「30代になって、自分のスタイルに迷走中」「何を買えばいいのわからなくなってきた」と迷っている人へ。マイスタイルを確立しているおしゃれ賢者のエディターの東原妙子さんが経験してきたトライ&エラーと、そこから得た気づきを教えてくれました。
30代でやっておくべきことは?
「名品に触れ、スタンダードを知り尽くし応用する」
MY STANDARD
Mountain parka/THE NORTH FACE
「優れた機能性とミニマムなデザインが素晴らしいマウンパは、学生の頃から雨具として愛用」
Bag/CHANEL
「以前は母から譲り受けたゴールドチェーンのマトラッセを使っていましたが、ゴールドが私のスタイルには強いと感じ、マットなチェーンのこちらを購入」
T-shirts/SUNSPEL
「イギリスの老舗肌着メーカーならでは、肌触りがとてもエレガント。ジャケットの下に合わせるなど、ドレスアップしたい日にも」
Stole/HERMÈS
「30歳のときに購入したカシミアシルクのストール。バッグの上にポンと置いておくだけでも素敵。軽いので旅行の際は必ず持って行きます」
Trench coat/BURBERRY
「トレンチコートの最高峰。歴史にロマンを感じます」
Jeans/Levi's
「時代に関係なく、きっとずっと好きな価値あるデニム。数本持っていますが、なかには高校時代からはいているものも」
Shoes/JOHN LOBB
「タフなメンズっぽさがベースなのに、すごくエレガント。そのうえ甲高な私の足にもフィットし履き心地も最高。高価なので購入を何年か迷ってましたが、それが無駄だったと思うほど買ってよかった逸品です」
Bag/DELVAUX
「仕事で取材や撮影をする機会が多く、職人の手縫いの技術が光る作りの丁寧さや素晴らしさを知るにつれ、『いつか買おう』と憧れていたもの。一生はくであろうデニムとの相性がよく、持つだけで気分が上がるこちらの色を選びました」
「歴史ある名品のよさを体感し見る目を養うことが重要」
何年も愛され続けている名品には、理由があります。似たものはいくらでもあるなかで、変わらず支持され色あせないもの。自分のスタイルを確立し始めるバイラ世代にこそ、そのオーセンティックなアイテムに触れてほしいと思っています。
私の家族は母をはじめ、いいものを身につけようという考えだったので、ありがたいことに小さな頃から名品に触れる機会が多くありました。名品というと高価なものと勘違いされるかもしれませんが、値段は関係ありません。たとえば、『ヘインズ』の白Tや『ビルケンシュトック』のサンダルもそのひとつ。そういった歴史ある本物に触れるごとに「やっぱりいい」と感じます。素材感、着心地、縫製などに作り手の本気を感じ、見る目を養うこともできます。
そうして培った感覚が、今の『uncrave』の服作りにも役立っています。私の家は資料館と呼べるほど服であふれていて(笑)。デザインで行き詰まったときは、10年以上前のハイブランドのシルクニットを見返し、ディテールを研究することも。きちんとした土台があるからこそ、遊んだりくずしたりと、ファッションを楽しめると思うんです。だからファストファッションの服でも、ポイントを押さえ、自分らしい着こなしに落とし込むことができるのかもしれません。
かつては、つい安いものに飛びついてしまったことも。でも、そのおかげで名品のよさを再確認できたので、失敗と思わず経験としてよかったのかなと思っています。
「一生使える」と思える名品は、ぜひ早いうちに手に入れよさを体感してください。その経験が、これから先のファッションに必ず生かされます。
ブランドディレクター・エディター
東原妙子さん
大学卒業後、銀行に就職。25歳で編集者に転身。ファッション誌や広告などでライターとして活躍するほか、「アンクレイブ」の立ち上げからクリエイティブディレクターを務める。
撮影/目黒智子(人)、魚地武大〈TENT〉(物) ヘア&メイク/桑野泰成〈ilumini.〉(佐藤さん)、遊佐こころ〈PEACE MONKEY〉(伊藤さん、榎本さん) 取材・原文/道端舞子 撮影協力/山田莉那 ※BAILA2022年9月号掲載