実は髪や頭皮も“夏老け”要注意パーツ。しかもバイラ世代はエイジングの岐路に。そこで原因と対処法を詳細レクチャー!
髪のエイジングは35歳が分岐点。特に夏は“髪老け”が加速!
美容エディター/毛髪診断士
伊熊奈美さん
雑誌やテレビなど、様々なメディアで美容を発信。毛髪診断士の資格を持ちヘアケアや頭皮ケアに精通。専門の著書も多数。
美容師
津村佳奈さん
人気ヘアサロン「Un ami omotesando」のトップスタイリスト。美容家のヘアを多く担当し、撮影にも帯同するなど幅広く活躍中。
ジレ¥18700/インフィニティショールーム(ルメランジュ) チョーカー¥12100・ブレスレット¥9350/フォーティーン ショールーム(イン ムード) インナー/スタイリスト私物
35歳が髪老けの分かれ道。ケアの見直しでその後に差が!
「30代は肌も髪もエイジングの加速期だという認識を。35歳以上になると二人に一人は白髪があるというデータも。またエイジング、出産などによるホルモンバランスの変化も加わり、髪老けに大きなインパクトが起きる世代です」(伊熊さん)、「20代と同じケアを続けているバイラ世代を多く見かけます。髪と頭皮も着実に年齢を重ねていて、この世代にケアを見直すかどうかで40代以降の髪質に影響を与えるんです」(津村さん)
夏の紫外線は髪と頭皮を老けさせる大きな原因!
「紫外線が頭皮に与える影響は“顔の肌”に置き換えるとわかりやすい。乾燥、活性酸素、光老化など、頭皮にもダメージが。また髪は紫外線を浴びるとカラーリングした時と似た状態になり、枝毛や切れ毛が出来やすく」(伊熊さん)、「サロンワークをしていると、アウトドアやバカンスに行ってきた人の髪は一目瞭然。キューティクルが開いていたり、髪の黄ばみが進行しています」(津村さん)
皮脂による頭皮のベタつきはぺた髪&ニオイの温床に
「残留皮脂が毛穴の詰まりやニオイの原因になるのはご存じだと思うのですが、放置すると地肌がどんどん硬くなってきたり、ゆくゆくは毛穴の形に影響しうねり毛にもつながります」(津村さん)、「残留皮脂と紫外線が合わさることで酸化皮脂に。そして頭皮も代謝が落ちると古い角質がたまります。だから日々の洗うケアが本当に大切なんです」(伊熊さん)
とにかくすべきはこれ!頭皮の「紫外線対策」4選
【頭皮の紫外線対策】紫外線を頭皮に当てないための 予防対策が必須!
「紫外線を浴びることで頭皮の真皮コラーゲンが破壊されてたるんだり、幹細胞が傷ついて白髪や薄毛につながったり、様々な影響が。紫外線を浴びた直後には、顔や体と同様に頭皮にも炎症が起こるし、乾燥もひどくなります。
頭皮は紫外線ダメージを受けてしまった後の対処ケアアイテムが少ないパーツなので、まずは紫外線を浴びないような物理的対策と、UVケアコスメによる予防の併用がおすすめです」(伊熊さん)
1.帽子や日傘で物理的に紫外線をカット
「直接、紫外線が当たらないようにするのがいちばんの対策。帽子をかぶる、日傘を差すなど物理的なカット方法が確実です」(津村さん)、「実はコラーゲンを破壊するUVAは髪をすり抜けて頭皮にも届くといわれています。アウトドアをする、通勤時間が長いなど、夏の外出が多い人は、物理的対策が必須です」(伊熊さん)
2.分け目をこまめに変えて頭皮の日焼けを予防する
「頭皮も日焼けをするので、紫外線を浴びると地肌も黒く焼けてしまうんです。特に直射日光を浴びやすい分け目の部分は、肌の色の変化が顕著に現れています。ヘアスタイルはいつも同じ分け目にせず、日によってこまめにパートを変えてセットをすることも、頭皮の日焼け予防につながります」(津村さん)
3.UVスプレーは髪全体にまんべんなく塗布するべし!
