それまでも、ちらちらこそこそと
人知れず愛されている名店を訪ねていましたが
今年に入ってから、
「せっかくなので人生最高のお店をさがして勝手に
マイミシュランをつくろう」ということで
美食朋友に金魚のフンよろしくくっついております。
数名しか入れない予約のむつかしいところが多いので
マイミシュランは本当の意味でマイミシュラン。
知人にすらあまり散らかし伝えるのがはばかられますが
さすがにブログ更新を二ヶ月もしていないと
ここにいる意味もなくなってしまうので
・思想まで食べたい美味しい名店
をたまーに紹介しようと思います。
(好きな音楽も、PVは低いのですがコアファンの方がDMをくださるので地道に発信してまいります)
さっそくですが、
食べる思想までセンスにあふれ、
大人の気取らない本格さを醸す、
白金の路地裏にあるフレンチ<Franz>。
フレンチは
かしこまったアートなコースも
小塊肉が堂々とサーブされるビストロも好きなのですが、
そのどちらにも属さない。
実験的な新しさと郷土料理のような懐かしさが入り混じったような不思議な感覚になるけれど、
一種類のコースのみを提供するところに作家性も感じるのです。
静かで強い作家性。
それを象徴するかのように、いきなり一皿めに出てくるのはさくふわワッフルに香りたつ黒トリュフをスライスしてかける前菜。このお店の名物であり、定番らしい。
ワッフルをコースの最初に食べたのは人生ではじめて。ましてやトリュフの香りがふわっと立って
曲がり角の出会い頭に
転校生ではなく、白馬に乗ったオッドアイの美青年とぶつかったような衝撃でした。
もうここからすでにこの先の予想つかなさを予見しておりましたが
それは裏切られず、
途中でずっしりもっちもちした酵母感じる自家製パン(熱すぎて持てない)や肉肉しい網焼きハンバーグや繊細な生パスタなどが
実に味のあるヴィンテージ器や作家の器にのって次々と登場。海外の蚤の市でも買っているそうなのですが、食とそれを演出する器のセレクトセンスがずば抜けています。
しかし何とも心に残ったのは料理、お酒、空間に加えたく"通じあっている"空気感。
店主と料理をサーブする女性は夫婦なのですが、
ふたりの息の合ったタイミングで
お客さんがちょうどいいタイミングで
最高の状態の料理がでてくるのです。
カウンターの向こうのお二人、
カウンターごしの彼らとこちら、
カウンターの手前のこちら、
全部が余計に言葉をはっせずとも
通じ合って心地よさを感じている。
フレンチではあるが、そこにわずかな日本的な
"察する美"の情緒を感じた日でした。
予約は2ヶ月先をおすすめします。