どうして男性の結婚観が変わってきたの? 今、「共存系女子」が求められる理由について、人気のコラムニスト桐谷ヨウさんにインタビューしました。恋愛テーマが満載の書籍が好評な桐谷さんからの、的確なアドバイスは必見です。
アドバイスしてくれたのは…
コラムニスト
桐谷ヨウさん
『仕事ができて、小金もある。でも恋愛だけは土俵にすら上がれてないんだ、私は。』(ワニブックス)が好評発売中。バイラ世代女子に響く、恋愛テーマが満載。
「個」を持ちながらも柔軟に歩み寄る、共存性に未来がある
二人の居心地のよさを追求した先に結婚が
30代の独身男子たちは、仕事も落ち着き、金銭的にも余裕ができ、趣味もあったりと、正直言ってモテ盛り。積極的に婚期を意識して、自分から前のめりに動く男は多くないのも事実。ただし、これは「結婚を積極的にしたくない」というわけでもありません。どちらかというと、「どっちでもいいなら、まだしなくてもいいかな」という現状維持の精神が近い。なので女性から、適齢期だから、とか安心したいから、という理由だけで結婚を迫るような行為は、得策とはいえない。たとえそれがきっかけで結婚したとしても、幸せな結婚生活が送れるかどうかはわからない。
そして最近の女性の恋愛事情を聞いていて、強く思うのが「隠れ負けず嫌い」が多いということ。仕事の面では、それが成長につながったりはするけれど、恋愛だとそうはいかない。たとえば「私からLINEをしたら負け」とか「どうせ別れるなら、私のほうから振る」とか……。恋愛や結婚は勝ち負けでもないし、そこがゴールというわけでもない。「男を振り回せ」的な古いルールにしばられて、素直になれないのはもったいないと思うんです。勝ち負けで恋愛を考えるようになったら、そこから先は恋愛ではなく、自分自身のプライドの問題になってしまうから。
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前述の適齢期だから、安心したいからと結婚を迫る行為も、相手ではなく自分しか見ていない。独りよがりの感情やプライドの押しつけは、からまわりをしてしまうし、相手にとって負担となってしまう。そうなると、やっぱり結婚は遠のく一方。じゃあどうすればいいのかというと、単純に二人にとっての「居心地のよさ」を追求していけばいいんです。
よく恋愛や結婚において、「価値観が違う」と別れる例があるけれど、「価値観が違う」のは他人だから最初から当たり前のことですよね。それを無理やり自分の価値観を押しつけようとしてしまうから無理が生じてしまう。自分にとって、相手の価値観にギャップがあるならば、それは相手にとっても同じ。相手を無理やり変えることはできないし、自分を無理に変える必要もない。でも、本当にいいパートナーとは、「お互いの価値観の遷移も楽しみ、高め合える」という関係性だったりします。自分の考えを大切にしつつ、相手の主体性も尊重する。この柔軟な歩み寄りこそ、二人にとっての「居心地のよさ」を追求していく行為になるのです。
「二人で一人」と「二人で一つ」という言葉は、似ているようで、実はまったくの別もの。前者はひと言でいうと、「共依存」の関係。お互いの欠けている部分を補完し合ってはいるけれど、どちらかの人間的な成長や変化であっけなくくずれてしまう。また、価値観が違う、自分の望んでいる要素を満たしてくれないとなると、それが不満に直結してしまいます。一方後者は、それぞれが「個」として成立していながら、一緒にユニットとしてやっていく楽しみや喜びを知っているというスタンス。つまり「共存」の関係。お互いに、自分を持ちながらも柔軟に歩み寄り、「居心地のよさ」を追求する。この延長に、結婚生活があると考えている男性が増えているように思うんです。
取材・文/谷口絵美