すぐに元気がなくなるのはかわいそうだからと、あえて花を飾らない人も多い時季。夏にふさわしい植物を選び、季節に合ったしつらいを知れば、瞬く間に涼感漂う空間に。ハーブとクレマチスを使ったアレンジに挑戦!
そこにあるだけで涼やかな雰囲気になり、簡単なのに上級者のテクニックに見える!
加藤 夏だからといってファブリックを替えるとか、部屋の模様替えをするとか……していません(笑)。
平井 インテリアだとちょっぴりハードルが高いけれど、お花でも充分に夏らしさを表現できるし、そこから涼感を呼び込むことができますよ。まずは身近なハーブから。スペアミントやゼラニウム、レモンバーベナなど、香りがいいものを自由に組み合わせ、ラフに生けるだけで、手軽なアロマブーケに!
加藤 すがすがしさと甘い香りが一気に押し寄せ、ふっと心がほぐれます。どんなハーブ同士を組み合わせるかは、アロマオイルの調合みたいで楽しいですね。デスクやキッチン、バスルーム……あちこちに飾って風が運んでくれる自然の香りを楽しみたいです。
平井 そして夏ならでは、きゃしゃで繊細なツルものの植物を使ったしつらいも。今回はクレマチスを3本ほど使い、水をはった浅めの器に茎をくるっとさせ、そこへ花を浮かべるように生けるだけ。
加藤 そこにあるだけで涼やかな雰囲気になるし、簡単なのに上級者のテクニックに見えますね(笑)。
平井 元気を保つため、霧吹きで水をたっぷりかけたり、水温を下げるために氷を落としておいたり。人間と同じく、植物にも暑さ対策を忘れずに!
加藤 はい。植物に触れ、香りをかぎ、その涼を感じる。ほんのわずかな時間で癒され、元気をもらえる。仕事のパフォーマンスもぐんと上がりそう!
夏が似合うハーブやツルもの。触れて、香って、愛でるだけで清らかな空気がよどみなく流れる
夏が似合う植物といえばハーブ。こちらは、すがすがしい香りのスペアミントやゼラニウムなどをラフに飾っただけ。切り花として売っているものでもいいし、夏は繁茂しやすく、おまけに育てやすいから、プランターなどで育てたハーブを使うのも素敵。
ワンピース¥8900/ノーク ピアス各¥39000(1ピース販売)/ブランイリス エストネーション六本木ヒルズ店(ブランイリス)
風がふわりと香りを誘う窓辺や玄関のほかキッチン、バスルームに置いても。
初心者でもうまくいく!【ちょこっとテク】
クレマチスの茎を花器の内側に沿わせる
浅めの花器に水をはる。茎が細くてやわらかいクレマチスを3本用意し、うち1本の茎を器の内側のカーブに沿わせ、囲むように生ける
クレマチスの茎をからめリース風に生ける
残り2本のクレマチスの茎を、1の茎にからめながらリース風に生けていく。茎を短めに切っておいた花の部分をランダムに生ける
葉っぱや茎にも霧吹きで水分補給
葉っぱや茎の部分を重点的に霧吹きでシュッ。植物が元気になるし、そこについた水のしずくの美しさを愛でることで涼感も味わえる
氷をひとつ落とすだけ。植物だって生き生き
ガラスの器に水を入れ、八重咲きのクレマチスを一輪、そして氷を落とすのも見た目に涼しげなアレンジ。 くたっとしがちな植物も元気に
ハーブを束ねるだけで気軽なアロマブーケに
ハーブは、香りで涼感を演出できるスグレモノ。好きな種類(今回はスペアミントとゼラニウム)を数本ずつ束ねて生けるだけ
室内温度が上昇する夏は、おのずと花器の中の水も温まってしまう。出かける前や帰宅後、水の中に氷を一つ落としておくと、植物もシャキッと元気に!玄関先に飾ってフレッシュな清涼感を呼び込んで
夏ならではのツルものの植物(今回はクレマチス)をランダムにからませ、水をはった器の中で表現する“涼やかな夏のリース”。籐の椅子の上にさりげなく置いて
●平井かずみ
フラワースタイリスト。明るく的確な指導ゆえ、自身が開く教室はいつも大人気。近著は写真家の大段まちこさんと料理家の渡辺有子さんとの共著『花と料理 おいしい、いとしい、365日』(リトルモア)。
http://ikanika.com/