大竹さん演じるフェードルは、夫がありながら彼の不在時に義理の息子であるイッポリット(平岳大)に、想いを伝えてしまいます。でもイッポリットには強く想う相手・王女アリシー(門脇麦)がいるため、フェードルの想いを断固として拒絶してしまいます。
最後のシーンの儚くも圧巻な門脇さんの姿が瞼に焼きついています。
恵まれた体躯から漂う存在感と美しい声の持ち主・平岳大さんもとてもよかった! 繊細な表情の動き、大げさではないのに目で追ってしまう映える華やかさが感じられました。
ですが、やはりなんと言っても大竹しのぶさんです。小さな声で話す時のセリフも、恐ろしいまでに感情がこもっていて。大きな声はもちろんなのですが、何も話さないときですら、張り詰めた想いが舞台からこちらに向かってぐっと流れてきて、観客の私たちを押さえつけるような印象。CMやバラエティでみるチャーミングな雰囲気とは全く違うんですよね。生で観ると、どこからこんなエネルギーが湧いてくるのだろうと、圧倒されてしまいます。