20周年メモリアルブック発売に先駆けて、10月20日には初めてプロデュースしたコスメが発売された高橋愛さん。アイシャドウパレットに込めた思いや、ひとりの働く女性としての今の思いを聞きました。
「自分が好きなことをするのに年齢制限なんてない」初プロデュースのアイシャドウパレットは“ボーダーのないコスメ”
――高橋さんがプロデュースされたコスメ『Aimmx(アイムミクス)』は、“ジェンダーニュートラルで使える、ボーダーのないコスメ”。どのような想いで手がけられたのでしょうか?
「私は『KIREINOTE Lounge』というラジオ番組でナビゲーターを務めさせていただいているんですけど、そこにゲストで来てくださった僧侶でメイクアップアーティストでもある西村宏堂さんの多様性を認め合うことの大切さについてのお話がすごく胸に刺さったんです。
私も、ジェンダーや年齢にとらわれない物作りをしたい。そう思っていたところに、今回のお話をいただきました。実際、SNSで『Aimmx(アイムミクス)』の発表をした時に『年齢関係なく使えますか?』っていうコメントが届いたりもしたんですけど、自分が好きなことをするのに年齢制限なんてないんですよね。
とはいえ、私自身もアイドル時代は年齢を重ねてくると『ここ(アイドルの世界)にいていいのかな?』って不安になることがあったんです。だけど、それって自分が決めることじゃなくて、いてもいいからいられたわけで。
ジェンダーや年齢による枠は、取っ払ったほうがいい。みんなにとってもそういうきっかけになったらと思って、『Aimmx(アイムミクス)』のアイシャドウパレットをプロデュースさせていただきました。まさか自分がコスメを作らせていただける日がくるなんて、思ってもみなかったんですけどね(笑)。」
――そうだったんですね。すでに洋服のブランド『fukuu(フクウ)』を手がけられているだけに、コスメを作ると思ってもみなかったとは、すごく意外です。
「ファッションはもともと大好きだったけど、以前はファッションとメイクを切り離して考えていたところがあったんです。でも、ビューティ誌にモデルとして出させていただくようになって、顔まわりだけで表現することと向き合った時、『表現するっていう意味ではメイクもファッションと同じじゃない?』って自分の中で融合した瞬間があって、そこからファッションも、さらに好きになったんですよね。
メイクに合わせたファッションやファッションに合わせたメイクを楽しむ、そんな高橋愛らしさを『Aimmx(アイムミクス)』に詰め込んだつもりです。」
――実の従兄弟の前田陸さんを起用されたメインビジュアルにも新しさを感じました。
「先ほどの“ジェンダーや年齢にとらわれない物作りをしたい"という想いから、メインビジュアルは男の子と一緒に撮るのがいいなと思って。それで思い浮かんだのが従兄弟の陸だったので、オファーして実現させることができました。
アイシャドウパレットは、大好きな雑誌のページをめくるワクワク感を込めて紙パッケージにしたんです。そこにシアーな洋服を着た人物の写真を載せたかったんですけど、打ち合わせが進むにつれて『高橋さんの写真がいいんじゃないですか?』っていう話になって、実はパッケージに写っているのは私なんです(笑)。」
高橋愛、35歳の現在地。「仕事とプライベートをひとつとして捉えると何かが変わるっていうことは伝えたい」
――35歳になった今、新たな挑戦をしながら輝きを放ち続けている高橋さん。ひとりの働く女性として、大切にしていることはありますか?
「20年間このお仕事を続けてきて学んだのは、仕事とプライベートを分ける必要はないんだっていうこと。それは3年くらい前から哲学の勉強をしているあべさん(高橋さんの夫、あべこうじさん)が『仕事とプライベートを両立させるんじゃなくて、1コでよくない?』って教えてくれたから気づけたんですけど。
たしかにどちらか一方を我慢しないとうまくいかないなんていうことはなくて、仕事とプライベートをひとつにまとめたら全部がハッピーになって、すごく楽になったんですよね。もちろんプライベートより仕事を優先して頑張ることも素敵だと思うけど、知らず知らずのうちにストレスがたまって、どこかで爆発したり体調を崩したりしてしまうかもしれない。
自分を労ってあげるためにも、仕事とプライベートをひとつとして捉えると何かが変わるっていうことは伝えたいです。」
――コロナ禍の今、多くの人の働き方やライフスタイルがこれまでと変わっていますが、高橋さんの場合は何か変化がありましたか?
「コロナによるいろいろな変化って、マイナスに捉えればマイナスだけど、プラスに捉えればプラスなんですよね。こういう状況になったからこそ、人と会う時間の大切さやオフラインでイベントができていたことのありがたさ……気づけたことがたくさんある。こういう考え方をできるようになったのも、あべさんのおかげ。
『幸せなことって1万個起こってるのに、マイナスなことばかりに目を向けてたら気づかないよ』。彼は、そうやって物事をポジティブに変換させる方法を日々教えてくれるんです。
もちろん、それでも『なんでだろう?』ってモヤモヤすることは起こってしまうけど、そう思ったこと自体を否定するのではなく、『なんでそう思ったのかな?』って自分の感情を客観視して向き合うようにしています。」
――すごく素敵な考え方です。最後に、これから先の30代、40代をどのように過ごしていきたいですか?
「自分の『ああしたい、こうしたい』っていう想いにちゃんと耳を傾けてあげて、それを具現化していきたい。今までと変わらず、自分自身のテンションが上がることを選択しながら、進化していきたいと思っています。」
撮影/木村敦 取材・文/吉川由希子