「あの人、なんかセンスいい」と思われる着こなしってなんだろう。きれいめ派にこそカジュアル感が必要なワケ、アイテム選びのコツ、着こなし術まで、おしゃれ有識者の4名がしゃべり倒します!
コート¥49500・スカート¥29700/プランクプロジェクト 青山店(プランクプロジェクト) ニット¥56100/ピセア トートバッグ¥24200/アマン(アンドミューク) ミニバッグ¥9680/ミラ オーウェン ルミネ新宿2店(ミラ オーウェン) ピアス¥69300/ショールーム セッション(コールムーン) 靴¥39600/マルティニーク ルミネ横浜(別注デイト)
スタイリスト
加藤かすみさん
確かな審美眼で着る人の個性を引きだすスタイリングを得意とし、絶大な支持を得る。大人にリアルなトレンド提案にも定評が。
エディター・ディレクター
東原妙子さん
銀行員を経てファッション業界に。バイラなどで活躍するエディター兼クリエイティブディレクター。洗練された都会派コーデが定番。
ライター
榎本洋子さん
ファッションライター歴20年。年齢を重ねても、永遠に可愛いものが好き。ジャケットにハマっていて、カジュアルMIXして満喫中。
バイラ編集部
編集NW
編集部イチ高身長のバイラエディター。きちんと見えつつ遊び心のあるシンプルスタイルが好きな30代。趣味は、筋トレとヨガ。
洒落たきれいめスタイルは“盛らずに抜く”のが正解
NW 今回はきれいめ派がワンランクセンスよくなれるテクをテーマに有識者の皆さんの知恵をお借りしたく。突然ですが、私の友人がモンゴル旅行でラクダに乗るのにパンプスで登場し、仲間内でレジェンドになっていて(笑)。
一同 え、一体なんの話(笑)?
NW その子は生粋のきれいめ派なんです。何が言いたいかっていうと、きれいめ好きは、おしゃれの引き出しが少なくなりがちなのかなと。だから、どんなときもパンプスで乗り切ろうとしちゃうっていうか(笑)。
東原 乗り切れるわけないし、普通に危ないわ(笑)。要はシーンに合わせたカジュアルダウンが難しいのかな。
NW そう推測しています。
東原 銀行員時代にいたなぁ、そういうきれいめ命の人。
加藤 ブレない軸があるのはいいことだけど、自己満足になっちゃったらもったいないね。
NW そうなんです。大人っぽさやきれいめ感はキープしながらも、行く場所や会う相手に合わせて着こなし方を変えられる人って憧れますよね。
榎本 ここは、きれいめ上手な東原先生に聞いてみようではありませんか! 普段のおしゃれで意識してることってなんですか?
東原 きれいめ服は好きだけど、特定のテイストには偏らないようにしているかな。コンサバすぎても嫌だし、かといってファッションアディクトみたいな格好がしたいわけでもない。きちんと品よく見えることは大前提、でもそれだけだと窮屈だしつまらないから、抜け感は意識してますね。ワンピにハンサムなブルゾンを合わせたり、ジャケットをスニーカーで着くずしたり。
NW コンサバ感と抜け感、両方がうまく調和したカテゴライズされないおしゃれが、妙子さんらしさにつながっているんでしょうね。
加藤 社会性と洒落感を両立するのに、抜け感って重要な要素よね。よく「どうやって抜け感をだしたらいいかわからない」って相談を受けるんだけど、感覚的なことだから意外と説明するのが難しいんです。でも、あえて言語化するなら、それがカジュアル要素なのかなって。どんなシーンでも、いい意味で肩の力を抜いておしゃれを楽しんでいる人って素敵だと思う。
NW バイラ読者に話を聞いても、「頑張ってると思われるのはイヤ」「後輩に素敵って思われたい」って意見が本当に多くって。
榎本 素敵先輩らしい余裕のあるおしゃれが理想ってことですよね。そういう30代こそ進んでカジュアル要素を取り入れるべき!
東原 同感。きれいめベースな人ほど、ちょっとカジュアル感を足しただけでサマになりやすいんじゃないかな。ギャップをつけやすいっていうか。あれこれ盛るより、よっぽどスマートで簡単かと。
加藤 まさにそれ。おしゃれしようって思うと盛りたくなりがちなんだけど、実はそれが小ダサくなる落とし穴。引き算したほうが、すっきり洗練されたきれいめスタイルに仕上がります。
榎本 カジュアルダウンして軽やかさを足すイメージですよね。
加藤 はい! そうすると仕事服の堅さが和らいで親しみやすさが増すし、甘い服もモダンに引き立って大人っぽくなる。肌見せをヘルシーに転ばせることだってできます。大人のおしゃれにとっていいことしかありません!