「UVスプレーを使うときは髪全体に行きわたるよう、頭上でぐるぐると大きく旋回するように吹きつけましょう。SPF値が記載されているものは顔にもOKなタイプなので、塗布時に髪だけでなく顔についても問題ありません」(津村さん)、「UVスプレーは髪をセット後、最後に使うのがおすすめ。手で触れると剤が取れやすいので、こまめにつけ直しましょう」(伊熊さん)
髪と頭皮を紫外線から守る処方。皮脂や汗対策も。スカルプD ボーテ UVスプレー SPF50+・PA++++ 80g ¥2750/アンファー
4.スカルプエッセンスは頭皮の乾燥対策にも必須アイテム
「紫外線を浴びた日は地肌も乾燥しています。洗髪後はスカルプエッセンスなどで保湿ケアをプラスしましょう。髪のエイジングも進み始めているバイラ世代なら、育毛対策ができるケアアイテムを選んでも。今必要な頭皮の保湿ケアと、未来のための対策が同時にできて一石二鳥です」(津村さん)
《1》スカルプエッセンスをつけるときは、髪をかき分けて、地肌へ直接ON。数カ所に分けて塗布しよう
《2》エッセンスを塗布したら、頭皮を動かすようにマッサージをして。地肌をほぐし、血流促進効果を狙う
育毛成分をしっかり届ける浸透力。エレクトロン 薬用スカルプエッセンス ファム(医薬部外品) 100㎖ ¥6490/GMコーポレーション
とにかくすべきはこれ!髪の「紫外線対策」3選
【髪の紫外線対策】予防ケアと濃密保湿ケアで髪ダメージを最小限に
「紫外線を浴びると髪の“SS結合”が切れてしまいます。このSS結合とはサロンでカラーリング剤を入れるときにケミカル処理で外すもの。つまり髪を染めていなくても、カラーしたのと似た状態になってしまう。紫外線ダメージはそのくらい強力。だから、予防ケアが大切なんです」(伊熊さん)、「夏は軽めのケアにしがちですが、紫外線を浴びる季節こそ保湿力の高いトリートメントで保湿&補修ケアを習慣に!」(津村さん)
「最近はヘアオイルタイプのUV予防アイテムが登場しています。髪にまんべんなく塗布しやすく、きちんと浸透してくれるテクスチャーなので、UV予防対策におすすめです」(伊熊さん)、「髪のUV対策はドライ時からスタート。タオルドライ後に専用のアウトバストリートメントを塗布し、しっかり乾かしましょう」(津村さん)
1.髪の紫外線予防にはUVケアオイルがおすすめ
髪と頭皮にもOKなヘアオイル。エルジューダ サンプロテクト オイル SPF30・PA +++ 50㎖ ¥3080/ミルボン(サロン専売品)
2.紫外線を浴びた後は濃密補修ケアで髪の保湿を
インバスで使う髪のプラス1美容液。フラコラ プロへマチン原液 ヒト幹細胞培養エキス+ 100㎖ ¥3667/フラコラ
個包装の濃密ヘアマスク。エッセンシャル ザビューティ うるツヤチャージヘアパック 9g×6包入り ¥1320(編集部調べ)/花王
3.お団子ヘアで毛先を守る! 髪をまとめて物理的にガード
「ロングヘアの場合、お団子ヘアも実は紫外線対策になるんです。ただでさえ傷んでいる毛先はUVスプレーなどで予防してもダメージを抑えきれない……。そこでまとめ髪にしてしまえば、紫外線が当たらない状態に。髪ダメージも予防できて、同時に涼しげな印象にもなれる。夏におすすめなヘアアレンジです」(津村さん)
頭皮環境をクリアに! 汗・皮脂・毛穴詰まり対策
実は女性の頭皮はニオう! 深刻になる前に早急な対策を
「実は女性のほうが地肌のニオイがこもりやすいんです。ロングヘア率が高いので、湿度が高く菌が発生しやすい&洗い残しをしやすい、香りの強いヘアケアを使いがちなど様々な原因があります。どれも日々の洗髪で解決できるもの。夏は特に洗うケアを重視しましょう」(津村さん)、「酸化皮脂が頭皮に残っていると、それが“悪さ”を始め刺激となり、頭皮が敏感な状態にもなりかねません。夏こそ落とすケアの見直しを」(伊熊さん)
1.ディープクレンジングを週に1〜2回は取り入れる
「いつもより皮脂過多になり、発汗も多く、地肌に汚れや古い角質が残りやすい夏は、ディープクレンジングを取り入れて。オイルケア、シャンプーと置き換えて使えるものなど、自分のライフスタイルに取り入れやすいアイテムでOK。トラブルの原因を定期的に取り除くことが大切です」(伊熊さん)
オールインワンケアが可能。ボズレー クリームシャンプー 500㎖ ¥2090/ネイチャーラボ
シャンプー前の地肌のクレンズケア。スカルプソリューション エクスフォリエイティング スカルプ トリートメント 150㎖ ¥6380/アヴェダ
洗髪前に使用。汚れを除去しつつ、栄養も与える。ルネ フルトレール コンプレックス5 コンセントレート 50㎖ ¥6600/ブルーベル・ジャパン
2.きちんと乾かすことでニオイ&ダメージ予防の一石二鳥
「暑いからと髪を自然乾燥にしていませんか? 地肌がぬれたままだとニオイ菌が発生しやすくなります。そしてぬれ髪はキューティクルが開いたままになり栄養が逃げていきます。夏こそきちんと乾かすことがトラブル回避に。まずは地肌だけでも乾かす習慣づけを。暑くなりにくいドライヤーのかけ方があるのでぜひ参考に」(津村さん)
《1》髪をサイドでまとめ、襟足から後頭部の地肌に沿うようにドライヤーの温風を当てる。熱風が直接当たらず、暑くなりにくい“角度”を各自探してみて
《2》フロントも同様。髪をまとめ、地肌に直接風が当たらない角度で、生えぎわからトップへ温風を送り根元をドライ
髪を潤しながらの速乾、頭皮ケアモードなど多彩な機能を搭載。髪色の褪色予防にも。ヘアドライヤー ナノケア EH-NA0J(オープン価格)/パナソニック
3.すすぎ時間を3倍に。ニオイの原因を洗い切る!
