トレンドはちっとも追いかけてないというスタイリスト佐藤佳菜子さん&エディター東原妙子さん。ブレない審美眼と私たちに寄り添うリアルな感性で選んだ秋アイテムとは? まず二人が注目するのは「ウール以外のアウター」「靴下ありきで履くメリージェーンの靴」。
“とりあえず”で買う時代じゃない!一点で気分が上がるものがいいよね(東原さん)
「着るぞ!」って意気込みを持てるはっきり主張のある服がいい (佐藤さん)
東原 私たちって基本ベーシックが好きだから、たとえば突然ものすごいトレンドがきたからってそれに乗れなくない? だからこのテーマ、どうしていいかわからないの(笑)。
佐藤 そうなの、一生飽きずにベーシック(笑)。でも古い服を着てたらただの古い人に見えるから、やっぱり。同じようなもの着ててもちょっと短いトップスに替えたらそれだけでもう新鮮だし、ちょっとしたことでいいんだよね、大人たちだから。
東原 BAILA読者の世代も今の時代感としても、もう「とりあえず」でむやみに服を買わないでしょ。コロナもあって、でもおしゃれを楽しみたい気持ちがようやく戻ってきて。だから「合わせやすいから」とか守りに入るんじゃなくて、そこから一歩進んで気分が新しくなったり上がるものが欲しいな、とは思ってる。
佐藤 地味でどうでもいいものより、主張のあるものが欲しいよね。服を買うぞ! 着るぞ!っていう意気込みが。色物なら私はパステル。“秋のパステル”って可愛い気がして。
東原 少し前の“小物だけ色”みたいな感じより、コートとかニットとかメインアイテムで大胆に色を使うのが素敵だよね。私はね、もうウールのコートに完全に飽きていて。みんなも去年まで着ていただろうから、たぶん同じ気持ちじゃない?(笑) ベーシックなものに羽織ってポイントになるボアコートとか、丈バランスが変わるショートブルゾンとか、中は普通の服でも新しい気持ちになれるアウターがいいなと思ってる。
佐藤 重いし硬いものってもう着たくないのかもね。トラックブーツとか厚底の靴もちょっと飽きてこない? 足もとをすごくフェミニンにしたいわけではないんだけど、ワンストラップのメリージェーンが気になってるの。つるっとした靴下じゃなくて、ぼさぼさのモヘアの靴下とかスポーツソックスを合わせて履くことで、バランスを変えてくれそうな。
東原 私もデニムとかに、足もとはちょっと女っぽいものを合わせたい気持ちあるかも。
佐藤 こんな感じで、トレンドを早くつかんでいたりは全然しないのだけど。
東原 でも今ってみんな、流行ってるものより自分の推しが着てるものを買うでしょ。だから言ったもん勝ちと思ってる(笑)。
普通の服に羽織ってポイントになる【“ウールじゃない”アウター】
佐藤さんも東原さんもワンピースの上にばさっと羽織って。それだけで絵になるし、気分が上がる。(左)上質なボアコートをシンプルな服の上にラフに着るのは大人の女性の楽しみ。¥88000/ウィム ガゼット ルミネ新宿店(ゲミニー) (右)これ一着で日常が特別になるような真っ白なファーコート。¥110000/サードマガジン
展示会でも人気だったというカジュアルなMA-1ブルゾン。¥39930/アンクレイヴ(アンクレイヴ ホワイト)
優しい【パステルカラー】を大胆に着たい気分
ピンクもブルーも、あまりくすみのないアイシーな色みが新鮮。(右)ニット¥26400・(左)ニットフーディ¥35200/デミルクス ビームス 新宿(デミルクス ビームス)
「×黒とかより思い切って色×色のワントーンのほうが印象がやわらかくなって着やすいと思う」(東原さん)、「何色合わせればいいの?ってことがなくなるもんね」(佐藤さん)。カーディガン¥24530/アンクレイヴ(アンクレイヴ ホワイト) パンツ¥42900/サードマガジン
ぼさぼさの靴下を合わせたい【メリージェーンの靴】
今までの厚底靴から気分やバランスを一新! 「たぶんワンピースとかには合わせないんだけど」(佐藤さん)、「デニムやニットパンツに」(東原さん)。(右)¥56100/ウィム ガゼット ルミネ新宿店(ネブローニ) (左)¥53900/デミルクス ビームス 新宿(ネブローニ)
撮影/木村 敦(人)、坂田幸一(物) スタイリスト/佐藤佳菜子 ※BAILA2022年10月号掲載