劇中、階段からパーティのゲストの肩にぴょんと飛び乗って襟巻きかのように首に巻きついて見せたり、ごはんをもらうためにキッチンの上でのびをして、美しいフォルムを見せてくれたかと思えば、雨の中タクシーからホリーに「自由になりたいはず!」と外に出されてしまったりも。
最後まで名前のないままの登場ですが、実はこのネコさん、いろいろな映画にご出演のベテラン猫優で、本名はオランジィ(Orangey)さんというのだそうです。
猫=自由気まま、という印象は本作のホリー・ゴライトリーに相通じるところがある特徴。きれいで気高く、だけどさびしがりやなところもあって。猫さんの名演技(?)とともに楽しみたい名作なのです。
長い間仲たがいしている父エドワードと息子ウィル。その理由はアルバート・フィニー演じる父・エドワードがあまりにも“ホラ”話ばかりをすることに業を煮やし、「恥ずかしい思いをしたのは父さんなんだよ」と、ウィル(ビリー・クラダップ)が言い放ったことに始まるのですが、そのホラ話がまた、摩訶不思議で、本当とは思えないけれど、本当かもと思いたくなるような笑顔に満ちたお話なんです。若かりしエドワードを演じるのはユアン・マクレガー。彼が家を直してあげるジェレミー(ヘレナ・ボナム・カーター)がたくさんのネコさんたちと一緒に住んでいて。一匹一匹がなんだか可愛らしいんです。
エドワードが倒れたことで、再び会話を交わすことになる父と息子。その父の“ホラ”話が果たしてなんだったのか。たくさんの猫さんたちはもちろんですが、話の真骨頂はやはり父と息子の関係。さらに、夫と妻、ひいては人と人のかかわりについて、観終わった後にゆっくり考えたくなるお話です。
暴漢に襲われてあえなく亡くなってしまったサム(パトリック・スウェイジ)が、恋人のモリー(デミ・ムーア)のところに訪れます。もちろん、モリーには見えないのですが、猫さん(劇中では「フロイド」と呼ばれています)は気づくんです、なんかいる!と。
そこでこのフォルム&にゃあああっ、です。猫には人間が見えないものも見えるのだ、ということを教えてくれるという意味でも、このシーン、ちょっとだけですが、インパクトがあります。映画の前半のほうのシーンです、ぜひご覧くださいね。