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「中国共産党大会」について大江麻理子キャスターと一緒に深堀り!【働く30代のニュースゼミナール vol.31】

テレビ東京『WBS(ワールドビジネスサテライト)』の大江麻理子キャスターがセレクトした“働く30代女性が今知っておくべきニュースキーワード”を自身の視点から解説する連載。第31回目は「中国共産党大会」について大江さんと一緒に深堀りします。

今月のKeyword【中国共産党大会】

ちゅうごくきょうさんとうたいかい▶5年に一度開かれる、中国共産党の指導体制や基本方針を決める最高意思決定機関。中国の政治体制は中国共産党のほぼ一党支配のもとにあるため、国の方向性を決める最も重要な場である。今年10月に第20回党大会が開催され、党トップの習近平氏が異例の3期目に入り注目された。

今月のKeyword【中国共産党大会】

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1921年7月

中国共産党が結党。毛沢東氏らが第1回党大会を開催 
毛沢東氏ら13人が上海にて党大会を開き、中国共産党を結党。中国国民党と協力や対立を繰り返した後、中国共産党が勝利し、1949年中華人民共和国の建国を宣言した
2012年11月

第18回党大会で習近平氏が党トップの総書記に就任 
習近平氏は就任後、政治や経済をはじめあらゆる分野で共産党の指導を強化。翌年、国家主席にも就任し、中国と欧州をつなぐ巨大経済圏構想「一帯一路」を打ち出した
2022年10月
習近平総書記は、第20回党大会で異例の3期目に突入 
前例にならえば、党トップの総書記を2期務めた習近平氏は引退するところ、「最高指導部は68歳以上であれば引退する」という慣例も破り、異例の3期目続投となった

バイラ読者にアンケート

 (回答数126名 2022年9月30日〜10月3日に実施)

Q 第20回中国共産党大会で、習近平総書記の3期目続投が注目されていることを知っていますか?

Q 第20回中国共産党大会で、習近平総書記の3期目続投が注目されていることを知っていますか?

認知度は約4割。中国に関するニュースに関心がある人は約6割。「中国の政治の仕組みがよくわからないので教えてほしい」「習政権に対する国内の反応を知りたい」「尖閣問題や台湾をめぐる政策が心配」との声が

大江ʼs eyes

ご存じの方が多いですね。習近平氏の2期目スタート時から、異例の3期目続投があるだろうと言われていました。その後5年ほどをかけて3期目への環境を整え既定路線にしていったので、異例ではあってもすでに織り込まれていました。それがアンケート結果に表れているように感じます

Q 現在の日中関係は良好だと思いますか?

Q 現在の日中関係は良好だと思いますか?

「あまり良好だと思わない」「良好だと思わない」を合わせると約8割。理由には「尖閣や台湾問題の歩み寄りが困難」「ウクライナ侵攻について日本と立ち位置が違う」など。良好な理由には「観光客の増加」を挙げる声が

大江ʼs eyes

頻繁に尖閣諸島周辺の海域に中国の船が入ってくる状況が続き、なかなか関係が良好だと思えないのは仕方のないことだと思います。隣国としての緊張関係に加えて、台湾をめぐる問題でも東アジア情勢に緊迫感をもたらしている中国の姿勢に対して、このような答えが返ってきているのではないでしょうか

大江さん

Q 近年、日本の貿易相手国で、輸入・輸出ともに中国が1位であることを知っていますか?

Q 近年、日本の貿易相手国で、輸入・輸出ともに中国が1位であることを知っていますか?

回答が二分する結果に。「輸入は多いと思っていたが、輸出も1位なのは知らなかった」「経済の太いつながりと政治的な問題との間にギャップを感じる」という声が。読者のなかには仕事で中国企業と関わっている人も

大江ʼs eyes

経済の結びつきが強く、中国は日本にとって切っても切り離せない存在になっています。しかし、心の距離が生まれてしまっているからか、それに気づかない状況になっているのかもしれません。経済の中国依存度が高いことについては、経済安全保障上の問題も指摘されています

Q 日中両国はお互いを理解していると思いますか?

Q 日中両国はお互いを理解していると思いますか?

約6割が「互いに理解していない」と回答。中国のイメージを自由回答で聞くと「経済大国」「独裁国家」「格差が激しい」「人口が多いが少子高齢化」「日本と切っても切り離せない存在」「近くて遠い国」「何を考えているかわからないので少し怖い」などが挙がった

大江ʼs eyes

衝撃的な結果ですね。中国はゼロコロナ政策でしばらく国を閉ざすかたちになりました。物理的に交流ができなくなってしまった約3年間が及ぼす相互理解への負の影響は大きいと思います。そのなかで3期目に入った習政権が、日本にどういうアプローチをしてくるかが重要な問題ですね

