気がやさしく人間関係に気疲れしがちな人こそ「図太道」が必要なんです! 禅の思想と伝統文化に根ざした「禅の庭」の創作活動を行い、国内外から高い評価を得ている曹洞宗徳雄山建功寺住職・枡野俊明さんに、禅から学ぶ「図太道」の極意を教えてもらいました。
曹洞宗徳雄山建功寺住職 枡野俊明さん
禅の思想と伝統文化に根ざした「禅の庭」の創作活動を行い、国内外から高い評価を得る。大学教授、庭園デザイナーとしても活躍。ニューズウィーク誌日本版にて「世界が尊敬する日本人100人」に選出。
『傷つきやすい人のための図太くなれる禅思考』 文響社 1380円
ものの受け止め方が繊細で傷つきやすい人のために、仕事や人間関係で折れない「真の図太さ」を身につける禅の教えを伝授。
図太道とは…飾らない・盛らない・卑下しない。あるがままの自分を肯定する
実は、僧侶は皆「図太い」んです。「真の図太さ」とは、生きていくうえで心を強く持つための源流。つらいことに押しつぶされないたくましさ、折れないしなやかさ、おおらかさ。これらはすべて「図太さ」という土壌の上に培われるもの。
その基盤となるのが、“あるがままの自分”を肯定することです。
SNSに代表される情報過多の昨今“、盛る”という言葉がありますが、“普段の自分よりも高く、よく見せたい”という潜在意識が働いているとすごく疲れますよね。会社でも、周囲の全員にとっていい人でいようとすると、それぞれAさんに合う自分、Bさんに合う自分を演じなければならず際限がありません。
禅には、包み隠さずすべてがあらわになっているという意味の「露(ろ)」という言葉があります。自分のやるべきことに集中して自分を磨き上げ、誰に対しても同じつきあいをしていく。すると相当気持ちは楽になります。もちろん人間関係は複雑ですから、文字どおりの「露」でいることは難しいかもしれませんが、お互いに違いを認めながら理解しあえる関係の第一歩はやはり「あるがままの自分で周囲と接すること」だと思います。
【禅から学ぶ図太道の極意】
一、自分を高く・よく見せようと無理をしない
二、やるべきことに集中したらあとは気にしない
三、疲れたらオフィスでできる“椅子坐禅”を
3STEPで椅子坐禅
1.背すじをまっすぐ伸ばし浅く椅子に腰かける
2.手を組み合わせて、目線は1.5m斜め下に
3.おへその下の“丹田”を意識しゆっくり深呼吸
イラスト/平松昭子 取材・原文/佐久間知子 構成/山岸成実〈BAILA〉 ※BAILA2020年2月号掲載