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新作歌舞伎『風の谷のナウシカ』がいよいよ上演!!【まんぼう部長の歌舞伎沼への誘い♯10】

「落ちるの一秒、ハマると一生」と言われる歌舞伎沼。その深淵をのぞき、沼への入り方を指南するこの連載。今月紹介するのは、12月6日から新橋演舞場で昼夜通しで上演される新作歌舞伎『風の谷のナウシカ』。原作はもちろん宮崎駿の漫画『風の谷のナウシカ』で、主役のナウシカ役は尾上菊之助さん。クシャナ役は中村七之助さんと人気役者がそろったことで、ジブリファンだけでなく、歌舞伎ファンも大注目。なぜナウシカを歌舞伎にしたのか、どんな新作になるのか、本作にかける二人の熱い思いをバイラ歌舞伎部のまんぼう部長がお届けします!!

新作歌舞伎『風の谷のナウシカ』がいよいよ上演!!【まんぼう部長の歌舞伎沼への誘い♯10】_1

新作歌舞伎『風の谷のナウシカ』。2019年12月6日(金)~25日(水)新橋演舞場にて上演される。菊之助さん、七之助さんの衣裳は、より原作に近いイメージに。美しく華麗で、よくお似合いです!!  他の出演者の衣裳は、歌舞伎らしい着物というから、その対比も楽しみ。

■ジブリ作品と歌舞伎がどんな化学反応を起こすのか!?

新作歌舞伎『風の谷のナウシカ』がいよいよ上演!!【まんぼう部長の歌舞伎沼への誘い♯10】_2

製作発表記者会見より。左からG2、中村七之助、尾上菊之助、スタジオジブリの鈴木敏夫代表取締役プロデューサー、松竹の安孫子正代表取締役副社長

まんぼう部長 今年は新作の多い1年だったわねぇ。三谷幸喜作・演出の『三谷かぶき』があったかと思えば、市川海老蔵さんが『スターウォーズ』歌舞伎をやったり。そして今月も『風の谷のナウシカ』を歌舞伎化するっていうから、最初に聞いたときは驚いたわ~。

ばったり小僧 そうですねぇ。しかも歌舞伎にするのはアニメ版ではなくて、あくまで漫画(全7巻)を原作としたもので、これを昼夜通してやるというからびっくりしました。

部長 本当よね。だって昼の部と夜の部、両方観ないと完結しないっていうことでしょう? 正直、それでお客さんは来てくれるのかしら……と心配していたんだけど、なんと! チケット完売ですってよ!!  

小僧 マジで!? 恐るべし、ジブリパワーですね。ところで、この企画の言い出しっぺは、ナウシカ役の尾上菊之助さんだそうですね。記者会見でも熱く語ってたのが印象的でした。

新作歌舞伎『風の谷のナウシカ』がいよいよ上演!!【まんぼう部長の歌舞伎沼への誘い♯10】_3

準備を始めたのは5年前。「本日記者発表の日を迎え、武者震いをしております」と主役のナウシカを勤める菊之助さん。「『One for All, All for one』という気持ちで、一座で力を合わせて作り上げたい」。

部長 子どもの頃にアニメを観て、ナウシカの大ファンになったそうで、「大切な作品をお預かりした責任を非常に感じています」「歌舞伎ファンにもジブリファンにも納得していただけるように頑張りたい」とすごく気合が入っていたわね。記者会見でも目がキラキラしていたもの。

小僧 七之助さんにも菊之助さんが直接電話して、クシャナ役を依頼したって言ってましたね。七之助さんは、ナウシカのアニメを10回は観ているというほどのファンで、すぐに快諾したって。

 

部長 七之助さんのお兄さんの勘九郎さんもジブリ作品の大ファンで、「ナウシカが初恋の人」っていうから笑っちゃった。以前、七之助さんが高畑勲監督のアニメーション映画『かぐや姫の物語』で御門役を演じたときには、勘九郎さん自ら運転して、七之助さんをジブリのスタジオに送り届けたというから、どれだけファンなんだって思ったわ(笑)。