「習近平氏による異例の3期目スタート。強国建設に向けて権力の一極集中が進む」

「中国共産党大会は、中国の政治にとって最も大切なイベント。5年に一度開催され、党の基本方針や幹部人事などを決める会議です。その後の5年間、その先の中国の方向性が見えてくるという意味で、国内外から重要視されています。今年10月に行われた第20回党大会では、党トップの習近平氏が異例の3期目入りを果たし、特に注目されたので取り上げました」と大江さん。一政党の党大会が、なぜ最も重要なのですか。

「中国の政治体制は、ほぼ中国共産党の一党独裁だからです。習近平氏が今どのような存在かというと、中国共産党のトップの『総書記』であり、中国という国のトップの『国家主席』でもあり、中国軍トップの『党中央軍事委員会主席』でもあるのです。三つのトップの役職を一人で担っているんですね。『国家主席』には2期目までという明確な任期があったのですが、習政権のもとですでに撤廃されました。習氏が3期目に入り、権力の集中をさらに進めると見られています」

国内では、どんな反応なのでしょうか。

「胡錦濤前国家主席の時代からの経済成長の推進力を得て、2013年に習氏が国家主席に就任して以降、経済・政治ともに安定した状態がしばらく続きました。汚職を取り締まる姿勢や格差是正を促す『共同富裕』をスローガンに掲げるなど、国民の不満を解消する改革を進めていることもあり、3期目の続投に納得感を持っている人も多いようです。ただ最近の厳しいゼロコロナ政策によって特に都市部の国民の生活に与えた負担が大きく、強硬なやり方に疑問を持つ人や、不動産市場の不振により現政権への不信感が募っている人もいるようです」

経済大国の動向に、世界も注目している。

「特に関心が集まっているのが、ゼロコロナ政策を続けるなかでの経済成長のゆくえです。10月に公表されたIMF(国際通貨基金)の世界成長見通しでは、中国の経済成長率(実質GDPの伸び率)が、今年は3.2%、来年は4.4%と予測。中国政府の今年の成長率目標は5.5%前後でしたので、目標の成長が見込めないならばどういった手を打つのかを、世界中が注視しています」

「3期目の外交姿勢への警戒感も高まる。しかし中国は、重要な隣の国であり続ける」大江さん

「3期目の外交姿勢への警戒感も高まる。しかし中国は、重要な隣の国であり続ける」

日中国交正常化から今年で50年。アンケートでは、日中関係について「あまり良好だと思わない」と回答した読者が約6割。

「中国が周辺地域に軍事的な緊張感をもたらしているなか、良好だと思えない方も多いようですね。また最近は、経済安全保障上の問題点も指摘されています。コロナ禍で、マスクをはじめ様々なものが中国を経由しないと日本に入ってこない状況が起こり、サプライチェーンの脆弱性が浮き彫りになりました。そこで、感染症拡大によるサプライチェーンの停滞や両国の関係悪化による貿易制限など、あらゆる可能性に備えて、中国プラスαの生産体制や貿易体制を築いておこうというスタンスになってきているんですね。中国の今後の外交姿勢がどうなるかも気になります。順調な経済成長時とは異なり、国内経済が減速し、ウクライナ侵攻を続けるロシアには一定の距離を置く姿勢を示すなか、習氏は3期目に入りました。このタイミングを局面転換のチャンスととらえ、『戦狼外交』と呼ばれる対外強硬路線を修正するのではないかとの見方がありましたが、3期目の布陣を習氏に近い人で固めたことから、国内でも国外でも聞く耳を持たない姿勢にならないかと警戒が広がっています」

読者の約6割が「日中両国ともにお互いを理解してないと思う」と回答。

「アンケート結果を見て、今を表しているなと感じました。最近、中国政府はコロナの影響で止めていた留学やビジネス目的の入国受け入れを再開。先日この秋から中国へ留学する学生の方と話す機会があったんです。そうしたら、周りの人に『今さら中国なの?』と言われてショックを受けたと話していて。国同士の関係が冷えているときこそ草の根での交流が必要なのにと思いました。両国が関係を保っているのは、政治の世界だけでなく民間にも留学や仕事などで中国との結びつきを持っている人がたくさんいるからなんですよね。日本の貿易相手は、輸出入ともに中国が1位ですし、お互いに高齢化が急速に進んでいて、同じ社会問題を抱えるなかでひと足先に経験している日本が中国に貢献できることもあると思います。それはビジネスチャンスにもつながります。近いのに遠い国になっていて、気づいていない部分が多くあるような気がするんです。『今さら中国』ではなく『これからも中国』。隣の国であり続ける中国は今後も日本にとって重要な国であるという認識を持っていただけるといいなと感じています」

大江麻理子

大江麻理子


おおえ まりこ●テレビ東京報道局ニュースセンターキャスター。2001年入社。アナウンサーとして幅広い番組にて活躍後、’13年にニューヨーク支局に赴任。’14年春から『WBS(ワールドビジネスサテライト)』のメインキャスターを務める。

撮影/花村克彦 取材・原文/佐久間知子 ※BAILA2023年1月号掲載

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