「猫のパジャマ」、なんとも気になるタイトルだと思いませんか。河出文庫から出ているレイ・ブラッドベリの短編集で、若い頃から晩年まで幅広い年代の作品が収められています。

表題作「猫のパジャマ」は2003年の作品。話のあらすじはこうです(ややネタバレ含む)。
カリフォルニアの道路の中央に仔猫が捨てられていて、そこに東に向かう男と、西に向かう女が車で同時に通りかかる。どちらも猫の飼い主に相応しいのは自分だと譲らない。猫をはさんで繰り広げられる平行線の会話。男、猫、女、三者の距離がラストどのように変化するのか。鍵になるのがタイトルの一言「猫のパジャマ(The cat's pajamas)」、というわけです。
The cat's pajamasは1920年代の英語のスラングで「素晴らしいもの、ひと」を意味するそう。今風のくだけた言い方だと「すごくイケてる」「最高!」といったところでしょうか。「それ、猫のパジャマだね」なんて、友人のファッションを褒めるときに言ってみたくなりますね。