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晴れ晴れとした表情で、凛々しい雰囲気が素敵だった菊之助さん。「本作はナウシカの成長物語でもありますし、ナウシカの可憐さ、強さを出していけたらと思っています」と熱く語りました

小僧 それにてしてもお二人とも本当に美しくて、小僧は記者会見でうっとりしました。菊之助さんは、 まつ毛がめっちゃ長くて、つぶらな瞳で、やさしそうで。私の愛するアルパカの目にどことなく似ている気がするんですけど……。

部長 全然似てないから!!  菊之助さんはもっとイケメンよ。

小僧 ですよね~。そして七之助さんもキレイだったなぁ。切れ長の目で、涼し気な印象なんだけれど、笑うとめっちゃキュートなんですよね。動物にたとえると小動物系?

部長 いやいや、いちいち動物にたとえなくていいからっ!!

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七之助さん演じる皇女クシャナは、美しく冷徹で優秀な武人。「クシュナは、カッコよくて力強い女性のイメージですが、この道を進まないといけないという、かわいそうな女性でもあると思う。そんなクシャナの心の揺れを表現したい」。

小僧 そいつは失礼しました~。でも、考えてみると、ナウシカが扱っているテーマって、すごく先進的で普遍的だったんですね。 

部長 そうよねぇ。1980年代の作品だけれど、戦争、エネルギー、環境、核、遺伝子……って、現代でも重要な問題。「そういう深いテーマが歌舞伎と融合したとき、どんな化学反応を起こすのか、自分自身ワクワクしております」と菊之助さんも言っていたけれど、本当に楽しみよ!

■ハリウッドでの実写映画化はNGでも歌舞伎化はOKに!

小僧 それにしてもよくナウシカを歌舞伎化できましたよね。

部長 そうよね。記者会見で、鈴木敏夫スタジオジブリ代表取締役プロデューサーが言っていたけれど、作者の宮崎駿さんにとって、『風の谷のナウシカ』は、「精魂こめて、すべてをぶつけて描いた一番大切な作品だから、歌舞伎にするのは嫌がると思っていた」「これまでハリウッドでの実写映画化もすべて断ってきたので、今回も当然、断ると思っていた」って。最初に鈴木さんのところに話がきたとき、菊之助さんに「ナウシカではなくて、『もののけ姫」はどうですか?」と提案したくらいダメだと思っていたそうよ(笑)。

新作歌舞伎『風の谷のナウシカ』がいよいよ上演!!【まんぼう部長の歌舞伎沼への誘い♯10】_6

作務衣姿が粋だった鈴木さん。新作歌舞伎の題字は、鈴木さんが書いたもので、歌舞伎らしさをイメージして書いたとのこと。「おふくろが大がつくほどの歌舞伎好きなので、少しでも歌舞伎にかかわることができて楽しい」とにっこり。

小僧 それがなぜか「やろうよ」と言ってくれて、鈴木さんも驚いたとか。ただし条件つきで、ひとつは「タイトルは変えないでほしい」ということ。もうひとつは、「記者会見などのプロモーションには協力しない。全部鈴木さんがやってくれるならOKということでした(笑)」というのがおもしろかったです。

部長 鈴木さんは、菊之助さんが出演している『寺子屋』を歌舞伎座で観たらしいけれど、「近代合理主義では理解しづらい世界観は、ナウシカとつながっていると思った」と語っていたのが印象的だったわ。一見、全然違うものに見えるけれど、じつは深いところでつながっているのかもね。


小僧 そういえば衣裳も公開されていましたけれど、お二人とも美しかった~。原作に使い感じで、すごくモダンなデザインでしたね。

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クールな目元は色っぽいし、時折、小首をかしげるしぐさが、とってもキュートな七之助さん! 部長いわく、「かわいくて萌え禿げそう!!」(笑)

部長 脚本も原作が忠実に描かれているそうよ。とはいえ、「なるべく古典歌舞伎の手法でやりたい」という菊之助さんも意向もあって、演出は歌舞伎でやるとのことなので、ジブリ作品がどんな風に歌舞伎になるのか。これは観てみないとわからないわね。

小僧 私はうっかりチケットを取りそびれてしまったんですが、部長は当然、昼夜通して観るんですよね? 