「すぐに始められる対策は“すすぎ”です。シャンプー前の予洗いや、シャンプーやトリートメントのすすぎにいつもの3倍の時間をかけてみて。後頭部に汚れがたまりやすいので、髪をかき分けて地肌にきちんとシャワーを届けることも大切。すすぎを念入りに行うことで、頭皮トラブルの原因の多くを洗い流すことができるんです」(伊熊さん)
頭上からシャワーを当てるだけでなく、髪をめくり後頭部や側頭部の地肌もまんべんなくすすいで
4.汚れをしっかり落とすのに頭皮マッサージャーも便利
「頭皮の毛穴汚れはニオイの原因だけでなく、将来の髪のうねりなど、色々なトラブルの一因。しっかり汚れを落とすために、頭皮マッサージャーを頼りにするのもひとつの方法。頭皮をもみほぐしながら、自分の手では洗いきれない部分の汚れを落とすのをサポートしてくれます。またマッサージによる血行促進効果もあるので、頭皮のエイジング予防にもなりますよ」(津村さん)
ニードル状のヘッドで頭皮を繊細にもみほぐして、汚れをしっかりと落とす。ミーゼ ニードルヘッドスパリフト ¥19800/ヤーマン
筋膜リリース発想のヘッドで、地肌のコリをやわらげてくれる。リファビューテック ヘッドスパ ¥33000/MTG
5.スタイリングが決まらないのは頭皮のベタつきが原因
「夏のスタイリングが決まらない原因のひとつは、汗や皮脂で根元がつぶれやすいから。朝きちんとセットしても、出社する頃にはぺたっとなっているなんて場合は、頭皮のベタつきが原因のことが多々。高温多湿により代謝が上がるのは仕方ないのですが、毛穴の詰まりをきちんとケアすることで、くずれる時間を遅らせることもできるんです」(津村さん)
6.汗が盲点! キューティクルが開き髪ダメージにつながる
「上で、髪がぬれているとキューティクルが開くと伝えましたが、実は汗をかいてぬれている髪も同じ状態に。スポーツ、フェス、アウトドアなどで長時間、汗でぬれた髪を放置するのも髪ダメージの一因。乾かすのは無理でも、こまめに汗をふいて、なるべく髪が湿った状態にならないように気をつけてください」(津村さん)
夏の終わりはヘアサロンのヘッドスパで地肌をリセット!
