ごはんを食べる時間も惜しいほどハマる『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』
でも、OITNBに関しては、見始めたら最後、ごはんを食べる時間も惜しいくらいイッキ見してしまいました。サスペンス、ヒューマン、コメディーといろんな魅力が詰まっていて、中だるみもトーンダウンも一切なし。
野呂:ハマっちゃうのわかります。私は携帯でも視聴できるようにして、トイレでも見てましたけど(笑い)。もともと海外ドラマが好きで、『セックス・アンド・ザ・シティ』(1998〜)や『グレイズ・アナトミー 恋の解剖学』(2005〜)など、ひと通り見てきたけど、こんなに一気に見たのは珍しいかも。話の展開やブラックジョークなんかも、「こんなことしちゃうんだー!」「これ、言ってもいいの?」って新鮮で。
秋元:初めは女刑務所が舞台という設定の珍しさに、興味を惹かれたんだけど。タイトルやビジュアルもスタイリッシュだし、音楽も一話ごとに違っていてかっこいい! 社会問題にもきちんと向き合っていて、正直カルチャーショックでした。
中野:派閥の作り方や駆け引きなど、脳科学者の視点から見ると、まるで心理実験のようなドラマ。男性同士なら最初に手が出るところを、舌戦から入るのも女子刑務所ならではですね。
もめごとには白黒つけるべし! 宝塚と女子刑務所の意外な共通点とは?
中野:それはお国柄もありますね。日本が舞台だったら白黒つけると禍根を残すから、もう少しグレーな幕引きになると思いますよ。
遼河:ずーっと一緒にいると、問題があったら解決しないわけにはいかないんですよね。腹にイチモツあると、結局周囲にも伝わってしまうし……。宝塚も24時間一緒という環境だったから、わかる気がします。そういう意味では、刑務所というシチュエーションについて、普通のOLさんより想像つきやすいのかも(笑い)。
野呂:意外な共通点ですね〜(笑)。それにしても、このドラマに出てくる登場人物は、みんな罪を犯して刑務所に入った人なのに、妙に共感できるのはどうしてなんだろう?
中野:罪を肯定するわけではありませんが、彼女たちの犯罪は倫理や社会正義的には反していても、自分の譲れないものを守るためのやむを得ない行動だったりします。だからこそ、エモーショナルな部分で、共感しやすいんでしょうね。
中野:そもそも、LGBTの割合は人口の約8%と言われているので、女性同士の恋愛もそれほど珍しいことではありません。それに、塀の外に婚約者がいるパイパーの心変わりは、本能的な環境への適応とも言えます。専門用語では「認知的不協和状態」というのですが、人間は現実が変えられないとなると、自分を変えるようにプログラムされているんですよ。
一同:へー!!!
秋元:環境を変えられないパイパーは、自分を変えたということか……。
野呂:郷に入ったら郷に従えということでしょうか?
中野:極限状況において、自分が心地よく生きていくためにどう適応するか。その切り替えの早さは、生きる力に直結しています。例えば、逃げられない環境にある人質が、犯人と親しくなる「ストックホルム症候群」がその典型例です。
野呂:先生の解説つきで見たら、また違う感想が持てそうですね!
中野:この作品は、女社会の縮図のようなドラマなので、女の園でのサバイバル術を学ぶにはぴったりなんですよ。
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2016-06-29 19:00:00
文/長田杏奈