部長 もちろん! チケット取るの、超たいへんだったけれど、苦労してやっと手に入れたのよ。おかげで今年のクリスマスイヴはナウシカ三昧♪

小僧 うらやまし~っ。そうそう、新橋演舞場では公演期間中に限定グッズを売るらしいんですよ。鈴木プロデューサーの描き下ろしイラストを使ったクリアファイルやポーチのほか、公演のポスタービジュアルを使用した「歌舞伎揚」なんてのも(笑)。 ぜひぜひお土産に買ってきてくださーい!!

部長 了解。購入点数も限られているし、売り場では争奪戦必至だろうから、手に入るかどうかわからないけれど、小僧のために頑張るわ!!

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宮崎駿作の漫画『風の谷のナウシカ』は全7巻。日本漫画家協会賞大賞を受賞した大作。1984年、宮崎駿が監督を務めた劇場版アニメーションが公開され、大ヒットした。■原作『風の谷のナウシカ』全7巻(徳間書店刊)  (c) Studio Ghibli

■新作歌舞伎「風の谷のナウシカ」

日程・場所: 2019年12月6日(金)~25日(水)新橋演舞場


原作:宮崎駿「風の谷のナウシカ」(徳間書店)

脚本:丹羽圭子、戸部和久

演出:G2


出演

ナウシカ:尾上菊之助

クシャナ:中村七之助

ユパ:尾上松也

セルム / 墓の主の精:中村歌昇

ミラルパ / ナムリス:坂東巳之助

アスベル / オーマの精:尾上右近

道化:中村種之助

ケチャ:中村米吉

第三皇子 / 神官:中村吉之丞

ミト / トルメキアの将軍:市村橘太郎

上人:嵐橘三郎

クロトワ:片岡亀蔵

ジル:河原崎権十郎

城ババ:市村萬次郎

チャルカ:中村錦之助

マニ族僧正:中村又五郎

ヴ王:中村歌六


ストーリー: 火の7日間と呼ばれる戦争によって巨大な文明が滅んでから1千年。汚染された大地は、有毒な瘴気(しょうき)を発する菌類の森・腐海に覆われ、巨大生物「王蟲」が生息していた。しかし人間の争いは止むことがなく、トルメキア王国と土鬼(ドルク)諸侯国連合帝国の二つの大国が対立していた。一方、風を操る民が暮らす辺境の小国「風の谷」では、族長の娘・ナウシカは、人々が恐れる腐海に親しみ、蟲と心を通わせていた。そんな中、世界を焼き尽くした兵器「巨神兵」をめぐり、再び戦いが始まる。ナウシカは愚かな戦争に立ち向かうために立ち上がる。

■新作歌舞伎『風の谷のナウシカ』詳細

https://www.kabuki-bito.jp/theaters/shinbashi/play/604/

■公演チケット情報

チケットは、チケットWeb松竹、チケットWeb松竹スマートフォンサイト、チケットホン松竹ほかで発売中。

https://www.kabuki-bito.jp/ticket.html

取材・構成/バイラ歌舞伎部  撮影/富田恵

まんぼう部長……ある日突然、歌舞伎沼に落ちたバイラ歌舞伎部部長。遅咲きゆえ猛スピードで沸点に達し、熱量高く歌舞伎を語る。 

バッタリ小僧……歌舞伎歴2か月。やる気はあるが知識ゼロの新入部員。若いイケメン俳優より、本当はオーバー40歳の熟年役者好き。

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