顔に暮らす民=菌の数は1億〜10億個
全身の皮膚(角層)をすみかとする美肌菌。トータルでは1兆個も存在し、その種類は800~1000種にも及ぶ。顔だけでも1億~10億個。国の人口に相当する数の菌が暮らしている。
ほうっておけば、年齢とともに菌にとってすみにくい肌質に。若肌の証、アクネ菌が減り、エイジングした肌に顕著な菌が増えてくる。全体に菌数も減り、徐々に寂しい状態に。
美肌菌界で一大勢力を誇るのがアクネ菌。悪玉菌と思われがちだが、ニキビの原因になるアクネ菌は、ごく一部の種類。そのほかのアクネ菌は善玉で、潤いとハリに欠かせない。
善玉、日和見、悪玉が一丸となって、紫外線や乾燥などの刺激、病原菌をはねのけるのが、美肌菌最大の役割。事実、美肌菌たちがいなければ、人間は一日も生きていられない。
善玉菌だけがいればいいわけでなく、日和見菌、悪玉菌が共存して、互いに牽制しあっているのが、最も肌が美しく健康な状態。悪玉菌も「必要悪」。人間社会とまったく同じだ。
一人として同じ構成はない、美肌菌社会。大もとは、出生時にお母さんの産道からもらった、さまざまな菌。お母さんと肌質が似るのは、持っている菌社会が似ているため。また環境、生活習慣、スキンケアの方法、一緒に暮らす人でも美肌菌の種類、総数、勢力図は変わる。ポイントは、善玉菌も日和見菌も悪玉菌も適度なコミュニティをつくり、共存すること。不要な外来菌の入る余地を与えない、確固とした共存社会が、平和で美しく、老けない肌をつくる。
子どものころはアトピー性皮膚炎に悩まされ、今もゆらぎやすい肌質。1位のストレプトコッカス属や、3位のナイセリア科、5位のアクチノマイセス属は日和見菌で、肌状態によって悪玉菌に変わるヤカラ。保湿やUVケアが行き届き、運動やバランスのとれた食事、質のいい睡眠がとれているときは調子がいいが、乱れると闇社会に傾き、肌トラブルを引き起こす。
Tゾーンがベタつく混合肌だったが、年齢とともに皮脂が落ち着き普通肌に。約93%のシェアを誇る最大勢力ナイセリア科はよくも悪くもならない日和見主義の極み。「このままでよくね?」とゆるい民が多くを占める故、年齢によるシミトラブルが発生しやすい傾向も。2位の善玉アクネ菌が減らずに活躍できるよう、過度の洗顔を避けストレスフリーなケアが必須。