着るのは本当に好きな服だけ、のほうが毎日幸せ。スタイリストの吉村友希さんが、ワンラックで収まるミニマルなワードローブを大公開。たった10着でつくる夏の着回しや、クローゼットの収納術&お手入れテクも必見!
スタイリスト
吉村友希さん
BAILAのほか、多くの女性誌や広告、カタログで活躍中の人気スタイリスト。ベーシックアイテムを軸に、トレンド感をほどよく加味したリアルなスタイリングにファンも多い。的確な視点と丁寧なカウンセリングで読者のリアルワードローブを見直す「クローゼット改造」企画も毎回大人気!
私は決してミニマリストでも節約家でもありません。
純粋に洋服が好きで、ファッションが好き。ゆえにいつも好きな服だけを着ていたい。
クローゼットに置くのは今の私が“着たい”と厳選したアイテムのみ。
無駄なものがない分、どの服にもちゃんと愛情を持って接することができるし、
ワンラックに収まる分量だから、毎日のコーディネートに迷うことも減りました。
私の洋服を選ぶ視点や工夫が皆さんの参考のひとつになりますように。
――YUKI YOSHIMURA
1.ワンラッククローゼットを作る5つのルール
1.“長く着られそう”という考えは持たない
「毎シーズン、少しずつ気分が変わる自分をよく知っているから、半年先、1年先のことまで考えず、そのときの自分が“着たい”と思う服を選ぶようにしています」(吉村さん・以下同)
2.試着は必ずする
「サイズがひとつでも違うとコーデのバランスがくずれてしっくりこない。だからTシャツ一枚でもオンラインでは買いません。絶対に着たいと思った服は自分サイズにお直しします」
3.いる、いらないの判断基準は素材と値段が見合っているか
「洋服を手に取ったとき、まず確認するのは素材表示。何度も繰り返し着たいから、すぐにへたってしまう服はNG。素材や縫製をじっくりチェックして購入すべき値段かを考えます」
4.“衣替え”はしない
「クローゼットには全シーズンの洋服を並べています。仕事柄常にひとつ先のシーズンを見ているので、こうすることで視点を切り替えやすく次に欲しいものがクリアになります」
5.手放すことをためらわない
「着たい服がどんどん変化するのは飽きっぽいからではなく、時間の経過とともに自分のセンスも進化しているから。最低でも2週間に一度はクローゼットの中身を見直しています」
2.この夏のワードローブはたった10着!
A.ドゥーズィエム クラスのノースリーブTシャツ
ゆるめシルエットで腕が細見え
「去年までは袖のあるTシャツばかり着ていたのですが今季は腕を出したい気分に。肩がむき出しにならないデザインが大人向きです」(吉村さん・以下同)
B.スティーブン アランのボルドーTシャツ
こっくり色が今の気分にマッチ
「しなやかなウール素材を使っているので、カジュアルになりすぎません。こっくりとしたボルドーは無難に見えず、手持ちのボトムとも好バランスです」
C.ウィム ガゼットのカーディガン
着ても巻いてもサマになる名脇役
「リブ仕立てで表情があるので、どんな取り入れ方をしてもポイントになります。ショート丈は流行の太めパンツはもちろんロングスカートとも相性抜群」
D.エディションのタンクトップ
今どき感を醸し出せるアメスリ
「この夏気になっているアメリカンスリーブに挑戦。首が詰まっている半面、肩がしっかり出るのでレイヤードをしても抜け感のある着こなしができます」
E.サクラのロングジレ
重ねるだけで簡単にこなれ見え
「あっさり見えがちな夏のワンツーコーデをおしゃれに見せてくれます。ロング丈が腰まわりをカバーしつつIラインを強調するのでスタイルアップも!」
F.CP SHADESのキャミワンピース
レイヤードに大活躍のMY定番
「上にも下にも重ねられるキャミワンピは大好きなアイテム。ワッシャー加工が施されているので、シワを気にせず気楽に着られるところがお気に入り」
G.ebureのフレアスカート
さりげない華やぎが欲しい日に
「毎年、スカートはフレアとタイト、二つのシルエットを押さえています。動くたびにふわりと揺れるフレアスカートなら、Tシャツ合わせも華やかに」
H.オーラリーのチェック柄スカート
タイトラインでチェックを女っぽく
「ストンとしたシルエットやバックスリットのおかげで女っぽいムードで楽しめます。多色使いのチェックなので合わせるトップスの色に悩みません」
I.ウィム ガゼットのレザーハーフパンツ
ひざが隠れるからきれいめに使える
「ひざ上のショートパンツをはく勇気が出ない私にぴったりなハーフ丈。上質なレザーやセンターシーム入りの端正なデザインが大人っぽくて好きです」
J.08sircusの裾絞りパンツ
コーデを格上げする注目デザイン
「裾がしぼられたパンツは、この夏絶対に取り入れたいと思っていたアイテム。シャリ感があってはき心地がいい上、濃厚なグリーンが着こなしを新鮮に」
