心を込めていけば、これからも良い結果を得られると思います。
SOOBIN:共感してもらえる音楽が大事だと考えています。今の僕たちの状況や感情を音楽で表現し、同年代の人たちの心を誰よりも代弁できるアーティストになりたいです。
──10代だけでなく、ほかの世代からも注目されている強みは何だと思いますか?
BEOMGYU:実際の僕たちの物語をコンテンツに盛り込んでいるので、同年代の皆さんが共感してくださっているんだと思います。時代によって多少違うかもしれませんが、誰もが一度は経験する感情を歌っているので、他の世代の方も共感して、愛情を送ってくださるのではと思います。
──ファンソング『MOA Diary (Dubaddu Wari Wari)』はどのように制作したのか、曲に込めた気持ちは?
Dubaddu Wari Wariの意味も教えてください
BEOMGYU:“Dubaddu”は、僕たちのグループ名を呼ぶときにファンの皆さんが使っている別の呼び方で、語感が良いのでサブタイトルに使ってみました。今はなかなか会うことができませんが、僕たちはいつも一緒で、関係は永遠に続くと思いながら歌詞を書きました。
HUENINGKAI:それぞれが書いた歌詞から、良いと思う部分を選んで完成させました。僕は今までMOAと話したことや、どんなメッセージをもらったのかなど、思い出を回想しながら歌詞を書きました。
──今回パフォーマンスをするにあたり、感情面でこれまでと違った点はありますか
SOOBIN:ニルヴァーナの『Smells Like Teen Spirit』を始め、多くのロックステージを見てインスピレーションを受けました。控えめな振付から感じられる内面の爆発を僕たちも表現したいと思い、スタンドマイクを使用しました。外的要因で制約されるほど、内面的に激しくなるという少年の感情を込めました。
──先輩のBTSの成功から刺激を受けていると思いますが、一方ではプレッシャーも感じていますか?
YEONJUN:先輩の良い知らせは僕たちにとっても嬉しいことですし、刺激を受けています。素晴らしい先輩方が近くにいてくれるということが大きな力になっています。プレッシャーを感じるときもありますが、避けられない部分だと思います。
それに打ち勝つためには、良い音楽と良いステージで努力を証明できると信じています。
プレッシャーを力に変え、自分たちで道を切り拓いていくTOMORROW X TOGETHER。
現在進行形で急成長を続ける彼らが、今後どんな世界を見せてくれるのか。一瞬たりとも目が離せない。
Information
'LO$ER=LO♡ER' Official MV
The Chaos Chapter: FIGHT OR ESCAPE/TOMORROW X TOGETHER
(P)&(C) BIGHIT MUSIC 取材・文/轟木愛美