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胸に迫り来る会話劇。脚本家・坂本裕二著『往復書簡 初恋と不倫』 #バイラ読書部

こんにちは! スーパーバイラーズの太田冴(@sae8320)です。


今回は、最近読んだ小説の中でも特にグッときた『往復書簡 初恋と不倫』をご紹介します。

坂本裕二 本 書籍 初恋と不倫

この小説、坂本裕二さんという脚本家の方が執筆されたもの。


坂本裕二さんといえば『カルテット』『最高の離婚』『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』、最近では『大豆田とわ子と三人の元夫』など数々の名作ドラマの脚本を書かれている方です。


物語は登場人物2人のやり取りのみで繰り広げられます。しかも、直接の会話ではなく、手紙やメールのやりとり、つまり「往復書簡」の形式で進んでいく。それにものすごく引き込まれて、いつの間にか2人の世界にどっぷりと浸かってしまいます。


『初恋と不倫』というタイトルの通り、大きく2つの物語で構成されているのですが、「初恋」「不倫」という言葉から連想するような物語ではありません。いわゆる恋愛小説にありがちな胸の高鳴りとは全く異なる感覚を味わえます。


言葉のやり取りだけで、こんなにも人間の感情は豊かに育まれていくものか、と驚くほど。思えば「初恋」や「不倫」自体が、「恋愛」や「結婚」では括りきれない、曖昧で複雑で、かつ残酷なものなんですよね。


いわゆる「恋愛もの」ではすくい切れない、複雑で繊細で、でも誰の心の中にもある感情を拾ってくれる、胸に迫り来る小説です。あっと驚く展開も待ち受けているので、ぜひこの世界観を味わってみてください。

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