3.ワンラッククローゼット着回し14DAYS
《DAY1》打ち合わせではジレで今っぽさを意識
B+E+I
Necklace/GABRIELA ARTIGAS
Bangle/Ursul
Ring/Tiffany&Co. Van Cleef & Arpels
Bag/CELINE
Shoes/PELLICO
「襟つきのジレは簡単にきちんと感を出せるのでお仕事に最適。ハーフパンツの肌見せ具合もカバーできます」(吉村さん・以下同)
《DAY2》“ワンピ見え”するレイヤードで休日を満喫して
A+F
Scarf/HERMÈS
Belt/WRYHT
Bag/BALI WERKSTÄTTE
Shoes/Maison Margiela
「キャミワンピの上からTシャツを重ねて、色をつなげたワンピ風コーデ。かごバッグやフラットパンプスなど、レディな小物使いでのっぺり見えがちなワントーンにメリハリをプラスして」
《DAY3》急に決まった撮影のプロップを探しに表参道へ
C+D+H
Sunglasses/EYEVAN 7285
Bag/MODERN WEAVING
Shoes/MANOLO BLAHNIK
「存在感のあるスカートをメインに引き立てたかったので、トップスはベージュ×白のやわらかなトーンで統一。スカートのチェック柄から色を拾っているのでまとまりよく仕上がります」
《DAY4》リースの日は動きやすくてこなれて見えることが前提
A+J
Bangle/SASKIA DIEZ
Ring/hum
Bag/Saint Laurent
「プレスルームで洋服を選ぶときは、大きな荷物はロケバスの中に置いてミニバッグで身軽に動いています。斜めがけすることでバッグのチェーンがアクセ代わりになって顔映えも期待!」
《DAY5》仕事終わりにスタイリスト仲間と久しぶりのディナーに
C+D+I
Necklace/PHILIPPE AUDIBERT
Bag/LOEWE
Shoes/HEWN
「感度の高い仕事仲間たちと会う日は、トレンド感のあるハーフパンツをチョイス。下半身にボリュームが出るのでカーディガンはあえて前を閉じて、コンパクトなプルオーバー風に」
《DAY6》シンプルな重ね着はシックな配色で今どきなムードを
B+F
Headband/IRIS47
Shoulder Bag/CELINE
Tote Bag/MODERN WEAVING
Shoes/Eytys
「キャミワンピにTシャツを重ねるレイヤードは私の定番だけれど、この夏はボルドー×黒という落ち着いた色合わせが気分。カジュアル感がセーブされ大人に見えるのでお気に入りです」
《DAY7》大好きな花屋さんに寄り道。クリーンな白で気分も上がる
C+D+G
Sunglasses/EYEVAN 7285
Choker/ARTIDA OUD
Ring/Tiffany&Co. Van Cleef & Arpels blanc iris
Bag/THE ROW
Shoes/Maison Margiela
「袖ぐりが深いアメリカンスリーブを生かして、カーディガンから少しだけ肌見せ。ぼやけそうな配色に抜けが生まれて鮮度アップ!」
《DAY8》スタジオ撮影の日はキャッチーな柄に頼って
A+H
Watch/Cartier
Bracelet/hum
Ring/hum Van Cleef & Arpels
「朝が早いと何も考えず、ぱっと着るだけでサマになる一着に手が伸びます。落ち着いた黒を合わせることで、お目立ち感のあるチェック柄が引き締まって凜とした装いが完成!」
《DAY9》リースの合間に来シーズンの展示会回りへ
D+E+J
Necklace/HARPO
Bag/meli melo
Shoes/Ipanema
「おしゃれな方とたくさん顔を合わせる展示会の日は今っぽい着こなしを意識します。ジレが重たく見えないように、胸元はシルバーアクセで盛りつつトングサンダルで足取り軽く」
《DAY10》たくさん歩く多忙な一日だから足さばきよく
B+C+G
Sunglasses/EYEVAN 7285
Bag/Saint Laurent
Shoes/Eytys
「甘めのスカートにスポーティなアイテムをミックスして親しみやすい印象に。フレアシルエット×スニーカーの組み合わせなら足さばき抜群。どこまでも歩ける気がします(笑)」
《DAY11》早起きした休日は行きつけのカフェでのんびりリラックス
C+D+F
Cap/upper hights
Ear Cuff/TOM WOOD
Bag/KECH LeS ESSENTIELS
Shoes/SACRA
「インをアメリカンスリーブのトップスにするだけで、見慣れたレイヤードや配色も目新しい雰囲気に。カーディガンをアクセントに取り入れて奥行きを出して」
《DAY12》夫とランチデート。昼からビールでも飲んじゃおうかな?