「ひと夏でたまった頭皮や髪の汚れを取り去るために、サロンのヘッドスパメニューを頼りにしてみて。自分では落としきれない汚れを除去し、美しい素髪にリセット。汚れを持ち越さずに秋を迎えられますよ」(津村さん)
Un ami omotesando
東京都渋谷区神宮前5の6の13ヴァイス表参道1F
☎03(5774)1011
https://un-ami.jp/shop/unami_omotesando/
クリームバス¥7700(シャンプー・ブロー別¥2200)
セットトップス¥6490/バロックジャパンリミテッド(アズールバイマウジー)
秋の美髪のために! 乾燥・カラー褪色・育毛対策
褪色予防、インナーケア美髪のためのスペシャルケアを
「大人の髪は加齢により“ホース”のように中が空洞化して色が抜けやすい状態。そこに夏のダメージが重なるとよりカラーの褪色が進みやすいんです。夏の髪ダメージを引きずらないため、アウター&インナーケアの対策を」(伊熊さん)、「褪色や乾燥予防のためにできることは前述のUVケアやトリートメント。それでも色落ちは避けられないので、夏はサロンカラーの段階で、褪色が目立ちにくい色みに調整しておくのも◎」(津村さん)
1.カラー用シャンプーで色もちアップをサポート
「カラーリング直後の1週間は、カラーダメージを防ぐことに特化した専用シャンプー&コンディショナーの活用を。これはカラー直後で敏感になっている髪表面のキューティクルをギュッと引き締めて、ダメージや色落ちを予防してくれるもの。ただでさえ紫外線の影響で色落ちしやすい季節なので、染めたてのときに色を抜けにくくしておく工夫も必要です」(伊熊さん)
【Daily】
オーガニックキャリアオイル配合。自然由来の成分でツヤと色もちアップ。ヴィラロドラ レノーボ テンプス シャンプー 300㎖ ¥3300・同トリートメント 200㎖ ¥3740/ミルボン
【Special】
1週間の集中ケア。スティーブンノル カラークチュール アフターカラー シャンプー&トリートメント(シャンプー 100㎖ トリートメント 100g)¥1650(編集部調べ)/スティーブンノル
2.カラートリートメントは褪色毛の色補整に便利
「抜けてきた色を補うことができるカラートリートメントなどを味方につけても。白髪に使うイメージかもしれませんが、実はファッションカラー向けのアイテムもあるんです。使っている間だけ色を補えるので、使用をストップすればすぐもとに戻ります。その手軽さも便利」(伊熊さん)、「次のサロンカラーに影響しないよう、赤みの少ないブラウンやベージュを選んで」(津村さん)
カラー後の黄ばみを抑えるヘアオイル。アウトバスでカラーケアしたい人に。エルセーヴ エクストラオーディナリー オイル カラーロック ヘアオイル ダークブラウン 100㎖ ¥2519/ロレアル パリ
ヘアケア成分とカラーチャージ成分を配合。ソマルカ カラーチャージ〈BROWN〉 130g ¥1980/ホーユー
3.リセットケアで、トリートメントの効く素髪に
「髪ダメージや乾燥対策のトリートメントを使う前に、ぜひ取り入れてほしいのがリセットケア。付着している残留物、蓄積物を取り除き、髪をフラットな状態にしてくれます。余分なものがあるとせっかくの補修成分も入りにくい。しっかり与えたいのであれば逆転の発想で、まずはきちんと取り除く。リセットに特化したアイテムを使うと、与えるケアの効果実感が増すんです」(伊熊さん)
頭皮の不要な皮脂や角質などを取り除くプレシャンプー。プレクレンズ クロノロジスト 200㎖ ¥4950/ケラスターゼ(ヘアサロン専売品)
髪のゴワつきの原因、カルシウムを洗い流す。リサージ ヴォーニュ ヘアメインテナンスシャンプー 全3種 400㎖ ¥2200/カネボウ化粧品
4.美髪を育むためにはインナーケアも取り入れて
「髪や頭皮への外的刺激が多い夏。ダメージをリセットしたり、老け髪を予防するためにもアウターヘアケアとインナーケアを両輪に。髪を生やし育てるには地肌の力が必要です。それには栄養サポートも欠かせません。髪を育むために必要な“亜鉛、鉄分、タンパク質”、紫外線による抗酸化予防のために“ビタミンACE”。これらの栄養素を食事やサプリメントで補いましょう」(伊熊さん)
5.内部補修できるアウトバスケアをつけてから乾かして褪色予防
「夏髪の褪色&乾燥予防のためには、コーティングするタイプではなく、内部補修できるアウトバストリートメントを使ってからドライをしましょう。さらに塗布してから、目の粗いブラシやくしでコーミングして、髪全体にまんべんなく行きわたらせるとケア効果も倍増。このひと手間で、髪の仕上がり、指通りに大きな差が生まれ、トリートメント効果もアップします」(津村さん)
毛髪修復効果のあるミルク。ベタつかずまとまる髪に。ウタウ シアー ミルクセラム 195g ¥3960/デミ コスメティクス
紫外線&カラーダメージ用のヘアオイル。セルサート イミュン オイル 100㎖ ¥2640/エステシモ・タカラベルモント
撮影/nae.(人)、柳 香穂(物) ヘア/津村佳奈〈Un ami〉 メイク/神谷真帆 スタイリスト/辻村真理 モデル/澤村花菜 取材・原文/松井美千代 構成/渡辺敦子 ※BAILA2023年8・9月合併号掲載