【秋の読書】言葉から音が聴こえる。恩田陸「蜜蜂と遠雷」#秋の夜長に読書部と

こんにちは！

スーパーバイラーズの渡邊りりあです。

今月の読書部のお題「寝る前の一冊」にちなんで、私からはこちらをご紹介します。

恩田陸さんの「蜜蜂と遠雷」。

第156回直木三十五賞と第14回本屋大賞をダブル受賞し、映画化やコミック化もされた人気作です。

「芳ヶ江国際ピアノコンクール」を舞台に、世界から集まるコンテスタントたちが繰り広げる競争と自己との闘いが描かれた音楽エンタテインメント。

第1次予選、第2次予選、第3次予選…と順番に進んでいくストーリーは、まるで私たち読者が近くでコンクールを見守る観客になったかのような感覚に陥ります。

なんといっても、この物語の素敵なところは言葉からキラキラと"音色"が聴こえてくるところ。

本格的にピアノを弾いたこともなく、クラシックにあまり詳しくない私でさえ、一音一音聴き逃したくない気持ちになります。

タイプの異なる天才たちのキャラクターも魅力的で、それぞれの感情の機微や葛藤、そして互いが互いを高め合っていく姿が尊く丁寧に描かれています。悩みや苦しみを越えた先にある彼ら彼女らの美しい景色を、つい見てみたくなってしまう。

発表会ではなくコンクールだからこそのスリルやドキドキ感に、息を呑む場面が何度もあります。

文字を読むのではなく、音を楽しむ、まさに"聴く小説"。

一曲ごとに思わず目をつむって、会場に響き渡る音楽を堪能する…そんな読書体験をしてみませんか。

心がふわりと軽くなる、秋の夜長におすすめの作品です。

【作品情報】

「蜜蜂と遠雷(上･下)」

恩田陸／幻冬舎

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