誰もが目を奪われちゃう天性のアイドル・百田夏菜子さん。7月で30歳を迎える彼女に、誰をも笑顔にしてしまうそのポジティブなオーラの秘密を聞いた。
ファンと培ってきたのは“逆境こそ楽しむチカラ”
ももクロとして走り続けて16年。百田さんを見ていると、真のアイドルとはつらいときも悲しいときも心のどこかに寄り添って勇気をくれる存在なのだと。だからこそこんなに長く愛され続けるのだと、改めて思わされる。7月で30歳を迎える彼女に、誰もを笑顔にしてしまうそのポジティブなオーラの秘密を聞いた。
「ウチのグループは昔から、会場に行ってみたら『ステージがない!』とかマネージャーさんが『衣装全部忘れてきましたあ!』とかハチャメチャなことがたくさんあって(笑)。でもそれをモノノフさん(=ももクロファンの通称)も面白がってくださって、みんなで考えて工夫した結果、かえって濃い思い出ができたり……。そんな時間をたくさん過ごしてきたからこそ、嫌なことも逆に楽しんじゃおう!という考え方が身についたのかもしれませんね。たとえば渋滞に巻き込まれて迂回しても『知らない道を通れてラッキー!』って思える人は、やっぱり素敵だなと思うので」
百田さんのインタビューで、いつも何回も登場するのが“モノノフさん”の言葉。もはやワンチームと呼べるファンとの交流の中で、ほかにはどんな想いがあるのだろうか?
「ファンの方って、私たちの気持ちをものすごく想像してくださるんですよ。大変なときにかけていただいた言葉や『いつもありがとう』って感謝の言葉に引っ張られてここまでこられた。みんなで一緒に歩いている実感がすごくありますね。昔はライブの前は『失敗したらどうしよう』という不安が強かったのですが、今は『よーし、やってやんぞ! 緊張すんなあ!』という感じで(笑)。相変わらずドキドキはするけれど、常に最高のライブを更新してお客さんに届けたいという気持ちがあふれてきてワクワクもするんですよね」
どんな感情も大切にして、丁寧に歩んでゆきたい
20代を駆け抜けて、自分の心との向き合い方も変わってきたという。
「立ち止まって振り返る余裕がなかったのもありますが、以前はモヤモヤしてもそれを一切無視してきたんですよ。ポジティブに考えるほうが得意ではあるけれど、でもしんどいときにその気持ちにフタをしてしまうと大切なものまで置いてきちゃうかもと徐々に思い始めて。今は悩んだら『なんでだろう?』と紙に書き出してみたり、それでも答えが見つからなかったらストレッチしたり好きな香りを嗅いでみたり。前を向くために、自分の前向きじゃない気持ちにもきちんと向き合うようになりました。20代は本当に色々な経験をさせていただいて、もう二度とあんな風にはできないと思うくらい目の前のことに一生懸命で。それもあってか、私、未来のことって全然考えないんですよ。30代の目標とか特になくて、常に“今”を全力で楽しめたらいいなと。怖いものがなかったあの頃と違って、今は大人としての責任感もあるけれど。新たな物事に挑戦するチャンスがあったら、いくつになっても思いっきり飛び込みたいですね。色々な人に出会って未知の世界を知れるのが大好きで、そんなときにいつも幸せだなと感じるので」
そう笑った瞬間、彼女の瞳の中の星々がひときわ強くきらめいた。
百田夏菜子
ももた かなこ●1994年7月12日生まれ。静岡県出身。「ももいろクローバーZ」の赤こと不動のリーダー。グループ活動が16周年を迎える今年はいよいよ30代に突入! 未知のアイドル像を開拓しながら、俳優やモデルとしても存在感を発揮。活躍の場を縦横無尽に広げている。
撮影/横浪 修(人)、久々江満(物) ヘア&メイク/中山友恵 スタイリスト/辻村真理 モデル/百田夏菜子 取材・原文/小川由紀子 構成/渡辺敦子 ※BAILA2024年6月号掲載