“似合う”カジュアルアイテムは愛用ブランドで探せばうまくいく
NW では実際に30代の私たちは、どんな風にカジュアル要素を足したらよいと思いますか?
加藤 最も手っ取り早いのは、いつものきれいめスタイルにカジュアルアイテムをひとつだけ加えてみることかな? Tシャツ、スウェット、タンク、スニーカー、キャップ、遊び心のあるメガネとか。春の定番であるトレンチコートの中をシャツじゃなくてTシャツにしてみたり、足もとをスニーカーに変えてみたり、それくらいのことでいいんです。それだけでフレッシュ感、こなれ感、今っぽさ、全部がかなうはず。あとデニムもカジュアルダウンには最適なアイテムだと思うな。
東原 デニムで思いだしたけど、「アンクレイヴ ホワイト」でセンタープレスが入ったスラックス見えデニムを出したとき、「普段デニムはほとんどはかないけど、これならいけます!」って言ってくれる人が結構いて。世の中にはデニムに抵抗がある人が想像以上にたくさんいるんだなって思った。
NW 冒頭で話した友人もそうかも。休日でもカジュアルな服を着ているのを見たことがなくて、デニムもスニーカーも持ってなさそうです。
加藤 あ、でも実は私もテック系のスポーティすぎるスニーカーは苦手。普段シンプルな服が多いからか、なんか足もとだけ浮いちゃう気がして。
榎本 きれいめ派の人も同じように苦手意識を持ってそう。そんなカジュアル初心者におすすめのスニーカーは?
加藤 セレクトショップにあるスニーカーはいいですよ。たとえば「デイト」とか「ノヴェスタ」とか。色合いもシックで形もスポーティすぎないから、きれいめスタイルになじませやすいはず。デニムも同様に、洗練された大人のブランドをのぞいてみて。おすすめは「エブール」。きれいなラインのデニムがそろっています。
東原 デニムやスニーカーを普段はかない人は特に、いつもの自分のテイストから大きくズレることなく選べると安心ですよね。好きなアパレルブランドやショップで探せば、手持ちのきれいめ服にも自然と合う気がする。
加藤 そう。敬遠しがちなスウェットもガチのスポーティ系じゃなくて、可愛げのあるカレッジ風デザインとかね。「サードマガジン」や「ウィム ガゼット」のロゴスウェットは着やすいですよ。キャップもセレクトショップやアパレルブランドに置いてあるものは、女性に似合うように作られていると思う。
東原 突然見知らぬブランドに行こうとするから「難しい」「似合わない」ってなるのであって、慣れ親しんだブランドのカジュアルアイテムなら、そうはならないはず。
NW なんなら好きなブランドでトータルコーデしてもいいですしね!
榎本 確かに、それならムリせず統一感のあるスタイルが完成しそう! 今季なら、ポロニットもカジュアルダウンによさげですよね。
加藤 襟つきできちんと感はキープしつつ、旬のスポーツテイストを楽しめるいい選択肢だと思います。ジャケットの中に入れたり、レディなスカートに合わせるのがイチ押しです。
榎本 ただトレンドアイテムでもあるから、「失敗したらどうしよう」って思うきれいめ派は多そう。
加藤 そういうときは「ザラ」をのぞいてみるといいですよ。お値段も手頃で、トレンドものに気軽にトライできます。挑戦アイテムも身近なブランドから賢く選びましょ。
ベーシックカラーを選んで大人っぽさキープ(加藤さん)
スウェット(左)¥22000/ウィム ガゼット ルミネ新宿店(ウィム ガゼット) (右)¥25300/サードマガジン
キャップ(左)¥13200/マディソンブルー (右)¥8250/スタイリング/ ルミネ新宿1店(NEWERA×スタイリング/)
靴(上)¥26950/ドレステリア 渋谷スクランブルスクエア店(ノヴェスタ) (下)¥39600/マルティニーク ルミネ横浜(別注デイト)
体がきれいに見えるコンパクトな一枚を(榎本さん)
(上)ボディスーツ¥20900/プランクプロジェクト 青山店(プランクプロジェクト) (下)ニット¥19800/スタイリング/ ルミネ新宿1店(スタイリング/)
撮影/金谷章平(人)、魚地武大〈TENT〉(物) ヘア&メイク/笹本恭平〈ilumini.〉 スタイリスト/加藤かすみ モデル/佐藤晴美 取材・原文/榎本洋子〈TENT〉 ※BAILA2025年2・3月合併号掲載