きれいめコーデがこなれるカジュアルムードを上手に取り入れるには？【おしゃれ有識者の座談会〈後編〉】

「あの人、なんかセンスいい」と思われる着こなしってなんだろう。きれいめ派にこそカジュアル感が必要なワケ、アイテム選びのコツ、着こなし術まで、おしゃれ有識者の4名がしゃべり倒します！ カジュアルコーデが苦手という人も必見です。

ＮＷ　これまでおすすめのカジュアルアイテムに関してご意見をいただきましたが、きれいめ派の中には、ザ・カジュアルなアイテムがやっぱりどうしても苦手っていう人もいそうな気がして。

東原　それなら、“カジュアルなムードだけをまとう戦法”はどうかね。着慣れたジャケットやきれいめのテーパードパンツをオーバーシルエットにシフトするの。シルエットが新しくなるだけで、きちんと感はそのままに驚くほど洒落て見えるから。

榎本　ナイスアイディア！　ちょっとひねりが効いたきれいめアイテムを取り入れるのもいいんじゃないかと。今なら断然、韓国ブランドが狙い目！

加藤　韓国ブランドは、最近、バイラの撮影でもリースすることが多いですよ。「アモーメント」や「オル」は、働く人にもおすすめ。立体フォルムやアシメ裾など、やりすぎないひとクセデザインが絶妙なんです。

東原　最近はセレクトショップやネットで気軽に買えるブランドも増えているしね。視野を広げるという意味でもいいかも！

加藤　服はそのままきれいめで、小物で変化球っていうのも手だと思うな。ハートのスマホケースやひとクセあるヘアアクセなど、キャッチーな小物がいいハズしになります。キュンとする小物を身につけると、おしゃれのモチベーションも上がるし。

榎本　チャーミングさが垣間見えて、親しみやすさにもつながりそう。後輩から“近寄りがたい先輩”認定されないためにも、茶目っ気は大事かと（笑）。

ＮＷ　間違いない。ムードっていう意味では、ヘアメイクもなにげに大事ですよね。顔もヘアも盛り盛りだと老け見えするし、せっかく抜け感のあるおしゃれをしても台無しになっちゃいそう。

東原　しかし、きれいめな服を着てメイク薄めもアレじゃない？　徹夜明けのOLかな？みたいになってしまう。

一同　（笑）。

加藤　ポイントをしぼればいいんじゃないかな。目もとをパチッとさせたらリップやチークは引き算するとか。

ＮＷ　それも、ある種の抜け感＝カジュアル要素といえますね。

東原　結局、全身のバランスですよね。ミクロにこだわりすぎると全体が見えなくなって、顔と服装が別人格みたいになっちゃう。まずは目指す女性像をクリアにすることが大事なのかも。

榎本　周囲のおしゃれな人を見ていて思うのですが、着方でカジュアルさを演出する方法もありますよね。着くずしたり、ハズしたり。

ＮＷ　“ハズす”っておしゃれな人がよく言うけれど、その塩梅こそ難しそう～って思ったり（笑）。

東原　ボトムと靴を真逆のキャラにするのは、簡単でよろしいかと！　ふわりとしたスカートにスニーカー、デニムにレディな靴みたいに。

ＮＷ　それなら誰でも真似できそうです！　かすみさんがよく「きれいにまとめすぎるとそれっぽくは見えるけど、印象に残らない」っておっしゃているけど、少しの違和感があることってセンスのよさにつながるんですね。

東原　そうだよね。本当にちょっとしたことなんだけど、ハズすひと手間でコーディネートの完成度に差がつくから試して損はないと思います。

ＮＷ　かすみさんがスタイリングのときによく取り入れるハズしテクってありますか？

加藤　プルオーバーの下にＴシャツやロンＴを仕込んで、首もとや裾から小さく“白”をのぞかせるのは、よくやるかな。あとは肩かけや開襟、袖のロールアップは定番。ほどよくラフに転んで、こなれて見える。

榎本　以前かすみさんとジャケット特集でご一緒したとき、“カジュアルな気分なら袖をロールアップするし、端正に見せたいときはロールアップしない”という話を聞いて、なるほどって思ったんです。カチッとしたイメージのジャケットも、きちんと着ればまじめになるし、着くずせば砕けた雰囲気になる。カジュアルってアイテムそのものを形容するだけじゃなくて、着る人のマインドを表すものなんだって知って、目からウロコ〜。

加藤　服って面白いですよね。着方次第でまったく印象が変わるから。だからこそTPOによって着こなし方を変える意識が大事。ジャケットの話でいうと、たとえばプレゼンではキリッと襟を正して誠実に、仕事帰りの女子会ではゆるっと肩かけして気さくに。抜け感上手な人って、会う人や行く場所に合わせてバランスをとれる人だと思います。

ＮＷ　納得です。おしゃれオーラを放つ人はみんなアレンジ上手ですもんね。カジュアルアイテムを取り入れて終わり、じゃなく、その時々で着こなし方をチェンジするスキルを磨いたら、より素敵な大人になれそうです！

撮影／金谷章平（人）、魚地武大〈TENT〉（物）　ヘア＆メイク／笹本恭平〈ilumini.〉　スタイリスト／加藤かすみ　モデル／佐藤晴美　取材・原文／榎本洋子〈TENT〉　※BAILA2025年2・3月合併号掲載