B+H
Belt/WRYHT
Bag/MODERN WEAVING
Shoes/PELLICO
「Tシャツとスカートのシンプルな組み合わせも存在感のあるチェックがあればこんなに印象的。せっかくのデートはベルトマークで腰高を強調して“きれい見え”することも忘れずに」
《DAY13》「初めまして」の仕事相手と会うならきちんと感を最優先
A+E+G
Choker/ARTIDA OUD
Bag/LOEWE
Shoes/HEWN
「ゆるめのTシャツとフレアスカートのモノトーンコーデにロングジレをレイヤード。ジレのテーラードカラーが端正な印象に見せてくれるから、初対面の相手と会う日も自信が持てます」
《DAY14》撮影現場では色使いも“ちょっぴり上級”を意識して
B+J
Necklace/GABRIELA ARTIGAS
Bangle/Ursul
Ring/blanc iris
Shoes/PELLICO
「一見、難しそうな色×色のワンツーもボルドーとグリーンという渋めのトーン同士なら自然になじむんです。スポーティなパンツはヒールサンダルできれいめに」
4.“まわる”クローゼットの収納術&お手入れ法
毎朝、着る前に必ずスチーム
「外出する1時間前には起きて、その日着る服にスチームをかけるのが日課。シワがあると一日気分が落ちるからというのもあるのですが、服ときちんと向き合うことができるのでシミや傷みを早めに発見できるというメリットも」(吉村さん・以下同)
「マワハンガー」で統一
「愛用歴7年以上の『マワハンガー』はスタイリッシュなデザインはもちろん、衣類をかけても滑りにくく、省スペース化できるスリムな形が魅力的。自宅のクローゼットの色に合わせて、ハンガーをすべて白で統一することで見た目もすっきり!」
左から右へ、軽いもの→重いもの
「仕事では、リースしたアイテムをこの順番で並べるとそれぞれのアイテムが埋もれず全体を見渡すことができるので、自宅のクローゼットでも同じようにしています。コーディネートが作りやすくなり、ワードローブの偏りもひと目でわかります」
エコバッグは「チャコリ」のトートに
「ミニサイズのバッグが好きなので、出かけるときはいつもエコバッグとダブル持ち。海外で買ったりお土産でもらったりと、どんどん増えていくエコバッグはハリのある帆布生地のトートに二つ折りにして収納。かさばらないように気をつけています」
ジュエリーは「無印良品」のトレーに
「ジュエリーは2段式の引き出しにアイテム別に収納しているのですが、使う頻度が高いものは取り出しやすいように手前に並べるようにしています。『無印良品』で買ったベロア地の仕切りトレーはバリエが複数あり様々な組み合わせができるので便利」
引き出しに“しまい込まない”
「ハンガーにかけるとのびてしまうニット類はたたんで収納します。その際、引き出しにしまい込んでしまうと、手持ちをすぐ把握できず“あの服はどこ?”と悩むことに。中身が見えるボックスに重ねて、いつでも自分の目が行き届くようにしています」
愛用の洗剤は「LIVRER YOKOHAMA」
「もちろん自己責任で(笑)、“手洗いOK”の表示がある服は洗濯機の手洗いコースで洗います。ネットに入れて素材に合わせた専用の洗剤を使って。衣類に優しいものは汚れがあまり落ちない気がしていたけれど、こちらは洗浄力もあるのがお気に入り」
シューズボックスにはチェキを貼って
「メインで履く靴は玄関のシューズラックに、それ以外は1足ずつ市販のシューズボックスに入れて収納しています。靴はチェキで撮影をして箱に貼っておくと入れ替えをするときに迷いません。汚れがついても目立ちにくいように黒のボックスを選択」